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龍VS邪龍モドキ

今回から邪龍モドキとの戦いが幕を開ける!!

 「それで作戦は?」


 『作戦? ふっ、そんなの不要だ』


 邪龍モドキと戦おうと向かうガミーヌ達。そんな中でガミーヌがルムに作戦内容について質問すると、不思議そうな表情を浮かべながら一笑されてしまった。


 「は!? 何よそれ!!?」


 『まどろっこしい小細工など、ワシには必要無い。正々堂々と正面から挑ませて貰う』


 「いや、あんたは龍だからそれで良いとしても、私達は人間。まともに相手しちゃ、すぐ殺られちゃうのよ」


 『相変わらず脆弱な生物だな。ならば、尻尾やアキレス腱辺りを集中してやると良い』


 「尻尾? アキレス腱?」


 『尻尾は見ての通り、先っぽを小僧が切り落とした。そこから更にダメージを稼げるだろう。それにどうやら外的要因で受けた傷は治すのに時間が掛かる様だ』


 実際に邪龍モドキの尻尾は、未だに斬られた時のままであった。


 『そしてアキレス腱だが、先程も言ったが奴はまだ意識と体が定着していない。言わば不完全な状態。恐らく今なら、比較的鱗が薄い箇所を斬り付けられる筈だ』


 「成る程ね……分かったわ、それで行きましょう。私はアキレス腱を。エクスは引き続き、尻尾を攻撃してちょうだい」


 そう言うとエクスは何も答えず、単独で尻尾の方へと走り出した。


 「ちょっと!!? 返事位しなさいよね!! 全く……仕方ないわね。それじゃあルムは……」


 先行したエクスに呆れながらも、気を取り直してルムにこれからの動きについて指示を出そうとするが、既に正面から邪龍モドキと衝突していた。


 「……もう!! ここにはまともに会話出来る奴がいないのかしら!!? はぁああああああああ!!!」


 チームワークの欠片も感じられない動きに、ガミーヌは腹を立てながら剣を片手に邪龍モドキのアキレス腱を斬り付けた。するとかすり傷程度だったが、ルムの言っていた通り、意図も簡単に傷を負わせる事が出来た。


 「確かに、これなら行けるかもしれない。いや、絶対に行けるわ!!」


 巨体でその辺を歩き回る邪龍モドキ。その度に巨大な足が上空から降り注がれるが、動きはゆっくりとしている為、難なく避ける事が出来た。


 「(エクスは……大丈夫そうね)」


 順調にダメージを与える一方、仲間達の心配が脳裏を過る。ふと視線を動かし、エクスの方に向けるとガミーヌのかすり傷とは比較にならない程、切り落とした尻尾の先をズタズタに切り裂いていた。


 そしてどうやらこの邪龍モドキには、痛覚が存在しないらしい。ガミーヌの攻撃はともかく、エクスの攻撃に対しても無反応なのだ。


 「(いつ見ても豪快な剣さばきね。まぁ、この私のパートナーだし、当然と言えば当然よね。それより問題なのは……)」


 すると今度は反対の方向……つまり、邪龍モドキの正面に視線を動かした。そこではルムが相対していた。


 『……嘆かわしいな……』


 じっと目を見つめるルムに対して、邪龍モドキは何処か上の空。それどころか、目の前にいるルムを認識していない素振りを見せていた。その様子にルムは憐れみの目で見つめる。


 『誇り高き龍として生まれ、その輝かしい一生を終えて安らかに眠っていたのにも関わらず、外道な連中に死しても尚利用されてしまうとは、死んでも死にきれないだろう』


 『グルルルゥオン……』


 語り掛けるルムだが、邪龍モドキは一切反応を見せず、無我夢中で必要な栄養源を確保しようとしていた。


 『グルルルゥオン……グルルルゥオン……グシャアアアアア!!!』


 すると漸く目の前にいるルムの存在に気が付き、捕食しようと牙を向けて襲い掛かって来た。


 『フン!!!』


 迫り来る邪龍モドキの攻撃に対して、ルムは体を回転させて尻尾による死角からのカウンター攻撃を食らわせる。


 その衝撃によって、バランスが大きく崩れた邪龍モドキは地面に倒れる。


 「えっ!? 私まだ足下にいるんだけど!!?」


 そんなガミーヌの叫びも届かず、勢い良く倒れる邪龍モドキ。倒れた衝撃により凄まじい地響きが周囲へと伝わり、同時に土煙が舞い上がる。


 「…………げほっ、げほっ、げほっ!! ちょっと!! 足下には私がいるんだから気を付けてよね!!」


 土煙が収まると、そこにはガミーヌが五体満足の姿でいた。その隣には彼女を支える様にエクスも立っていた。邪龍モドキが倒される直前、エクスが逸早くガミーヌの元へと戻り、守った事で何とか巻き込まれずに済んだ様だ。


 『すまんな。咄嗟に尻尾が出てしまった』


 「たくっ……それで? これで終わりなの? 随分と呆気なかったわね」


 『いや、まだ地面に倒しただけだ。これからトドメを刺す』


 そう言うとルムは、邪龍モドキが起き上がろうとするのを片足で押さえ付ける。何とか逃れようと必死に抵抗するが、頭を押さえ付けられている為、思う様に動けなかった。


 『無駄な足掻きは止めるんだな。心配しなくても、今すぐ楽に……んぁ?』


 トドメを刺そうとしたその時、それまで激しく抵抗していた邪龍モドキが急に大人しくなり、体全体が青白く発光し始めた。


 「な、何なのよこれ!?」


 徐々に光は強さを増していく。


 『まさかこれは……不味い!! 伏せっ……!!!』


 次の瞬間、邪龍モドキのあらゆる箇所の皮膚や鱗を突き破り、内側から極細の青白い光線が飛び出した。


 光線は大地をドロドロに溶かし、空を覆っていた厚手の雲を真っ二つに切り裂いた。時間にして約三秒。しかし、光線を目の当たりにしているガミーヌ達からは、その数秒が何分にも感じられる程衝撃的だった。


 やがて光線は収縮していき、強まっていた光も弱くなっていった。


 「な、何が起こったの……?」


 奇跡的にガミーヌは光線に当たらなかった。そして彼女を守る形で側にいたエクスにも光線が当たる事は無かった。


 「エクス、あんたは……大丈夫そうね。ねぇ、ルム……いったい何が……っ!!?」


 しかし、ルムの方は無事では済まなかった。巨体な上、ガミーヌ達に避ける様、指示を出してしまった事で動くのにワンテンポ遅れてしまった。その結果、複数の光線をまともに食らい、瀕死の重症を負ってしまった。


 光線によって空いた穴から血が流れ出し、フラフラと体を数回揺らした後、力無く地面に倒れてしまった。


 「ルム!!!」


 慌てて駆け寄るガミーヌとエクス。半目でまだ意識はある様だが、今にも息絶えそうな程、か細い息遣いになっていた。


 『ひゅ……ひゅ……はは……は……ゆ、油断……してしまった……ワシも……もう年かな……』


 「ねぇ、大丈夫なの!!? 穴だらけだけど……伝説の生物なんだから、こんな傷すぐに治るわよね!!? そうでしょ!!?」


 『……どうやら……ワシは……ここ……までの様だ……』


 「何、弱気になってるのよ!! さっきまでの強気な態度はどうしたのよ!! ほら、さっさと立ちなさい!!」


 『……ふふっ、全く……どこまでも……生意気な……小娘……だ……な………………』


 「ちょっと……起きなさいよ……ねぇ、ねぇったら!!!」


 揺り動かしたり、頬をひっぱたいたり、必死に起こそうとするガミーヌだったが、無情にもルムが目を覚ます事は無かった。


 「こんなの……こんなのって無いわよ……これじゃあ、せっかく勝っても……素直に喜べないじゃない……」


 ガミーヌの目から涙が零れる。その時、地面が大きく揺れ動く。


 「……え?」


 ルムが目を覚ましたのではと期待していたが、相変わらず目の前のルムはピクリとも動かない。そしてそれと同時に、この地響きは別の方向から聞こえて来る事に気が付いた。


 「嘘……嘘でしょ……どうして……」


 そこには邪龍モドキが起き上がる姿があった。内側から皮膚を突き破る形で光線が発射されたが、当の本人はケロッとしていた。そして何事も無かったかの様に、再び栄養源となる物質を探し始める。スンスンと鼻を鳴らすと何かを見つけたのか、その場を離れて行ってしまう。


 「あの方向は……もしかしてあいつ“ラフス”に向かうつもり!!?」


 人々が集う場所であり、貿易としても有名。必要な栄養源が揃っている完璧とも言える場所。


 「ルムはもういない……互角に渡り合える相手がいない……あんな化け物に私達だけじゃ……」


 もう駄目だ。そう諦めようとした時、ルムの亡骸が目に入る。


 「…………そうよ、一度依頼引き受けたのに……ここで諦める訳にはいかないわ。それに……ルムの敵討ちだって済んでないしね。エクス、手伝ってくれるわよね?」


 そう言うとエクスは何も言わず、ガミーヌの隣に立った。


 「よし……それじゃあ、私達だけであの化け物を止めるわよ」

まさかのルム死亡!!?

そして次回、たった二人だけで邪龍モドキと戦う!!

次回もお楽しみに!!

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