10.一方的な話
たとえば
あなたを憎めたなら
どんなに楽になるか考えてみた
世界は笑ってくれるだろうか
私は幸せになれるだろうか
丸一日考えて
出た答えは
世界は笑うかどうか
私が幸せになるかどうかじゃなく
「私はあなたを憎めない」で
私はきっと誰よりも
あなた贔屓なのだと
なんだか笑えた
世界とか
幸せとか
誰が誰より良い人とか
誰が誰より劣るとか
無関係なんだよと
あなたに言ったら
あなたはまた困るだろうか
あなたはまた嫌われることを
望むだろうか
でもね
押し付けがましいと
我ながら思うのだけれど
私があなたを想って悩むのは
あなたが愛しいから
あなたが大切だからで
どうでもよかったら
嫌いだったら
憎めるなら
悩まないし
あなたを想って
涙なんかでない
寂しさに襲われるのは
失うことが怖いから
「良いとこも悪いとこも含めてあなたはあなただから好きなの」
なんて言ったら
他の人を好きになった私は
卑怯だし
自分勝手だし
「何が俺で、どこからどこまで俺なのか」
と言われそうだね
自分のことも
わからない私には
100%の答えはだせない
あなたは納得しないかもしれない
だけど
「何が」でも
「どこからどこまで」でもない
あなたなら知ってるつもり
あなたが
何が好きで
何が嫌いか
あなたが
何が得意で
何が不得意か
あなたが
どれだけ優しくて
どれだけ弱いか
あなたが
どれだけ温かくて
どれだけ泣き虫か
ねぇ
出逢ってから今まで
一緒に過ごした時間は
決して無駄でも後悔でもないでしょう?
私は頭が悪いから
あなたを嫌いになったりできないよ
私は頭が良いから
あなたと歩ける道を探してみるよ
一緒に歩けないなら
せめて
あなたの靴ひもを結ぶ係でもやろう
ほどけて
歩けないなら結ぶよ
歩き疲れたら
左と右の靴ひもを結ぶから
少し休憩しよう
これもまた
一方的過ぎる話だと
言われてしまうかもしれないけれど