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フリー・シンギュラー・オンライン 悪役志望のロールプレイング  作者: 神代悠夜
第一章 存外、世界は非日常で満ちている
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第9話 商人との再会




私は異邦人ら、およそ三十人程度の殺害に成功した後、一度領主の屋敷に戻ろうと街の入り口まで戻ってきた






ようは私が動いたという実績が僅かでもあればいいのだ。この街に一体の何人の異邦人が居ると思っている。その全てを相手にするのは不可能、であれば適当に仕事をしたフリだけしていればいい






街の入り口には街を守っているらしい衛兵のような人が数名居るが、多分通してくれるだろうと思いそのまま歩いて門まで近付いたが、衛兵達が槍を向け威嚇してきたので思わず立ち止まってしまった





「止まれ! 貴様、異邦人か! 」 





「あぁ、私は異邦人だ。だけど......」





「異邦人め! お前らにこの街を壊させやしねぇ! 」





「ここならまだ街の外だ! 騎士さま達は、俺らが街の外で人を殺しても、罪に問われないと言ってた! 殺しちまおう! 」





「へへっ、お前らが悪いんだよ! 俺らの街で好き勝手して荒らすから....」





「お、おい、お前ら正気か?....あんな奴に勝てるはずがないだろ? 正気じゃないのか? 俺は逃げるぞ」





どうやら衛兵達には、私という、異邦人の協力者がいると言う情報を伝えていないらしい。情報の伝達がなされていないという事はこいつは末端の人間、殺しても構わないだろうけど、どうしよう






衛兵達は私の言葉を遮り、仲間といくつかの言葉を交わすと、数人は逃げだし、それ以外の衛兵達は、私を対し、敵意を抱き槍を突き出してきた






私でも回避できる程度の攻撃だったが、数が増えればそうもいかない。となれば衛兵達を殺しながら領主の屋敷に向かうか? いや、ダメだ。異邦人からこの街を防衛する数少ない戦力が減ってしまう






こんな手合いの相手などせず、空から向かうのが手っ取り早いな







「ははははは! なにこれ楽しい」





「空を....飛んでるだと....」





「ま、魔族だ! 魔族の異邦人が来ちまった! 急いで騎士様に伝えて応援を呼べ! 」





「女子供を逃がすんだ! ほらッ! 死にてぇのか! 早くしろ! 」





私は【竜化】を使い、背中から黒い翼を生やすと、空を飛んでみた。翼はまるで手足のように自分の思った通りに動く、本来存在しない器官をこうも容易く扱えるのはどうしてだろうか? その辺りの検証も追々







上空から見える景色は美しく、風も気持ちいい。だがいつまでも領主の屋敷に行かないわけにはいけないので、少し飛び回った後、私は領主の屋敷の庭に、降り立った






竜化を解除し、しばらくすると騎士達が数人こちらに集まって来た。どうやって突破すれば良いかと思ったが、どうやら私が異邦人の協力者だと領主に伝えられている者が居たらしく、なんの問題も無く領主の居場所を教えてもらうと、私は真っ直ぐに領主の部屋へとむかう





「どうも領主サマ、異邦人があんま来なかったんですけど、どういう事ですかねぇ? 」





「なっ......貴様! 領主様になんて無礼な! 」





「それはレイム殿が待ち伏せる場所を間違えたのでは? レイム殿は新米冒険者達が行く危険度が全く無い森に行ったのだろう? あの森の先は何も無い。異邦人達はみんな他の街の方に逃げて行ったからいいものの....まったく、私の宝を使ってわざわざ力を与えてやったのにこのざまとは......」





昨日みたいなお行儀のいい態度ではなく、タメ口で私は領主に話しかけた。領主達の機嫌をとる必要を感じなくなったからだ





騎士達は数体集まっていたとしても容易に無力化出来ると思うし、騎士団長だって、倒すとまではいかなくとも、空を飛んで、軽々逃げ切れる自信すらある





私の態度に怒っているのか、領主は私を責め立ててきた。異邦人達を待ち構える場所に、指定は無かったはずだ。だがあまり異邦人達を殺せなかったのは事実なので黙って話を聞く事にする





「まぁ、異邦人達を街から追い出せはしたので、この件はこれからも私のために無償で働くのならば、許してやろう」





領主はふざけた事を言い出した。領主は私に、自分のために無償で働けと言い始めたのだ。何が悲しくてお前の駒として無償で働かなきゃいけないのだ。私は流石に腹が立ったので言い返す





「はぁ? なんで私が領主様のために無償で働かないといけないんですかぁー? 労働基準法って知ってます? ......じゃなくて、他人に物事を頼む時は、それに伴う対価が必要って知らないですかぁ? あ、知らないか! 領主様は無知だからねぇ! 」





私は領主が知り得ない情報で煽っても仕方が無いと思い、わかりやすい言葉で領主の怒りを誘う。侮辱罪を適応されるかもしれないかと思ったが、そうなっても逃げれば良いだけだ





「貴様....もういい! 騎士団長! こいつを殺せ! 」





「死ねぇ! 外来種が! 」





「おぉ怖い怖い。お顔真っ赤にして、私一人殺すのに必死かな? 」





領主は顔を怒りで真っ赤に染め、騎士団長に命じる。やはり私の予想通り、この領主は自分がバカにされると感情にまかせて暴走するタイプだ





私は騎士団長の剣を防ぐために、左腕【竜化】させて背中に翼を生やすと、左腕の黒い鱗で騎士団長の剣を弾いて、部屋の窓から飛び立つ





「死にたくないので逃げさせてもらうよ。『この復讐は、いつか必ず』なんつって」





領主の部屋は2階にあるので、私を追うためには、騎士団長は一度1階に降りる必要がある。私はこれだけ距離を離せば簡単に逃げ切れると思い、上空から領主の屋敷を見下ろす





「いい眺めだなぁ....ん? あれは....? 」





すると領主の屋敷に、一人の怪しい黒い服装の人物が入っていった





試しに【鑑定】してみようとすると、鑑定結果は表示されず、ノイズがかった何も書かれていない鑑定結果が表示された。私の【鑑定】は抵抗(レジスト)されたのである。つまり、あの怪しい人物は私より、強者だと言う事になる





黒い服装の人物がゆったりとした動きでこちらを向いた。不味い、このままではやられる。私は危険を感じ、すぐさまその場から飛び去り、東へと向かった





体感で三十分ほど飛び続けると、フォダンの街より少し大きめの街が見えてきたので、街から少し離れた所で地上に降りて、竜化を解除し、徒歩で街へと向かった







◆◇◆◇◆







私は街へと入るために大きな門へ近付いてみると、門の前には大きな列が出来ていた。どうやら街に入るためには列に並ばなければならないらしい





私は周りに習い、列の最後尾に並び、気長に自分の順番が来るのを待つ。列の進み具合は大分早いようだったので、待ち時間はさほど長くはならないだろう





「あれっ? レイムさんじゃないですか。昨日は助けてもらってありがとうございました」





そんな事を考えながら街を囲う古びた城壁を眺めていると、突然目の前の人間(ヒューマン)が話しかけてきた。目の前の人間は昨日助けた異邦人の商人、クリンだった。暇だったので会話をして時間でも潰そうと思う





「いいよいいよ、私も十分楽しませてもらったしね。ところでクリンくんはなんでこの街に?」





「ここ、シュルーベルツの街に僕の家があるんですよ、プレイヤーホームってやつです。だから僕、この街については結構詳しいんですよ! あ! この後時間あります? 良かったら僕がこの街を案内しますよ! 」





「おぉー、それは助かるよ。私は今日初めて、この街に来たから街を散策しようと思ってたんだ」





クリンと会話をしていると、この後街を案内してくれることになった。科学者のギルドを探していたので、探す必要が無くなる案内は嬉しい 





門の前に出来た列は、予想以上に早く前に進み、クリンと私の番がやってきた





「次はそこの二人、何か自分の身分を証明出来る物をご提示いただけますか? 」





クリンはギルドカードという物を提示していたが、私にはそのような身分を証明出来る物は無い。その事を門番に伝えると、入場料に一万Gを支払う事で1週間出入り自由にしてくれるらしい





私は一万Gを支払い、金属の板のようなものを受け取る





「ではこれを。紛失した場合は十万Gの罰金ですのでしっかりと管理しておいて下さい」





私は金属の板をストレージに仕舞い込むと、シュルーベルツの街の中へと入ると早速クリンに科学者ギルドに連れて行ってもらえるように頼んだ




 



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[良い点] めっちゃ見やすくなりました! 修正ありがとうございます。 [気になる点] 主人公のセリフの中の『』部分は、憧れの悪役のセリフってことなんでしょうか?もしくは悪役ロールとしてのセリフなんでし…
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