表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/46

すすり泣く声

前回、遂に怪奇現象を起こす犯人を見つけ出したガミーヌ達。これで無事に依頼も達成で、めでたしめでたし。

 「やっと認めたわね」


 遂に怪奇現象の正体を暴いたガミーヌ達。相手が子供だと分かり、ガミーヌは強気に前へと歩み出る。子供達は恐怖から身を守るかの様に、三人で体を寄せ合う。


 「フッフッフ……よくもこのガミーヌ様を散々コケにしてくれたじゃないの……いったいどうしてやろうかしらねぇ……」


 そんな子供達に不適な笑みを浮かべ、両手の指をワキワキとやらしく動かして見せるガミーヌ。


 「おい、それはさすがのワシでも引くぞ」


 あまりに非道なガミーヌの行為に、さっきまで結婚だなんだと言っていたルムでさえ、彼女に冷ややかな目線を向ける。


 「な、何よ!? 冗談に決まってるでしょ!! 子供相手に目くじらを立てる程、落ちてないわよ!!」


 「だがお主、村でこやつらに尻の穴を刺されて、大人げなくキレていたじゃないか」


 「ど、どうしてそれ知ってるのよ!!? あんたあの場にいなかったじゃない!!?」


 ルムの話では人間の姿で向かう途中、偶々屋敷に入るガミーヌ達を見掛け、後を追い掛けたとの事。つまり、それ以前の知る筈のない情報に、ガミーヌは顔を真っ赤にしながら、大きな声を張り上げる。


 「ワシには“真なる眼”という能力が備わっている。“条件”さえ揃えば、相手に触れる事でその者の過去や心の内を知る事だって出来るぞ」


 「触れる事で……まさか“あの時”に!?」


 それは二人が書庫で再会した際、ルムがガミーヌを抱き締めて結婚を迫った“あの時”である。


 ガミーヌの予想に対して、首を縦に振って正解と頷くルム。


 「それで、村での出来事を知ったのって……あなた、いったい何処まで私の過去を覗き見たの!!?」


 わざわざ覗き見たと言って、恥ずかしそうに両手をクロスさせて、胸を隠す素振りを見せる。そんなガミーヌをルムはいたずらっ子っぽく、クスクスと笑いながら見つめ、落ち着いた口調で喋り始める。


 「安心しろ、見たのはここ最近の記憶。それより過去に遡る為には、更に長く相手と触れ合う必要がある」


 「それを聞いて安心したわ……」


 ホッと胸を撫で下ろすガミーヌ。一方で、一瞬だけ子供達の存在を忘れていた事に、ハッと気が付き辺りを見回すと、コソコソと部屋から出ようとしているのを見つける。


 「あっ、ヤベっ!!」


 「待ちなさい!!」


 ガミーヌに見つかり、慌てて逃げようとする三人だったが、その直前で最後尾にいたティミドをエクスが取り押さえた。


 「ティミド!!」


 「み、みんな……僕の事はいいから、早く逃げて……」


 「仲間を置いて行ける訳がないだろう!! そうだろ、フェズリ!!?」


 「はぁ……私的にはこのまま逃げても構わないけど……まぁ、夢見が悪いのは確かね」


 自分を犠牲に二人を逃がそうとするティミド。そんな彼を決して見捨てまいとするシェルム。そして、冷たい態度を取りながらも、結局は仲間の為に戻るフェズリ。


 これではまるで、こちら側が悪い様に見えてしまう。複雑な心境になりながらも、ガミーヌは三人を改めて尋問する事にした。


 「それで? どうしてこんな真似をしたのかしら?」


 「「「…………」」」


 「私だって鬼じゃないわ。今なら特別に許してあげなくもないわよ……」


 「「「…………」」」


 「ちょっと、子供だからって甘く見られると思ったら大間違いよ。早く言わないと、それはそれは恐ろしい目に遭わせるわよ」


 「「「…………」」」


 あくまでも黙秘を貫く所存らしい。自分達が犯人である事は認めたが、その動機までは話すつもりはないらしい。そんな生意気な子供達の態度に、額の血管がピクピクと浮き出るガミーヌだが、ここで諦める訳にもいかないので思い切って攻め方を変える。


 「そうねぇ、三人の内で一番に話してくれたら、お姉さんがその子だけにご褒美をあげちゃおうかしらね」


 「ふっ……」


 大人のお姉さんらしく、人差し指を顎に添えた上で少し顔を傾け、ポーズを決めながら提案するガミーヌに対して鼻で笑ったのは、同じ女でありまだ子供のフェズリだった。


 「い、今の笑いは何かしら……フェズリ……ちゃん?」


 「別に? 只、随分と“貧相な体”をしたお姉さんがいるんだなって、思っただけ……」


 ガミーヌとフェズリ。両者の年齢はかなり離れている。にも関わらず、その体付きはどっこいどっこい。何なら、性格も相まってフェズリの方が大人にすら見える。


 この言葉のナイフは、ガミーヌの心を傷付け深く抉った。次第に顔が真っ赤になり始め、フェズリに激昂する。


 「なっ、何ですって!!! このクソガキ!! 人が下手に出てりゃ、付け上がりやがって!!」


 今にも襲い掛かりそうなガミーヌを、ルムが慌てて後ろから羽交い締めで止める。


 「落ち着け、子供相手にそうカッカする物ではないぞ」


 「止めないで、こういう聞き分けの悪い子供には愛の拳が必要なのよ!!」


 「今の問題ある発言は聞かなかった事にして、一旦冷静になれ。そしてここはワシに任せてくれないか?」


 「……分かったわよ」


 渋々ながらも、大人しくなるガミーヌ。もう無闇に襲い掛かりそうにないのを確かめると、ルムは羽交い締めを解いた。


 そうした上で、今度はルムが子供達の前に立った。


 「さて、ここからはワシが相手をしよう。ガミーヌには無理でも、ワシなら話せるんじゃないか?」


 「「「……」」」


 相変わらず黙秘を貫く子供達。そんな様子にルムは右手の人差し指で、頭をポリポリと掻く。


 「……仕方ない。それなら一度村に戻って、“村長”に事情を話すしかないな」


 「ひ、卑怯だぞ!!!」


 “村長”というワードに反応し、初めてシェルムの表情に動揺の様子が浮かび上がる。それはフェズリとティミドも一緒であった。


 「ジジィは関係無いだろ!!?」


 「いや、ガミーヌの記憶を見る限りでは、あの村長はお主らの保護者的な立場にある。本人に話す気がないと言うのなら、可哀想だが報告しなければならないだろうな」


 「うぐぐ……」


 悔しそうに歯軋りするシェルム。すると、そんな中で人一倍冷や汗をかいているティミドが、震える唇をゆっくりと開いた。


 「ぼ、僕が……誘ったんだ……二人を……ひ、秘密基地に……どうかなって……そ、それでっで……あのの……」


 「ティミド……いいよ、後は全部俺が話すから……」


 勇気を振り絞ったはいいが、肝心な所でどもってしまい、上手く言葉に出来ていなかった。それを見て観念し、シェルムが代わりに話し始めた。


 「ここは俺達の秘密基地……唯一の遊び場なんだよ」


 「遊び場って……ここは貴族が住むお屋敷よ。あなた達が勝手に入っていい場所じゃないわ」


 「そんなの分かってるよ。けど、ずっとあんな陰気臭い村にいたら、俺達まで他の連中みたく活気がなくなっちまう」


 「だからって……」


 「俺達は生まれて間も無い頃、両親にゴミ同然に棄てられた。それをジジィが拾ってからずっと俺達は三人一緒だ。血は繋がってねぇけど、俺はこいつらを妹と弟の様に思ってる」


 「妹っていうのは不服だけど……まぁ、私も思ってる」


 「ぼ、僕も……頼れるお兄ちゃん、お姉ちゃんだと思ってるよ」


 二人の意志も同じだと分かり、シェルムは思わず笑みが溢れる。そして改めてガミーヌ達と向き合う。


 「だから、この場所を奪われる訳にはいかなかった。それで……」


 「幽霊騒動を引き起こして、誰も近付けなくした訳ね……なんというか、発想が子供騙しね。実際、子供だった訳だけど……」


 「何だよその言い方!? そういうお前だって、俺達の起こした怪奇現象にビビりまくってたじゃねぇかよ!!」


 「だ、誰がビビってたですって!!?」


 シェルムの煽りに、またも顔を真っ赤にして激昂するガミーヌ。呆れた様子でルムが止めに入る。


 「いちいち反応しては、身が持たないぞ。だが、お主らどうやって怪奇現象を起こしたのだ?」


 「そんなの簡単さ。何を隠そう俺達、魔力が使えるのさ!!」


 そう言いながらシェルムが右手に力を込める。すると、掌に青白いモヤが現れる。


 「成る程、それで食堂のコンロに火を付けたり、音楽室の楽器を鳴らせた訳じゃな」


 「ふん、種さえ分かればあんなの怖くも何ともないわ!!」


 子供相手に大人げなく強がりを見せるガミーヌ。そんな彼女に対して、渇いた笑いを浮かべる中、ある疑問がふと思い浮かぶ。


 「食堂と音楽室の件は分かったが、あれはどうやったのだ?」


 「あれ?」


 「惚けるんじゃないわよ。二階の廊下で、半透明な女性の幽霊を出現させて壁を通り抜けさせたじゃない!!」


 ガミーヌの言葉に子供達は、困った表情を浮かべながら互いに顔を見合わせ、首を横に振り合う。


 「……いや、知らねぇよ。そんな幽霊……」


 「はぁ? 知らない訳ないじゃない。あなた達の他に誰がいるのよ?」


 「だって俺達、魔力で操作出来るだけで幽霊なんて出せねぇよ」


 「……え、そうなの……?」


 頷く子供達。嫌な汗が額から流れ、顎に溜まり、一滴となって床に落ちる。背筋に悪寒。得たいの知れぬ恐怖から、思わず固唾を飲み込む。その瞬間……!!


 『うぅ……うっ……うぅ……うっうっ……うぅ……』


 「「「「!!?」」」」


 何処から途もなく、女性のすすり泣く声が聞こえて来た。突然の出来事に子供達は恐怖し、咄嗟にガミーヌの側へと駆け寄る。そして同時にガミーヌも、子供達を抱き寄せて咄嗟に守ろうとする。


 『……を……ないで……』


 「何か言っておるぞ?」


 『……を……いかないで……私を……いかないで……私を……いて……行かないで……』


 次第に声はハッキリと聞こえ始める。そして遂に、天井をすり抜けて青白い光を身に纏う白いワンピースの女性がガミーヌ達の前に姿を現した。しくしくと泣いている様子だが、その両目から流れる涙は何故か真っ赤に染まっていた。


 『私を置いて行かないでぇえええええええええええええええ!!!』


 「「「「ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」」」」

まさかまさかの二段階オチ!?

突如、姿を現した幽霊にガミーヌ達はどう立ち向かうのか!?

次回、ガミーヌVS嘆きの女幽霊!!

次回もお楽しみに!!

評価・コメント・ブックマークお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ