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潜入

今回、噂の邪龍教団とウロメティアが登場!!

 「もう!! 何なのあいつ!! 偉そうに命令して!! 自力で解決出来る癖に、動こうともしないなんて!!」


 ルムから別れたガミーヌとエクスの二人。それから少しして、ガミーヌが先程のルムとのやり取りに対して、文句を垂れ始めた。


 「そりゃあ、伝説的な存在である龍に会えた時は嬉しかったわよ。ちょっと怖かったけど、それでも神々しい姿に目を奪われたわ。なのに、少し話をしたら何なのよあの態度は!!」


 一人でコントでもしているのかというレベルで、体全体を右から左へと動かす。


 「私、ああいう立場を利用して物を頼む連中が大嫌いなのよ!! 確かに、自分達の力じゃどうにもならない厄介事は仕方ない!! けど、だからって何の努力もせずに只助けられるのを待ってるだけなんて、そんなんじゃあ一歩も前に進めないわよ!!」


 怒りのあまり両手の爪を立てて、髪をぐしゃぐしゃと掻き乱すガミーヌ。


 「それに何よ!! 同胞達が眠る神聖な場所!!? そんなに大切な同胞なら、墓参りの一つでも行ってやるのが筋じゃない訳!!? あぁ、ムカムカが全然収まらない!! あの蜥蜴野郎のスットコドッコイコイ!! ムッキー!!」


 髪の毛をボサボサにしながら、顔を真っ赤に染め、遂に人語すら話せなくなる程、怒り心頭だった。


 「ふん!! あんな意気地無しなんていなくたって、私達二人だけで邪龍教団を壊滅させてやるわ!! ねぇ、そうでしょ!!?」


 「…………」


 ガミーヌはエクスに同意を求めるが、相変わらずの無言であった。


 「いつも思うけど、相槌の一つでも打ったらどうなの!!? 私はパートナーなのよ!!? 全くどいつもこいつも……やってられるかぁああああ!!!」


 遂に発狂してしまうガミーヌ。それでも二人はズンズンと龍の墓場へ足を運んで行くのであった。




***




 「はぁ……ふぅ……ふぅ……着いたわね。ここが……はぁ……龍の墓場……」


 息を切らし、情緒が不安定になりかけながらも、何とか龍の墓場へと辿り着いた二人。


 そこには龍の骨が幾つも転がっており、そのどれもが一切風化しておらず、原型が完璧に残っていた。その様子から死して尚、生物の頂点である龍としての威厳が感じ取れた。


 「ルムの事があって、ちょっと疑ってたけど……やっぱり龍っていうのは偉大な生き物よね。まぁ、それとルムに対して怒りは関係無いけどね!!」


 嫌みたらしく敢えて強く言う事で、自分がどれだけ怒っているのかをエクスにアピールするガミーヌ。


 すると、そんなガミーヌの肩を突然両手で掴むエクス。このあまりに大胆な行動にガミーヌも思わず頬を赤らめて照れてしまう。


 「ちょ、ちょっとエクス……いくら二人きりだからって、そんないきなり……私達まだ知り合ったばかりじゃない。でも……良いわよ……エクスになら、私の初めてをあげ……えっ?」


 と、言い掛けたその時、エクスはガミーヌを180度回転させ、右手で後頭部を掴んだかと思うと次の瞬間、一気に地面に押し付ける形で無理矢理前のめりに倒した。


 「ふぎゃあ!!?」


 当然受け身など取れる筈も無く、顔面から勢い良く地面に突き刺さった。幸いにも地面は柔らかい土だったので、傷だらけになる事は無かった。


 「ちょっと!! いったいどういう……っ!!」


 直ぐ様起き上がって、文句を垂れようとするよりも早く、エクスはガミーヌと同じ様に前のめりに倒れた。そして小さく正面を指差す。その指に誘導され、顔を正面に向けると……。


 「あれって……?」


 そこには、何やら金色の龍柄模様が施された黒装束を身に付けた怪しい集団がぞろぞろと姿を現していた。彼らは周辺にある龍の遺体を漁り始め、やがて各々が各部位の骨を手に入れると、全員同じ方向に向かって行った。


 「もしかして、あれが“邪龍教団”? あの連中の後を追い掛ければ、奴等が集まっている所を一網打尽に出来るかもしれない。でも、このままじゃ目立って確実にバレちゃうわ。いったいどうしたら……ん?」


 どう忍び込もうか思案していると、都合良く先行集団から少し遠く離れた位置に遅れてやって来たであろう“二人組”の教団員が歩いていた。


 「……んふっ♪」




***




 「「んー!! むー!!」」


 「悪いわね。少しの間、この服借りるわよ」


 先行集団に気付かれない様、なるべく音を立てずに二人組から衣装を剥ぎ取るガミーヌとエクス。中から現れた小汚ないおっさん達を縛り上げ、見つからない様に龍の遺体の物陰に隠した。


 「よし、これで奴等に近付いてもバレる事は無いわ。我ながら完璧な作戦ね。だけど自分でも恐ろしい、私って何を着ても似合ってしまうのね」


 そう自負するガミーヌだったが、明らかに背丈と横幅が足りておらず、ブカブカのダルダル状態だった。


 「それに対して……エクス、あなたはまだまだね。服を着てるんじゃなくて、服に着られてる感じ」


 一方で、エクスは反対に背丈と横幅が限界を超えており、ピチピチのパツパツだった。動く度に服がミチミチと音を立てる。それでも何とか顔だけは隠し通しているのが執念を感じる。


 「さてと、無駄話はここまでにして、早速奴等の後を追い掛け……きゃあ!!?」


 後を追い掛けようと歩き出した瞬間、ダルダルの裾に足を取られてしまい、その場で転んでしまった。


 「ん、んんっ!! それじゃあ気を取りなして、奴等の後を追い掛けるわよ」


 慌てて起き上がり、パタパタと服の土汚れを叩き落とすと、何事も無かったかの様に先行集団の後を追い掛けるのであった。




***




 先行集団の後を追い掛けて辿り着いた先は、自然的にでは無い意図的に作られたであろう龍の骨に囲まれた巨大なクレーターだった。既に数百名の教団員達が集まっており、一番下の中央に紫色で外側が丸い二重線、内に逆五芒星の紋様が描かれていた。


 「まさかあれって“魔方陣”!!?」


 周囲に聞こえない様、小声で呟きながら驚くガミーヌ。


 「前に本で読んだ事があるわ。特殊な儀式を行う際に用いる技法で、描かれる紋様によって効果も異なるらしいの。二重線に逆五芒星……あー、何だったかしら!? ここまで出てるのに……こんな事なら家庭教師の授業、ちゃんと聞いておくんだった!!」


 必死に思い出そうとしていると、教団員達が次々と歓喜の声を漏らし始めた。彼らの視線の先に顔を向けると、先程の魔方陣の中央に他の教団員達とは異なる赤色の龍柄模様が施された黒装束を身に付けた人物が立っていた。


 やがて周りが静まりかえると、その人物はフードを外して素顔を現した。それは赤いメッシュの入った黒髪に、左右が青色と金色のオッドアイを持った男だった。


 「如何にもな奴が現れたわね。きっとあれが……いえ、間違いなくあいつが教祖の“ウロメティア”ね」


 「献身な信者達よ。この記念すべき日によく集まってくれた。今日、遂に我々の長きに渡る念願が成就されるのだ」


 ウロメティアの言葉に周囲の教団員達は、全員興奮で沸き上がった。


 「だが、その前にどうやら“客人”をもてなす必要がある様だ。そこの二人を捕らえよ!!」


 「えっ!!?」


 するとウロメティアは、ガミーヌとエクスの方を指差し、捕らえる様に指示を出した。この突然の出来事に狼狽えてしまったガミーヌは逃げる暇も無く、教団員達に取り囲まれてしまった。


 「い、いったい何の事でしょうか? わ、私達は邪龍教団の熱心な信奉者です」


 「フフフ、下手な嘘は止めるんだな。見苦しいだけだぞ」


 慌てて誤魔化そうとするも、そこに人混みを割ってウロメティアが目の前に現れた。


 「ウロメティア……」


 「大方の予想は付く。お前達、冒険者ギルドから派遣されて来たのだろう」


 「……さすが、元王宮魔術師だけの事はあるわね。私達の完璧な変装を見破るだなんて……」


 「いや、誰が見たって普通に分かる」


 「へ?」


 「何処の世界に、この前までいなかった図体がでかくてピッチピッチの衣装を着た奴と、背丈が低いダボダボの衣装を着た奴を仲間だと思う奴がいる? 逆に気付かない方がマヌケだ」


 「そ、そんな……完璧な作戦だと思ったのに……」


 このバレバレの作戦を本気で完璧だと思っていたガミーヌにとって、ウロメティアの残酷な真実は膝から崩れ落ちる程、ショックが大きかった。


 「落ち込んでいる所悪いが、そろそろ儀式の時間なのでな。お前達二人は大人しく捕まって貰おうか」


 「そうはいかないわよ。エクス、あなたの出番よ!!」


 そう言うとガミーヌとエクスは黒装束を脱ぎ捨て、元の服装に戻った。そして次の瞬間、エクスが愛用のエクスキューショナーを取り出し、拘束しようと近付いて来た数人の教団員達の首をまとめてはね飛ばして見せた。


 「何だと!!?」


 これには他の教団員達は勿論、ウロメティアも驚きと動揺を隠せなかった。


 「見た? これが私達の実力よ。死にたくなかったら、大人しく捕まる事ね」


 「……何をしている。相手はたったの二人だけ。対して我々は百名以上いる。多勢に無勢、さっさと取り押さえるのだ!!」


 ウロメティアの命令により、教団員達は一斉にガミーヌとエクスに襲い掛かっていくのだった。

次回、邪龍教団との激しいバトルが勃発!!

次回もお楽しみに!!

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