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古の銀河大戦  作者: 自由な翼
第1章【開戦期】
3/4

閑話【とある宇宙統合軍直轄偵察兵Aの1日】

短編を連載へと統合しました。

-モノローグ-

偵察兵Aの1日は早い。

偵察は、一般兵士でも必須のスキルだが、偵察兵となると話は変わってくる。

それも宇宙統合軍直轄レベルになると、一般兵士よりも遥かに高いスキルや能力が求められる。

例えば、並みの兵士が認識した瞬間には、その兵士が死んでいる位の瞬間捕捉力(動体視力)と火力指向力(攻撃力)を兼ね備えているのは当然である。ロボットでも瞬間的に判断できない状況だったとしても、打破することが求められるのが、偵察兵なのである。

また、統合軍直轄部隊は、極めて高いレベルの機密にアクセスすることができる部隊でもある。

これは、大佐クラスまでが率いる連隊レベルまでの一般的な戦術部隊、准将や上級大佐と呼ばれる若手将官クラスまでが率いる旅団レベルの準作戦部隊、少将クラスが率いる師団レベルの作戦部隊、中将クラスが率いる方面軍又は軍団レベルの准戦略部隊、元帥又は大将クラスが率いる統合軍レベルの戦略部隊に至るまで、数多くの極限までにシステム化された実力組織としての部隊が存在するが、その最高峰たる宇宙統合軍の最前線を担う宇宙統合軍直轄部隊においては、エリート中のエリートが選抜されるためである。長い年月を経て数々の実績を勝ち得たプロ中のプロが宇宙統合軍直轄偵察兵として、先陣を切り開くのである。


-プロローグ-

宇宙開拓歴X年XXXX0350(とある早朝3時50分)

宇宙統合軍の最重要戦略正面であるSSセクター内に展開する宇宙統合軍派遣艦隊において、その前方に展開している直轄戦術部隊の更に前方、正に最前線である深部未探査領域宇宙辺境地域(アウターリム)にて、統合軍直轄偵察大隊は確かに存在していた。


~偵察大隊本部作戦幕僚~

「総員、傾聴せよ。」

「発令者 宇宙統合軍最高司令官

宛 宇宙統合軍SSセクター直轄偵察大隊(UUFSSSRBn)

【発令内容】

宇宙創世時代から宇宙開拓時代を迎えた銀河共和国においては、資源を獲得するため、未知なる領域を開拓しようと、開拓者達がアウターリムに飛び出す宇宙大開拓時代を推奨し、繁栄してきた。

ここにきて、深部未探査領域を開拓するに当たり、未確認の敵性勢力が多数確認され、我が開拓民に多大なる損害が発生したことから、銀河共和国政府は、敵性勢力が確認されたSSセクターにおいて、開拓民救援のため、宇宙統合軍SSセクター派遣艦隊の派遣を決定するとともに、宇宙統合軍直轄部隊による深部未探査領域の偵察を行うことを命ずるものである。」

「以上が、宇宙統合軍司令部から発令された。

とは言ったものの、我々はこれまでにも宇宙開拓省の調査チームの支援を極秘裏に担当していたこともあり、ある程度の情報は得ている。これから行う偵察内容についても、バックアップが大いに期待できそうというだけであり、やる内容は変わらない。これまでに得た情報から割り出したルートに赴き、極力、大規模な交戦を避け、敵性勢力後方に進出する。

偵察ミッションの細部については、各偵察チームリーダーに一任するので、得た情報については、情報幕僚を通じて統合軍司令部情報部と後方に展開している派遣艦隊情報部に提供するように。

以上、解散」


~宇宙統合軍SSセクター直轄偵察大隊偵察兵A(オレ)

(いよいよ、この時が来たか。あれほど言っていたが避けられなかったか。)

偵察兵Aとしては、内心、かなり怒りを感じていた。

というのも、先ほど大隊の幹部連中が言っていた通り、宇宙開拓省の調査チームに同行支援していたのは自分達の偵察大隊であり、その先頭だったのが偵察兵Aだったのである。その道のプロとして、未探査領域の現状について上層部に報告とともに、緩衝地帯設立についての意見具申をしていたが、案の定、共和国政府内の急進的開拓派に握り潰されていた。

(全く、開拓民のドアホ共が、もう少し話せる連中だったら・・・)

一攫千金を目指す荒くれ者ばかりが集まる開拓民と冷静沈着かつ銀河トップクラスの精鋭が集まる調査チームでは、そもそも土台が違うという内情はあれど、未開拓領域においては、その土台の差が致命的であった。開拓民を支持母体とする共和国議会主戦派の勢いは強く、議会内における交渉派は少数であり、中立派も、軍部を含めた官僚の干渉地帯設置提案は時期尚早との見方を示しているのが現在の政治情勢である。

(国境というボーダーがあるとすれば、それを一方的に越えているのは我々だ。)

偵察兵Aは、チームリーダーである。一般兵ならいざ知らずとも、栄えある銀河共和国を背負っている自負が、プロ中のプロである彼にはある。

そもそも、一方的にボーダーラインを踏み越えるのは確かに軍の兵士である自分達だが、その決断をしたのが、政治家であり、それを支援している開拓民である。これは、宇宙開拓時代における銀河共和国政府と国民の民度が明らかに低いことを示していた。

(所詮、何時の時代も、軍事力は、政治の延長でしかない。)政治における民度が低ければ、軍事行動に及ぼす悪影響は極めて大きく、国家戦略における外交上のダメージは計り知れないことは、これまでの歴史を紐解けば明らかだった。これが多数の国家で構成されている某惑星上の出来事だったならば、孤立するのは間違いないだろう。一方的な主張と緩衝地帯なき軍事行動は、決して受け入れられないのだ。

(仕方ない。こうなったら、やるしかない。)

「いいか、本オペレーションにおける我々のミッションは、敵性勢力後方に進出することで、開拓民を救援している派遣艦隊に対し、敵性勢力の動向をいち早く知らせることである。強襲や威力偵察ではない。敵の動向が判れば、それは、後方にいる主力部隊に任せることができる。決して逸るなよ。」

間もなく銀河で最も技量が高い実力部隊が、その実力を見せるだろう。


-to be continued-

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