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新しい仲間

今回から新たな章へと突入します。

果たしてガミーヌ達に待ち受ける次なる試練とは……!?

 幽霊屋敷での騒動を無事に終えたガミーヌ達。その次の日、新しくパーティーに加わる事となったルムを冒険者として登録する為、ギルドへと案内している。


 「……で、ここが冒険者の登録をしたり、受ける依頼を受理して貰ったり、達成した依頼の報酬を受け取ったりする受付カウンターよ」


 「ふむふむ」


 まるで童心に返ったかの様子で、目を輝かせながら物珍しそうに周囲を見回すルム。ガミーヌに誘導されて、受付カウンター前までやって来ると、そこにはいつもと変わらず、塩対応の受付嬢ことギルドマスターが立っていた。


 受付にいるのが塩対応の受付嬢だと分かると、露骨に嫌な顔を浮かべるガミーヌに対して、来るのは分かっていましたと言わんばかりに、張り付いた笑顔で出迎える受付嬢。


 「これはガミーヌ様、おはようございます。本日はどの様なご用件でしょうか?」


 「……このギルドには、あなたの他に受付嬢はいないのかしら……?」


 「いえ、私の他に数十人のスタッフが対応しております」


 皮肉を言ったつもりが、真面目な回答を返されてしまった。やっぱりこいつの事は好きになれないと思うガミーヌだったが、ハッと気が付いて今日は喧嘩する為に、ここへ来た訳では無いと思い直す。


 「そ、それよりも、今日は依頼達成の報告と新しいパーティーメンバーの登録をしに来たわ」


 「新しいパーティーメンバーですか?」


 受付嬢がガミーヌから、隣で立っているルムへと視線を動かす。その瞬間、目を見開いてハッと息を飲む。


 最早、そこに受付嬢としての顔は存在していなかった。完全にギルドマスターとしての目でルムを確かめている。


 その一方で、ルムもギルドマスターの事を品定めするかの様に見つめ、確かめ終わると顎に親指と人差し指を添えて興味深そうに呟く。


 「ほぅ……」


 「…………」


 それでも何とか張り付いた笑顔だけは維持しているのが、ギルドマスターの実力を伺える。二人がじっと見つめ合い、蚊帳の外となったガミーヌは、二人の顔をそれぞれ見ながら、不思議そうに首を傾ける。


 「ちょっと何ボーッとしてるのよ。さっさと依頼達成の報告と冒険者登録をしてよね」


 「……は、はい、少々お待ち下さい……」


 そう言いながら、必要な書類を取りに奥へと引っ込むギルドマスター。先程と違い、声に動揺が感じられたガミーヌは、また不思議そうに首を傾ける。


 「どうしたのかしら?」


 「さぁ? どうしたのかのぉ……」


 不適な笑みを浮かべ、白々しく話すルム。しばらくして、幾つかの書類を手にしてギルドマスターが戻って来る。しかし、その表情は既に落ち着きを取り戻しており、再び受付嬢としての顔となっていた。


 この様子の変化に、ガミーヌは三度不思議そうに首を傾けるも、気のせいだと思い、深く考えない様にした。


 「それでは、まず先に依頼達成の報告を受け付けます。ガミーヌ様が現在受注しているご依頼は、幽霊退治ですね」


 そう言いながら、依頼書と報告書を見比べ、達成状況を確認する。やがて二種類の書類を一つにまとめ、カウンター下から金が入った麻袋を取り出し、ガミーヌ達の前に差し出す。


 「はい、無事に依頼達成されました。こちらは報酬金となります。どうぞ、お受け取り下さい」


 「まぁ、当然の結果よね。それで? ランクは何処まで上がるのかしら?」


 「申し訳ありません。この度の依頼では、ランク上昇は不十分だと判断されました」


 「そ、そうなの……」


 てっきりランクが上がる物だと思っていたガミーヌは、若干表情を曇らせるが、直ぐ様気を取り直して報酬金を受け取る。


 「それでは続いて、そちらの方の……失礼ですがお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


 「ルムだ」


 「ルム様ですね。かしこまりました、それではルム様の冒険者登録に移らさせて頂きます。早速ですがルム様、こちらの書類に必要事項をご記入下さい」


 ペンと書類を差し出し、記入を促す。ルムは慣れた手つきでペンを取り、書類に記入していく。その様子にガミーヌがルムに耳打ちをする。


 「あなた、ペン握るのなんて初めてじゃないの? どうしてそんなにスラスラと書けるのよ?」


 「ん? この程度の文明レベルなら初めてでも問題ないぞ」


 「この程度で悪かったわね」


 ナチュラルに馬鹿にされた。ガミーヌ本人の事では無いが、人間全体という意味では間接的に見下されたと感じ、少しだけ腹を立てた。


 そうこうしている内に記入が終わり、書類を受付嬢へと返す。書類を受け取り、一通り目を通す。


 「はい、ありがとうございます。それでは最後に冒険者カードに張る証明写真を撮ります」


 すると、カウンター下からやたらゴツい代物が取り出され、外装は木や鉄で作られており、その先端には丸いレンズが取り付けられている。


 「こちらのレンズにお顔を向けて下さい。表情は作らないで下さい。それでは撮ります」


 こちらを向くルムに対して、撮影のボタンを押す。カシャンという機械音が鳴り響き、受付嬢側から一枚の写真が現像される。


 「それでは冒険者カードの準備を致しますので、少々お待ち下さい」


 そう言って、席を離れる受付嬢。戻って来るまでしばらく時間がある。そう思って、ルムと話をしようと声を掛ける。


 「そう言えば……「お待たせ致しました」……って、早っ!!?」


 まるで既に用意していたと言わんばかりに、予想外の早さで持って来た受付嬢。


 「こちらがルム様の冒険者カードとなります。どうぞ、お受け取り下さい」


 「ふむ……」


 手渡されたカードを眺めるルム。そんな中、ガミーヌは初めて冒険者になった時の事を懐かしそうに思い返しながら、ルムの冒険者カードを横から覗き込む。


 「これでルムも冒険者の仲間入りって訳ね。まぁ、ルムは初心者でランクもビギナーだから、このベテランでゴールドランクのガミーヌ様が手取り足取り教えてあげ……っ!!?」


 ガミーヌは自身の目を疑った。本来、冒険者登録された者は誰であろうと等しく、ビギナーランクからのスタートとなる。ガミーヌは勿論、エクスも同じ道を通って来たのだ。にも関わらず、ルムの冒険者カードはビギナーの証である“黄緑色”ではなく、今のガミーヌと同じ“金色”に輝いていた。


 「ちょっ、ちょっとこれはどういう事よ!!? 何で登録したばかりのルムがいきなりゴールドランクなのよ!!?」


 驚くのは当然であった。思わず叫び声を上げるガミーヌ。その声を耳にしたギルド内にいる他の冒険者達も一斉にざわめき出す。


 “おい、いきなりゴールドランクだってよ”


 “マジかよ!! あのアレクでさえシルバーからのスタートだったのに、それ以上ってあの女何者だ!?”


 “よく見ると、中々良い女じゃねぇか。俺、声掛けて来ようかな”


 “馬鹿だな、軽くあしらわれるのがオチだぞ。それにどうやらあの女、エクスと同じパーティーらしいぞ”


 “エクスとパーティーを組めるなんて、それだけで只者じゃねぇな”


 と、一瞬にしてルムの話題で持ちきりとなるが、それよりもガミーヌには気になる事があった。


 「……私はそれより先にエクスとパーティーを組んでいるんだけど……」


 冒険者達の会話は、如何にもエクスが初めてルムとパーティーを組んだ様に聞こえるが、一応初めてエクスとパーティーを組んだのはガミーヌなのは、言うまでもない。


 そんな不満を募らせながらも、ガミーヌはルムの冒険者カードについて、受付嬢に詰め寄る。


 「どうしてルムの冒険者カードはゴールドなのよ!? 登録したばかりの冒険者は皆ビギナーだって説明してたわよね!?」


 明らかな矛盾に対して、ここぞとばかりに捲し立てるガミーヌ。


 「お見受けした所、ルム様は相当な実力をお持ちの様子……であれば、それに見合ったランクからスタートさせるのが道理かと存じます」


 「そ、それはつまり……ビギナーから始めたこの私はその程度の実力だったと言いたい訳……?」


 「はい、その通りです」


 「ムカー!!!」


 受付嬢の言葉に顔を真っ赤にするガミーヌ。事実、ルムはガミーヌよりも遥かに強い。その為、これ以上は何も言い返す事が出来なかった。すると、受付嬢が続けて説明する。


 「しかし、あくまでも見立てただけですので、実際の実力がどれ程の物かは分かりません。ですので、ガミーヌ様のパーティーが受けられる最低限の危険度数のランクに致しました」


 「まぁ、ワシとしてはガミーヌと一緒のランクになれたから構わないぞ」


 「むぐぐ……ルム本人が納得しているのなら、私も納得しない訳にはいかないじゃない」


 当事者であるルムが何も言わないのであれば、他人であるガミーヌが口を挟むのはお門違いという物。癪に触るが、ここは大人しく引き下がるしかない。


 「そこでご提案なのですが、皆様“コロシアム”に出られては如何ですか?」


 「「コロシアム?」」


 「はい、ここより西方の地“クリーエ”と呼ばれる国で開催されるイベントです。そこでは一流の戦士達が己の腕を競い合うのです」


 「一流の戦士……」


 「見事、勝ち抜ければ豪華な商品が貰えるらしいです」


 「商品ね……そんなのには興味無いけど……」


 「更にそのイベントには、冒険者ギルドも支援している為、勝ち抜いた冒険者の実力に合わせてランクを上げさせて貰います」


 「参加するわ!!」


 ランクアップという言葉に飛び付くガミーヌ。一方、一流の戦士との戦いに内心ワクワクしているルム。


 「では、こちらの参加券を持って、クリーエで手続きを済ませて下さい」


 そう言うと受付嬢は、三枚の参加券をガミーヌに手渡す。


 「よし、早速クリーエに向けて出発するわよ!!」


 「おぉ!!」


 参加券を手にしたガミーヌは、意気揚々と歩き出す。それに続いて、ルムも嬉しそうに横に並んで歩き出す。その後を追い掛けようとエクスが歩き出す瞬間、いつの間にかカウンターから抜け出した受付嬢が耳打ちをする。


 「……君の希望通りに手配しておいた。“奴ら”は必ず来るよ」


 受付嬢……いや、ギルドマスターの言葉にエクスは振り返る事なく、ガミーヌ達の後を追い掛けるのであった。

こうしてルムを新たなパーティーとして迎え、ガミーヌ達はコロシアムがあるクリーエへと旅立つのであった。

次回もお楽しみに!!

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