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恋と結婚

前回、まさかのルムと再会!!

そして今回は所謂、雑談回。全くと言っていい程、話が進まないのでご了承下さい。

 「あ、あなた、ど、どうして……!?」


 

 あまりに突然の出来事に、ガミーヌは開いた口が塞がらず、上手く言葉も出て来なくて混乱していた。


 わたわたと動くガミーヌを見ながら、ルムはケラケラと微笑ましい物を見るかの様に笑う。



 「何もそんなに驚かなくても良かろう?」


 「驚くに決まってるじゃない!! だってあなた……龍だったじゃ……」



 以前の姿は、この屋敷よりも遥かに大きかった筈なのだが、いま目の前にいるのは自分達と変わらない人間サイズ。勿論、ガミーヌより大きく、何なら猫背状態で2mのエクスよりも若干大きい。


 百人の間を通り過ぎれば、その全員が思わず振り返ってしまう程の美形に、数多の男性冒険者と女性冒険者が目を奪われるであろう豊満な胸と、お腹に出来た綺麗なシックスパック。それら全てを確りと支える、すらりと伸びたカモシカの様な長い足。


 現代で言う所のモデル体型であった。その完璧な姿に、思わずガミーヌもルムの“とある一部分”を見ながら、ペタペタと持たざる自分の一部分に触れ、勝手に落ち込んで傷付いた。


 

 「ワシら龍は己の魔力を用いる事で、その姿を自由自在に変える事が出来る。じゃから、この姿はワシなりに人間を真似した結果だ」


 「にしては、随分と美人になったじゃない。さすがに偉大な龍様も見た目は気にするのかしらぁ?」

 


 見ていて痛々しくなる程、わざとらしく皮肉を込めた言い回し。引きつった笑顔に片目がピクピクと痙攣する様が、更にガミーヌの哀れさを強調させる。



 「いや、姿を自由に変えられると言ったが、それはあくまで保有する魔力に依存しているのだ」


 「魔力に依存?」


 「ワシの膨大な魔力を収めるのには、それ相応の器が必要となる。この肌や髪の毛、骨格から内蔵に至る全てが適した物に変化しているのだ」


 「それはつまり、その姿はなるべくしてなったって事?」


 「まぁ、そんな風に捉えて貰って構わん」



 望んでこの姿になったのなら、まだガミーヌにも救いはあった。しかし、この話が真実ならば、女として素のポテンシャルに敗北した事になる。


 完全に諦めが付き、目から光が消えたガミーヌは、乾いた笑いをしながら何処か遠い目をしていた。



 「……にしても、ルムがまさか“女性”だったなんて驚きだったわ。喋り口調から、てっきりおじいさんだと思ってたわよ」



 ガミーヌの言葉に、ルムは不思議そうに首を傾げる。



 「ん? ワシに性別は存在せぬぞ」



 同じ様に、ガミーヌも不思議そうに首を傾げる。



 「えっ、だってその姿……どう見たって女性……」


 「あぁ、これはお主と会おうと決めた時、同じ性別の方が話しやすいと思ったのだ。その気になれば、男にもなれるぞ。何だったら両方の身体的特徴を取り入れる事だって出来る」



 一瞬、女性の体に男性の“アレ”が付いている姿を想像してしまい、全身から寒気を感じ、吐き気を催した。


 その時、ガミーヌの顔に柔らかい物が当たる。たわわに実った二つの果実。甘いお菓子の様な匂いが漂うそれは、ルムの乳房だった。気が付いた時には、ルムによって抱き上げられていた。



 「ちょっと!! いきなり何してるのよ!!?」



 慌ててルムを両手で押し退け様とするも、当然ながら力で敵う筈も無く、全く身動きが取れなかった。嫌がるガミーヌに対して、ルムは再び不思議そうに首を傾げる。


 

 「何じゃ、ワシに会えて嬉しくないのか?」


 「嬉しいわよ……嬉しいけど……いきなりこんな抱き締められるなんて……」


 「ふふふ、照れなくてもいいぞ。お主はワシの心を射止めたのだ。安心して、その身を委ねるが良い」


 「……は?」



 何かの聞き間違いか、ガミーヌが見上げると、そこにはルムが頬を赤らめ、色っぽい表情を浮かべていた。



 「っ!!」



 身の危険を感じ取り、死に物狂いでルムの拘束から逃れようとする。それを察してか、ルム自身も手を離してガミーヌを解放した。



 「い、いったいどういうつもり!?」


 「何がだ?」


 「何がだって……私にそっちの趣味は無いのよ!!」



 身を守る様に両手をクロスさせ、肩を掴む。そしてゆっくりと後退りする。



 「何を言うておるのだ? 人間は“恋”とやらをしたら結婚する物なのだろう?」


 「いや、確かに理屈ではそうだけど……そもそも何よ、その極端な考え方は!?」


 「いつだったか、ワシに供物を捧げにやって来た人間から聞いた話だ」


 「だからって、どうしてあなたが私に恋してるのよ!! 一回会っただけで、そこまで仲良く無かったじゃないの!!」


 「うむ、確かにワシも最初そう思った。しかし……」



 と、言いながら天井を見上げ、昔を懐かしむ様な穏やかな表情を浮かべる。



 「お主達と別れてからも、ずっと頭から離れなかった。今頃、何処で何をしているのか。次はいつ会えるのか。四六時中、同じ事ばかり考えてた。その内、この気持ちこそが噂に名高い恋なんだと、そう判断したワシは急いで姿を変えて、探し始めたという訳だ」


 「そ、そんな曖昧な理由で……」


 「さぁ、理由も話終わった所で早速結婚するとしよう」



 そう言って、ジリジリと歩みよろうとするルム。それに合わせて距離を離していくガミーヌ。


 

 「い、嫌よ!!」


 「何故だ?」


 「私は別にあなたに恋してないからよ!! そ、それに……」



 頬を赤らめ、恥ずかしそうにチラリと横目でエクスを見る。当の本人は興味が無いのか、壁に寄り掛かって上の空だった。それを見たルムは興味深そうに少し口角を上げた。するとガミーヌに歩み寄るのを止め、代わりにエクスの方へと近付く。


 

 「ちょ、ちょっと!!?」



 まさかここで戦うつもりじゃ……。そんな物語のヒロインになった気持ちで、ルムを引き止めようとする。そんな中、エクスの前までやって来たルムは右手の掌を壁に叩き付け、顔を更に近付ける。所謂、壁ドンである。



 「そうそう、お主の事も気になっておったぞ。どうだ、お主も一緒にワシと結婚せぬか?」


 「え? えぇえええええええええええええええええええ!!?」



 まさかの告白に、引き止めようとしたガミーヌの方が驚きの声を上げた。そして、慌てて二人の間に割って入り、無理矢理引き剥がした。



 「な、何を言ってるのよ!!? あなた、私と結婚したかったんじゃないの!!? どうしてエクスを口説いてるのよ!!?」


 「“将を射んと欲すればまず馬を射よ”。確か人間の言葉にこんなのがあったのを思い出してな。それにワシからすれば、一人や二人など大した差はないからの。あっはっはっはっは!!!」


 「何よ、それ……」



 高笑いを浮かべるルムに、どっと疲労を感じるガミーヌ。最早、ツッコミを入れる気力すら残ってはいなかった。



 「というか……そもそもの話、どうしてルムがここにいるのよ?」


 「あー、それはだな。お主達を探そうと人間の姿でラフスに向かっていた所、丁度運良くこの屋敷に入るのを見掛けて……」


 「後を追い掛けて来たって訳ね。それなら早く声を掛けてよね。こんな二階の一部屋で話し掛けられたら、ビックリするじゃない」


 「すまんすまん、実はお主達の会話で何やら物が宙に浮かんだりとか、怪奇現象がどうのと聞こえて来ての。折角だから驚かせようと、温室に魔力を送り込んだら、思った以上に物が暴れてしまったから、気まずくて声を掛けそびれてしまったんだ」


 「ちょっと待って……温室に魔力を送り込んだ……? 物が暴れてしまった……? それってつまり……」



 プルプルと全身を震わせるガミーヌ。様子がおかしい事に気が付き、ルムが恐る恐る近付こうとした次の瞬間、眉を潜めて怒りの表情を浮かべたガミーヌが一気に詰め寄る。



 「怪奇現象は、全部あなたのせいだって事じゃないの!!」


 「ま、まぁ、そういう事になるのか……?」


 「ふざけんじゃないわよ!! 折角、張り切って一人で解決しようと思ったのに、その原因が陰湿なストーカー龍だったなんて!! これじゃあ活躍出来ないじゃないの!! ムキー!!」



 怒りのあまり癇癪を起こし、猿の様な声を上げて半狂乱になって暴れ回る。その様子を若干引いた目で見るルム。



 「はぁ……はぁ……はぁ……」



 しばらくして溜飲が下がったのか、息を切らしながらも先程より落ち着いていた。そこを見計らい、ルムが声を掛ける。


 

 「だ、大丈夫か?」


 「えぇ、怒ったら少しスッキリしたわ。それに肩透かしとはいえ、事件を解決出来たんだから……」


 「そ、そうか……それは何よりだ」


 「それにしても、怪奇現象を起こすのなら、もっと派手なのにしなさいよ。温室の件は良かったけど、他の音楽室や物置、特に食堂なんてレベルが低過ぎるわよ」


 「何を言っているんだ?」


 「だから、他の怪奇現象についてよ。もっとそれらしい……」


 「いや、ワシが起こしたのは温室の件だけなんだが……」


 「え……」



 顔を見合わせる二人。お互いに嘘は付いていない様子だった。その事実は二人の背筋に嫌な感じを走らせるのには、充分過ぎた。




          ガダガタガタ!!!




 「「!!?」」


 

 その時、部屋の扉が独りでに揺れ始めるのであった。

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