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怪奇現象の正体

皆さん、GWはどうでしたか?

それではGW明け一発目のお話です。

 「誰だ!!?」


 

 突如、独りでに揺れ動いた扉に臆する事無く、ルムは勢いよく扉を開ける。その衝撃でドアノブが壁に激突し、鈍い音と共にひび割れる程、奥深くまでめり込んだ。


 ルムは廊下に出ると、急いで周囲を見回す。しかし、何処にも人らしき影や形も見えなかった。代わりに目の前の床に白いヴェールが落ちていた。


 それを拾い上げると、徐に鼻へと近付け、スンスンと匂いを嗅ぐ。その瞬間、ルムの目が少し大きく見開かれる。


 すると、中々戻って来ないルムに業を煮やして、ガミーヌとエクスの二人が様子を伺いに来た。

 


 「ね、ねぇ……? 何があったの?」


 

 幽霊の存在を警戒しているのか、酷く怯えながら周囲を何度も見回し、恐る恐る声を掛けるガミーヌ。 ルムは二人の方を振り返り、落ちていた白いヴェールを見せる。

 


 「近くには誰もいなかった。だが、代わりにこれが床に落ちていたぞ」


 「これってヴェール? 結婚式に女性が頭に着ける物じゃない。何でこんな所に……ま、まさか!!? この屋敷に取り憑いている幽霊の持ち物なんじゃ!!?」


 

 恐ろしさのあまり、頭を抱えるガミーヌ。そんな彼女を見て、溜め息を漏らすルム。


 「何故、そんな発想になる?」


 「だって!! それ以外に考えられないじゃない!! ここまで見舞われて来た色んな怪奇現象がそれを物語っているわ!!」


 「その事なら、ワシの仕業だと説明したではないか」


 「温室の一件だけね。他のには関わっていないんでしょ。なら、幽霊の仕業と考えるのが普通よ」


 

 温室での怪奇現象は、ルムが魔力によって引き起こした物だとネタバラシされた事で、少しホッとしていたガミーヌだったが、それは同時に他の部屋で起きた怪奇現象は本物なのだという事に気が付いてしまい、慌てて周囲を警戒する姿勢を取る。

 


 「ワシ以外の誰かが、魔力を用いて起こしたのかもしれぬぞ?」


 「食堂ならともかく、音楽室に置いてあった楽器が独りでに鳴り出す現象は、魔力でどうこう出来る物じゃなかった。それに怪奇現象が起きた時、必ず周囲を見渡していたけど、それらしい人影は見当たらなかったわ。それに、一度私はこの目で幽霊を目撃しているのよ」


 

 それは二階に上がった直後の話。突然、二人の目の前に幽霊が現れ、そして壁を通り抜けて寝室へと姿を消したのだ。それを目にした以上、幽霊の存在を信じざるを得ない。

 


 「その壁に消えた幽霊については分からないが、怪奇現象の正体は分かったかもしれないぞ」


 「な、何ですって!!? ど、どういう事よ!!?」


 「ちょっと耳を貸せ」


 

 そう言うと、ルムはヒソヒソと何かを耳打ちする。それを聞いた途端、ガミーヌは鳩が豆鉄砲を食らったかの様に、目をパチパチと動かす。

 


 「えっ!? ほ、本当なの……それ?」


 「あぁ、間違いない」




***




 しばらくしてガミーヌとルム、エクスの三人は書斎を後にし、二階から一階へと降りて来ていた。

 


 「本当に帰ってしまうのか?」


 「えぇ、もしも本当に幽霊が相手だった場合、私達に勝てる訳が無いわ。だからここは大人しく尻尾を巻いて逃げるわ」


 「うむ、 あんなに恐ろしい怪奇現象に見舞われては、それも仕方あるまい」



 やや大き過ぎる声で会話するガミーヌとルム。弱気な発言を繰り返し、そのまま屋敷の玄関を開けて外へと出る。


 先程まで降っていた雨が嘘の様に晴れ、雲一つ無い晴天となっていた。暗い所から急に明るい所へと出た為、眩しさから思わず片手で目を覆う。


 真っ直ぐ歩く中、名残惜しそうに屋敷を振り返るも、直ぐ様向き直して側を離れて行く。そんな二人を二階の窓から眺める人影があった。



 「……行ったか?」


 「うん、もう大丈夫だよ」



 ここは二階の寝室。誰もいない筈のこの部屋に、二人の人物がいた。一人がガミーヌ達の動向を伺い、安全だと判断すると、もう一人が天井に向かって声を掛ける。

 


 「おい、もう出て来ても大丈夫だぞ」



 すると天井の板が外れ、そこから梯子が降りて来た。部屋にいた二人が下で受け止め、床にそっと降ろす。



 「ふぅ、何とか凌いだわね」


 天井裏から姿を現したのは、誰であろうあの活気の無い村にいた縮れ髪の女の子“フェズリ”だった。

 


 「で、でもまた戻って来るかもしれないよ?」

 


 ガミーヌ達を窓から覗き、戻って来るのではと怯えているのは、同じく活気の無い村にいた眼鏡を掛けた気弱そうな男の子“ティミド”だった。



 「心配するなよ、ティミド。あいつら、俺達が仕掛けた幽霊にビビりまくってたぜ。もう二度と戻って来ねぇよ」

 


 いたずらっ子の様に薄ら笑いを浮かべ、強気な態度を見せるもう一人の人物もまた、活気の無い村にいた体中擦り傷だらけの男の子“シェルム”だった。


 「それにしても、面白かったな。あいつらの怯えようと来たら……うっくくく!!!」


 「全く……いい大人が情けないものね」


 「し、仕方ないよ。僕達の幽霊作戦、本当に怖いんだから……」



 屋敷に入ってからのガミーヌ達の様子に、笑いが堪えきれないシェルム。興味無さそうにしながらも、確りと馬鹿にするフェズリ。自分達の作戦に自信があり、怖がるのも仕方ないと言うティミド。



 「ここは俺達の隠れ家なんだ。大人達なんかに奪われてたまるもんか。これからも、ちょくちょく幽霊騒ぎを起こして行こうぜ」


 「まぁ、暇だし。結構、居心地良いしねここ」


 「も、勿論だよ。僕達で隠れ家を守るんだ」



 三人が決意を示す中、突如寝室の扉が開かれる。



 「「「!!!」」」


 「やっぱりここにいたのね。思った通りだったわ」



 そこに立っていたのは、帰った筈のガミーヌとルム、そしてエクスの三人だった。突然現れたガミーヌ達に驚き、子供達は慌てて梯子を登って、屋根裏部屋へと駆け込もうとする。

 


 「おい、フェズリ!! 早く昇れよ!!」


 「急かさないでよ。ちょっと!? 何処触ってのよ!! この変態!!」


 「ね、ねぇ、喧嘩は後にして早く昇ろうよ……」


 「…………」



 しかし気が動転してしまい、上手く昇る事が出来ず、モタモタしている内にエクスが子供達三人を捕まえる。



 「おい!! 離せよ!! この馬鹿力!!」


 「あーあ、終わったわね私達」


 「お、お願い食べないで……」



 尚も抵抗するシェルム、全てを諦めたフェズリ、エクスを何と勘違いしているのか食べないでと両手を合わせ、懇願するティミド。


 

 「エクス、もういいわ。三人を離してあげて」


 「…………」



 すると、エクスは素直に捕まえた子供達を降ろした。ガミーヌが子供達に目を向けるも、子供達は一切目を合わせようとしない。ティミドは気まずさから、フェズリはそもそも興味が無いから、そしてシェルムは反抗心から。



 「あなた達だったのね。今までの怪奇現象を起こした犯人は」


 「ふん、何の事だか分からないね」


 「へぇ、じゃあどうしてこんな幽霊屋敷にいるのかしら?」


 「それは……お前には関係無いだろ」


 「成る程ね……」



 往生際が悪い。嫌でも認めないらしい。無理矢理口を開かせる方法もあるが、あくまでも相手は子供。ガミーヌは少し頭を捻ると、良いアイデアを思い付く。



 「そっか関係無いなら仕方ないわね。てっきり、あの恐ろしくも良く出来た怪奇現象はあなた達が起こした物だと思ったけど……そりゃあそうよね、あなた達みたいなガキに出来る訳が無いわよね」


 「ば、馬鹿にしないで!!」



 そう叫んだのはティミドだった。



 「あの作戦は、シェルムとフェズリが一生懸命考えた物なんだ!!」


 「お、おい……ティミド、それ以上は……」


 「何度も何度も失敗を繰り返して、漸く完成したんだ!! 何も知らないおねえちゃんに言われる筋合いは無いよ!!」



 全てを吐き出し終わった後、ハッと自分のしでかした事に気が付くも、時既に遅し。シェルムは目を瞑りながら片手をおでこに当て、フェズリは爪の手入れをしながらも、溜め息を漏らしていた。


 「やっぱりあなた達が犯人なのね」


 「ご、ごめん……」


 「気にするなティミド。俺達は、お前のそういう所が気に入ってるんだ」



 落ち込むティミドの肩に手を置いて、励ますシェルム。



 「こうなったら仕方ない、認めてやるよ。そうさ、俺達こそがこの幽霊屋敷の主にして、怪奇現象を起こした張本人さ!!」

幽霊の正体は何と村の子供達だった!!

何とも分かりやすかったですね。

問題なのは何故こんな事をしたのか。


次回もお楽しみに!!

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