死は突然に
不定期更新ですがのんびり書きます。
「あっ死んだ。」俺、川越拓哉の死の瞬間はいきなり訪れた。
何の前触れがあるわけでもなく日常の一環として当然のように。まるで今まで生きていたのが特別だったかのように。
俺の18年間は呆気なく幕を下ろしたのだった。別に悪い人生じゃなかった。
勉強も運動もそこそこできたしバカな奴だったが彼女もいた。
さて、天国から、皆を見守るとするかね…。
「はーい次の方どうぞ~」その声に反応して目を覚ますと、地獄にいた。
ええええええ?なんで俺、地獄にいんの!?何も悪いことしてないじゃん!?
普通ここは天国に行く流れでしょ!?
確かに生まれた時、医者におしっこぶっかけたらしいけど、確かに小学生のプールの時間をサボって女子のパンツを盗んだけど、確かに中学生の頃授業中、消しゴム落としたふりして女子のスカートの中覗こうとしたけど。
「まだ高校では何もしてないじゃないか!?!?理不尽だっ!!!」
「うるさいぞ。黙れ。」声のする方を見ていると禍々しいペンチを持ち、頭にひらがなで「えんま」と書かれたリングをかけた全身露出多めの黒ずくめの格好をした少女が高価そうな椅子に座って足を組んでいた。
赤い髪はマグマよりも赤く、耐震性に優れたその胸は僅かな揺れでは微動だにしない。
やたらとエロいアミアミのストッキングの隙間から覗く白い足は象徴的だった。
うん、ただのコスプレ露出ロリだ。
「あれ?俺、もしかして…」
「おお、自分の犯してきた罪に耐えきれなくなったか?」
「ああ!、俺は今からロリッ子にSMプレイされるんだああ!」
「んなわけねーだろ!!舌引っこ抜くぞエロがきっ!」若干顔を赤らめながら幼児は叫んだ。
自称閻魔は水を一口飲み、落ち着きを取り戻すと、「今から尋問を行う」と真剣な顔で言い、シリアスな雰囲気が漂う。
「この閻魔様を前に嘘は通じぬと思え!!では、あれを用意しろ」
まがりなりのもあの幼女は閻魔らしい。嘘を見抜くだけの力があってもおかしくはない。それにあれってなんだ…?まさか拷問器具か!?
命令を受けた隣の鬼が拷問道具っぽいものを持ってくる。
鬼は残念ながら幼女という訳ではなく、今みんなが想像している、そう、それ残念な方だ。
端子を頭に取り付けられ、手は土台に固定された。俺は何処かでこの機械を見たことがあった。
「今から、この嘘発見機でお前の罪を暴く!嘘をついたら手に電流が流れるからな!」
「テレビで見たやつっ!!」思わず俺は突っ込んでしまう。バラエティ番組かよ…。
「第一問っ!」ロリッ子はなりふりかまわず手を腰に当て言う。
「お前は、つい一ヶ月前、彼女ができた。○か×か?」
隣にいた強面の鬼がちっちっちっちっちっちっと舌打ちを始める。いや怖い怖い怖い。
「で、できたよ…一応。」
…電流は流れない。そりゃそうだ。嘘なんてついていない。
「リア充は、地獄行きぃーーー!」クソロリは声を荒げた。
「理不尽だっ!そんなん言い出したらキリがないじゃないか!?」
「お前みたいなクズに彼女がいて、この可愛い私に彼氏がいないなんて重罪だっ」
うわっめんどくさい拗れ方してるよこいつ…。そもそもそれってこいつの罪じゃね…?
「しょうがなないなあ、じゃあ、慈悲の第二問っ!お前は、ついさっき彼女とキスした○か×か」
「チッ、チッ、チッ」いやさっきより怖いよ…。あからさまに舌打ちじゃん…。
「…した。」その瞬間電流が走る。「痛い痛い痛い痛い…て、し、死ぬ!」もう痛いなんてもんじゃ無い絶対設定おかしいだろ。アニメだったら骸骨が透けて見えるほどの電流だったぞ。
やっぱ拗らせてんじゃん!?
しかも嘘なんてついてない。まあ、ロマンチックな物でもなかったが。
確か彼女にヘッドボクシングしようぜって言われて頭でボコボコにされてる時、一瞬触れただけだった。
ん?なんて彼女だ?
え、俺もしかしてそれで死んだの!?!?初めのエモい感じが台無しだよ!!
「…、正解」
「いや、じゃあ電流流す必要なかったよね!?」
「と言うわけで、地獄行きだ。運びだせ」
「いやいや、っと言うわけでじゃねえ…」言い終わるまでもなく頭に鈍痛が走り、その場に倒れ込んだ。
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