閑話【とある兵站幕僚Bの嘆き】
軍事技術を民間に転用するのをスピンオフと言うそうです。
兵站幕僚Bの朝は早い。
それもこれも、急に開戦が決まったからだ。
オペレーションには不測事態がつきものだが、今回は特段の厄介事が山のように連なっている。
今までにあまり実績がない補給ルートから、全く初めての新規ルートを開拓することは序の口だ。
点と点を結べば線が繋がると思ってる者も居るかもしれないが、仮に線を描いたとしよう。もし描いた線の途中、つまり補給ルート上で輸送船が故障したら誰が面倒見るのだろうか?どこから故障した箇所の部品を持ってきて、誰が修理・点検するのだろうか?これは、一朝一夕にはいかない問題である。まず、管轄の問題として、何処の部署が面倒見るのか?予算はあるのか?現地に行く人員や装備は十分にあるのか?面倒だから民間に委託したとして、修理対象は民間輸送船なのか、軍艦なのか?ミリタリーグレードの部品を扱える兵器メーカーの人員はいるのか?等、無数にあるのだ。輸送ルートを設定したならば、故障発生時の対応チームをその都度編成する必要がある。
そもそも兵器を運用している軍人は、システムは熟知しているが、細かい部品一つ一つまで知っているわけではない。戦っている際に発生した不具合を修理する整備兵も居るにはいるが、電子的不具合に対応できるかと言われれば謎だ。
そうした問題を解決するために、画期的な発明として急速に普及しているのがメンテナンスロボット(メンテロボ)である。もはや、メンテロボが居なければ戦えない。不眠不休で整備するメンテロボが居るからこそ、最高の状態で戦えるのだ。
戦時態勢に移行したからこその大量生産、大量配備だ。民間にも転用されるだろう。一隻ごとにメンテロボチームが配備され、いずれは一家に一台のメンテロボと言われる時代になるかもしれない。
ともあれ、部品を一から作れるわけではないから、やはり補給ルート上に整備拠点を設け、部品もそこに集めるよう手配するか・・・
-to be continued-
科学技術は、戦争の時に急速に発達するらしいですが、開発資金をドンドン投下すれば、当然発達します。発達しなければ詐欺です。研究者は常に居ます。つまり、お金の問題なんです。採算を重視するのかしないのか。時には、採算度外視で開発することが国家の発展には必要なのです。
これが判らない人がなんと多いことか・・・