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29.確認、それは愚か
あなたに似た人を見かける度
振り向いたのは
あなたじゃないってことを
きちんと確認するため
あなたかどうかを
確認するためじゃない
だって
見間違えるはずがない
どれだけ同じ空気
吸ってたと思う?
声も
髪も
広い背中も
大きな手も
その横顔も
見間違えるはずがない
ただ
ただね
あなたに似てない人でさえ
振り向いて確認してしまうほど
あなたに会いたかったんだと思う
心のどこかで
あたしは
あなたを探してたんだと思う
そんなこと言われても
困ってしまうであろうことも
ごめんね、と
言わせてしまうであろうことも
わかっているのだけれど
あたしはちっとも優しくないから
そんなことを言ってしまうし
あなたを想う
どうしようもない愚かさで
あなたを想う