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27.雨、滑り台の下で
冷たいコンクリートの上
裸足で飛び出した
雨の中 走って走って
それでも
知っている場所にしか
辿り着けない
誰も追いかけてはこない
あたしはひとり
振り向きながら
そんなこと確認してた
歌いながら泣いた
何が伝えたいかわからなくて
好きな歌手の言葉を借りた
裸足に突き刺さる石
痛くはない
血も出ない
雨が全てを洗い流す
冷たい金属の匂い
もたれかかった
雨の中 叫んで叫んで
それでも
誰に届くわけでもなくて
霞んで消えた
通り過ぎていく車
あたしは眺めて
温かい風景
笑っているならそれでいい
歌いながら泣いた
何を伝えたいかわからなくて
好きなメロディーを探す
重くなった体
痛みはない
冷えてゆく
雨があたしを地面に吸いつける
公園
滑り台の下
膝を抱えて
ひとり待った
誰かが来るのを
歌いながら泣いた
何かを伝えたくて
あたしの言葉を探して
爪の中は砂だらけ
痛くはない
少し寒い
雨よ もっと降って