表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/52

第42話 製薬実験






あれだけ言えば何処かへと逃げて行くかと思ったが、以外にもクレアは私の数歩後ろを、私の気を伺うようにして付いてきている





よく黙って付いて来られるものだ。感心するね。私なら我慢して付き従うなんて絶対に嫌だ





しかし困ったな。クレアが何処かへ行ってくれていたら、闇ギルドに行こうかと思っていたのに。流石に信頼度が地の底を突き破っている現状で闇ギルドになんて行ったら今度は何を言われる事やら





訳もわからずに罵詈雑言を浴びせてくるクレアの姿がありありと想像できる。仕方ない。今日は闇ギルドはなしだ






改造スキルの検証をしておきたかったし、今日は科学者ギルドの実験室でも借りて、適当にアイテムを作ってようかな。既にアイデアはいくつか浮かんでいるし










▲▽▲▽▲








王都の科学者ギルドに来るのは初めてだ。シュルーベルツの街の科学者ギルドではギルド職員にタカり、調合セット一式に装備、武器までを買って貰ったけど、今回は物乞い目的ではない






「レイム様のギルドランクはFですので、実験室の利用は有料となります」





世知辛い。闇ギルドでは製薬室の利用料金なんて取られなかったのに。どうやらギルドランクがCになれば無料で実験室を利用可能になるらしいが、先はまだまだ長いな





利用料金の銀貨一枚を支払い、ギルド職員から実験室の鍵を受け取り、私は実験室へと向かった







金を取るだけあって科学者ギルドの実験室の設備は闇ギルドの粗悪な物とは比べ物にならないくらいだ。なにか足りなければ素材も二階で買えるし、銀貨一枚でも安いくらいかも






「あなた、本当に科学者だったのね…あ、いや、馬鹿にしてる訳じゃなくて…」





「良いよ。そういうの。慣れてるから」





他の異邦人達の中には科学者で戦闘を行っている者も少なからずいる筈だが、現地の人間からすれば非戦闘職の人間が前線を張るのはおかしな事なのだろう






さて、科学者の基礎的なとして薬品作成というスキルがある。職業スキルではないものの、科学者ギルドで習得の手助けをしていたりするらしく、掲示板によると科学者の殆どが薬品作成のスキルを習得しているらしい






「まぁ、私は薬品作成のスキルを持ってないんだけどね」





「え? いまなんて…」





言ってフラスコに抽出した薬草のエキスを移していると、フラスコが熱を持ち、手元で小規模の爆発が発生した






あれ? おかしいな。ポーションの作り方はこれで間違いない筈だし、前回作成した時は爆発なんて怒らなかった。薬品作成のマニュアル操作にはスキルによるアシストが存在していたのかも? 






作り方が間違っているのだろうか? 素材は薬草に清らかな水。これで一応質はあまり良くないが回復ポーションは出来る筈だし、これに適切な素材を追加する事で回復量を上げたり、追加効果を付与する事が出来る







「は、はやく水で冷やして! 《バーンキュアー》《ヒール》」





それにしたって魔法は凄いな。焼爛れた手がこうも簡単には治ってしまうなんて。ガラスの破片なんかが肉体に残ったまま再生するのか、疑問に思ったのでそのまま眺めていたら破片を取り除くように腕は元の形をとっていたし





「ごめんぼーっとしてた。次から気を付けるよ」





理論上スキル無しでも回復ポーションくらい作れる筈だが、何故か失敗してしまったし、薬品作成の再習得は難しそうだ。まぁいっか。私には改造スキルがある






薬草から抽出したエキスを複数指定し改造を発動。完成した一品は通常の回復ポーションの五倍の回復量。私のHPを十回は全回復できる量だ





「出来た。ねぇねぇ、これいくらくらいになるかな」






「…ごめんなさい。あまりそういうのに詳しくないの」






チッ、使えねぇな。まぁいいや。薄めたら普通の回復ポーションが複数本作れたりしないかな。いや、それでただの水になってしまっては元も子もない。材料も残りわずかだし、あまり余裕はない






残りの材料で濃縮回復ボーションを作成し、出来上がった五本をストレージへと収納しておく。なにか怪我をした時はこれを使えばある程度の傷までならこれで何とかなりそうだ






そう遠くないうちにクレアとは別れる事になるだろうし、回復手段は出来るだけ多く用意しておかなくては。それまでには魔法もいくつか教えて貰いたい。出来れば遠、中距離の攻撃手段として属性魔法。次点で回復魔法が欲しい







今回作る魔法の代用品の性能が良ければ、属性魔法より回復魔法を優先するが、攻撃魔法もいずれは習得してみたい






「私を爆発から保護するような魔法ってないかな? バリアーみたいな」





「ダメージを一番軽減してくれるのはメタルボディだけど、一切身動きが取れなくなるわ。だから、《プロテクト》防護の魔法をかけたから、ある程度の爆発ならへっちゃらよ」





おぉー魔法ってすごい。やっぱり魔法があるのと無いのでは快適さかなり違ってくる。とにかく、これである程度爆発したって死ぬことは無くなった。安心して失敗する事が出来る






以前毒を調合する依頼を闇ギルドから受けた際には盗んだ素材、爆発貝の欠片を砕き、同じように砕いたスケルトンの骨と混ぜる。試験管のような細長い瓶に魔力を込めた水と砕いた物質を詰めて、改造を済ませる





「うーん。上手く出来たかわからないな」





【鑑定】してみた所、目的としていた属性は付与されているようだが、どれ程の規模のものなのか。私の想定通りであればいいのだけど






「耳を塞いで隠れてた方が良いよ」





「ちょっ、なにを…」






完成した瓶を投擲。倒した机を盾に身を隠す。数秒遅れて、爆発と共にスケルトンの破片が辺りに撒き散らされる。ふむ、貫通性能は低めか。素材が悪いし仕方ない





爆発貝の欠片自体の爆発の規模はゴブリンを木っ端微塵に吹き飛ばせる程度のものだが、使い方次第でゴブリンリーダーやキラービーくらいまでは使えそう





旧時代の手榴弾を模した劣化品とは言えなかなかの性能だ。初心者相手に高値で売り付けるのもアリか、いや、売るとしたらスケルトンの骨は用意できても、爆発貝の欠片を何処かから仕入れる必要があるし。あまり値段を高額に設定すると誰も買わなくなってしまう






とても採算が取れるとは思えないし、やるとしたら恩を売る目的での慈善事業。でもあんまり効果無さそうだしなぁ…






「すごい音がしたのですが、大丈夫ですか? 」





爆発音を聞きつけ、実験室にギルド職員が駆けつけてきてしまった。不味い。部屋の惨状を知られたら修繕費を要求されてしまうかもしれない。もう少し後でなら、計画さえ上手く行けば金はいくらでも手に入る。が、今の私では到底払える額とは思えない





逃げよう。それしかない。扉を開き、勢い良く飛び出しわざとギルド職員を押し倒す






「おっと、申し訳ない。良ければこれをどうぞ。出来立ての回復ポーションです。…少し濃いかもしれませんが。急いでいるので私はこれで。では」






申し訳なさそうな表情を作り、平謝りで切り抜ける。クレアの手を引き、私は科学者ギルドを立ち去った
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ