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フリー・シンギュラー・オンライン 悪役志望のロールプレイング  作者: 神代悠夜
第一章 存外、世界は非日常で満ちている
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第11話 科学者ギルドに行こう!




科学者ギルドの外見は2階建ての旧世代の病院を縮小化したような見た目をしている





「あー....じゃあ僕はこの辺で待ってます」





私が科学者ギルドに入ろうとすると、クリンがそう言い出した





「え? 中まで着いてこないの? 」





「いやぁ....僕って商人ですし、あまり他職のギルド行くのは良くないかなと思いまして」





クリンによると、他職のギルドに入るのはあまり良くない行為らしい。明言はされていないマナー、暗黙の了解みたいな事だろうか? 





「そう、じゃあ行ってくる」





扉をくぐり、周囲を見渡す。科学者ギルドの中は人が見当たらず、薬品特有の香りが充満し、何やら寂しげな空気感が部屋の隅々まで漂っていた





「すみませーん、ギルドの登録がしたいんですけど、誰か居ませんかー?」





私が大きな声で部屋中に呼びかけてみると、部屋の隅で、ナニカがもぞりと動いた。私は恐る恐る、もぞりと動いたナニカに近づく





「おぉ....イノシシか、久し振りに見たな....美味しそう」





ちょうど触れるぐらいの距離まで近づいた。部屋の隅にいたのは小さな猪だった。生きた猪を見るのは昔山で迷子になった時以来だ。あの時は本当、死んでしまうかと思った。血抜きをしてない獣肉は不味くて食えたもんじゃ無かったし、2、3日程度で救助の人に見つけて貰ったから良かったものの、もし見つけてもらえていなかったらと思うとゾッとする





それはさておき、この猪、サイズ的に多分子供の猪だ。私は猪をじっと観察する。何故こんな所で自由にしているのだろうか? 実験動物として檻の中に入れられているならともかく、何故?





そう考えていると、猪と目が合った





猪は私を見るなりキィーキィーと鳴き始めた。敵として認識したのか、威嚇をしている





「【威圧+1】....よし、静かになった」





私は猪の鳴き声がうるさかったので、威圧を発動し、猪を萎縮させる。部屋の隅で動かなくなったが、多分死んではいないと思う






私は今までスキルを発動する際、思念操作で発動していたのだが、今回試しにスキル名を声に出して威圧を発動してみると、かなり楽にスキルを発動できた





今まで私は、スキル名を頭の中で強く意識してスキルを発動していた為、ほぼ毎回、精神的に、軽めの疲労感を感じていが思念操作を常用していた事が原因だったらしい





これからは思念操作とスキル名を声に出す方法、両方を使い分けて、負担を少しでも軽減しておこう





「あのー....ウリ助を捕まえるの手伝ってくれてありがとうございます。それで科学者ギルドにどのようなご用でしょうか? 」





私がスキルについて考えていると、先ほど動かなくなった猪を両手で抱えながら、白衣を着用した茶髪の女性が私の目の前に突然現れ、話しかけてきた。

いや、単寿に私がスキルについて考えていて周りが見えていなかっただけだが





「あの、ギルドの登録がしたいんですが」





「え? あの....失礼ですがご職業は? 」 





私がギルドに登録がしたいと申し出ると、茶髪の女性は不思議そうな、いや、これは疑いを抱いている表情か。私に対する不信感を顔に浮かべながら、私の職業を聞いてきた





科学者(サイエンティスト)です」





「......ではギルドカードを一度お預かりしてもよろしいでしょうか? 」 





私が茶髪の女性にギルドカードを手渡すと、茶髪の女性は猪を置いて奥の方に消える






猪が動き出した時にいつでも捕まえられるよう、猪に近づき、毛並みを楽しんでいると、茶髪の女性が慌てた様子で戻ってきた。あ、転んだ。茶髪の女性は結構ドジみたいだ





「本当に申し訳ありませんでした! あの....ここ最近他職の方が職業を偽って科学者ギルドに登録させろと言ってくる事が多くて....その....あなたもそうゆう人だと思ってました! すみません! 」





「えぇ....唐突な謝罪。登録終わりました? 」





「えぇ、勿論終わりました! これでレイム(・・・)さんも科学者ギルドの一員です! 」





私の顔が凍り付くように固まる。しかし表情は崩れていない。キープ出来ている。しかし何処で間違えた。今後に生かすために。もう二度と失敗しないように。警戒心と敵対心を押さえ付け、私は疑問を聞いてみる





「名前」



「え?」



「どうして私の名前を? 」




そう、この茶髪の女性は、私の名前を呼んだのである




何故、私の名前を知っている? 私はまだ自分の名前を名乗っていないはずだ。私は純粋に、寒気がした




一瞬、この茶髪の女性を殺してしまう事も考えたが、こんな街中で殺人などを起こしてしまったら、死体の処理が面倒だ。流動的に人間を殺すのは、あまり良い行動じゃない





私は感情的にならないように落ち着いて、何故、私の名前を知っているのかを聞いてみる





「え? あ......実はさっき、ギルド登録だけじゃなくて、魔導具でギルドカードの内容を....そのー....読み取って、本当に科学者なのか確認してたんです。すみません!」





魔導具ってなんだろう。私は気になったが、今はそれどころじゃない。私は威圧は発動させずに、されど多少の威圧感を言葉に乗せながら問い詰める





「読み取った? 何をですか? はっきり答えて貰わないと困るんですが」





「は、はい! お名前と種族と職業、それと総合Lvを見ちゃいました、ごめんなさい! 」





どうやらステータスやスキル、称号などは読み取られていないようだ。よかった、これで一安心......いや、良くない





この街の法律的なものはわからないが、ギルドカードの内容を無断で覗き見るのは多分良くない事だろう





「あのさぁ? 『ごめんで済むなら警察は』じゃなくて....この場合はなんだろう? まぁいいや、とにかく、謝るだけなのかって事。ほら、あるでしょ? 謝罪の気持ちとか」





私はそれを逆手に取り、何か価値のある物を奪い取ろうと思った





そういえば警察みたいな組織って存在するのだろうか、あまり聞いた事が無い。多分騎士団やら衛兵がその役割に就いているのだろうし、警察は多分居ないか





「え、えぇそれはもちろん! それで....何が欲しいんですか? 流石にあまり高い物は買えませんよ? わたしの出来る範囲でお願いします」





「......じゃあ装備下さい」





この茶髪の女性が何か買ってくれるようだ。でもあまり高い物はダメらしい





今欲しい物....装備ぐらいしか浮かばないな。まぁ無料(タダ)だし。貰えるものは貰っておこう





私が茶髪の女性に頼むと、茶髪の女性は階段を上り、科学者ギルドの2階へと上がっていった。私も続いて2階に上がる





どうやら科学者ギルドでの物品の売買は、2階で行われているようだ





科学者ギルドの2階には体力回復薬(HP回復ポーション)魔力回復薬(MP回復ポーション)などと少しの装備類が販売されていた




「どうぞ! 好きな物を選んで下さい! ......出来ればそんなに高くない物でお願いします」





私は軽く見て、欲しいと思った物品をいくつか取ると、茶髪の女性の所まで持ってくる





「白衣と、このメス、あ、替えの刃も30本ほど、あとは【薬品作成】に使う道具と、他にあるといい物ってある? なんかあったらそれも欲しいんだけど」





最初に持っていたフラスコは毒薬に使ってしまってもう無い。道具類も、オートで体力回復薬を作成していた最中に壊れてしまった





私が要求すると、茶髪の女性は初心者【薬品作成】セットという物を持ってきた





なんでも1つの魔導具に【薬品作成】で使用する必要のある機能がまとめられているらしく、さらに耐久性もかなり高いらしい。私はそれも選び、フラスコを箱ごと2箱、茶髪の女性に買ってもらうことにする





「うぅ....わたしの貯金が....」





私が選んだ物の総額は、12万G(ゴールド)ほどだった。茶髪の女性がなにやら嘆いていたが、意図的に無視する





これで装備も更新でき、武器も入手出来た。【薬品作成】に使う魔導具も入手出来た。しかも無料で。途中ヒヤッとしたが、そのお陰で無料でいろいろ貰えたのだし結果的には良かった





私は気分を良くしたまま、科学者ギルドを後にした






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