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古の銀河大戦  作者: 自由な翼
第1章【開戦期】
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第2話【作戦準備】

何事にも、準備には時間が掛かる。

成功は、十分な準備をして勝ち得る。

失敗は、準備が不十分だから起こり得る。

-記録:銀河共和国における開戦への備え-

銀河開拓歴2万2022年における未探査領域からの敵性勢力襲来に関する急報は、瞬く間に銀河共和国全域に広がり、開拓者を讃えていた共和国政府と国民に衝撃と動揺を与え、宇宙開拓省と軍部の共同での政策立案(緩衝地帯設立)も白紙となった。


銀河共和国政府は、銀河共和国外縁部における権益確保はもとより、未探査領域への足掛かりとなる銀河共和国辺境領域(アウターリム)の覇権をかけた大規模な衝突が予期されることから、戦略レベルでの作戦立案を軍部に命じるとともに、速やかな戦時態勢への移行を銀河共和国議会に緊急動議することとなった。

これにより、後に古の銀河大戦と呼ばれる銀河系を跨ぐ戦争へと開戦に向けた作戦準備が急ピッチで行われていった。


~銀河共和国宇宙統合軍【最高司令部】~

銀河共和国が誇る宇宙統合軍は、如何なる作戦領域においても勝利することが求められることから、兵士達は、スペシャリスト集団として、その軍事作戦を統括する司令部の幕僚(スタッフ)達は、ゼネラリストであることが求められ、高級幹部たる将官クラスには、高度な政治的判断も要求される行政職としての役割が期待されていた。

各軍種においては、小隊本部・中隊本部・大隊本部・連隊本部・旅団司令部・師団司令部・軍団司令部・統合軍司令部といった駐屯部隊を統括する司令部機能の他、派遣艦隊司令部、基地司令部、要塞司令部といった自給自足を前提とした拠点司令部もあり、銀河共和国軍の伝統として、宇宙統合軍司令部が【最高司令部】として呼称され、最高司令官は元帥と定められていた。なお、共和国の制度上、国家元首たる共和国議会議長が最終的な指揮権を有することから、最高司令官の権限は、あくまでも議長に委任されて、軍事作戦を指揮することとされ、平素においては、宇宙統合軍司令部幕僚長たる大将として、議長への助言を行っていたこともあり、戦時態勢移行時における特別承認による昇進辞令を受け昇格した最高司令官たる元帥と銀河共和国議長の関係は良好であった。

「議長、我々はこれまで緩衝地帯設立に併せた形で、十分な準備を行った上での未探査領域への進出を考えていました。調査報告書における宙域データを見る限り、既存の戦術部隊では不測事態対処能力が不十分です。」最高司令官は若干苦悩している顔でモニター先の議長に報告していた。

「もちろん、軍部は現状で対応可能なプランを幾つか有しています。が、宇宙深部で即時全面戦争というわけにはいきません。宇宙深部を戦い抜くための装備、経験を有する者は限られております。今回の調査で判明した宇宙深部の教訓を訓練プログラムや装備に反映するにしても、やはり時間が掛かります。命令とあらば、兵士は宇宙深部で戦いますが、避けられる犠牲は避けた方が良いかと。」

最高司令官は、議長が賢明な判断をするよう、犠牲者が出ることに言及した。宇宙開拓時代における共和国軍兵士の戦死は、やはり重いものがあり、時の政権をも揺るがすスキャンダルになり得た。情報開示における検証は、元首や軍首脳に及ぶため、国家戦略や軍事戦略は堅実かつ合理的な形で公表されるのである。

「・・・・・判りました。以後、そのようにします。交信終了」最高司令官は、部下に指示を下し始めた。

「開拓者達に被害が出ないよう、拠点を放棄させるよう開拓省と調整を開始せよ。開拓者集団では敵性勢力の艦隊は防げない。あと、防衛ラインはアウターリムではなく、コア領域まで下げるように。磐石な補給と慣れた宙域であれば、我々も戦いやすい。」


~開拓者拠点~

「全面放棄だぁ~~~!?」

開拓者達を取りまとめる船長達の殆どは、不満を隠さなかった。

「中央の奴等は何も判っちゃいねぇ!!」

これまでの投資がパーになるばかりか、下手をすれば出遅れた者や新たに開拓者を目指す後発組に権益を取られる可能性が極めて大きいことなのは、一切合切投げ打ってアウターリムに飛び出した船長達が肌で感じていたことであった。開拓者魂(フロンティアスピリット)に溢れる彼らは、決断を下した。

「俺らは、残って戦う!!!」

かくして、アウターリムにおける開拓者達は戦いに備えることにした。


銀河共和国政府が煽りに煽った宇宙開拓事業は、開拓者への統制が不十分であり、又、全て自己責任という形であったため、検証に耐えうる各種探索データや航海データは、その船長の財産として政府には提供されていなかった。当然、保障されたことがないため、国家的危機を前にしても、自分達の身は自分達で守ることにしたのだった。


後世の歴史家はこう評論した。

「銀河共和国軍は、極めて堅実な作戦プランを当初計画していた。まず、緩衝地帯設立をすることによる時間稼ぎがベストであった。これが実現していれば、調査データによる教訓を反映して、十分に訓練された軍隊と十分な機能を持つ装備で徐々に勢力圏を広げただろう。が、開拓者達の不用意な未探索領域での開拓行動によって敵性勢力を刺激したことから破綻してしまった。次にベターな作戦であったのが、戦線を下げて自分達のフィールドに引き込むことであった。引き込むことにより、既存の要塞や基地も活用できるし、補給ルートも確立されているから、実現していれば十分に戦えただろう。が、開拓者達が残って戦うという最悪なパターンに叩き込まれてしまったのだ・・・」


-to be continued-

何か得るものがあれば幸いです。

準備は大変ですが、準備した分、万全となりますし、経験や自信にもなります。準備してなくても、成功する人は居ますが、その人の才能や経験がたまたま状況に適合しただけの偶然に過ぎません。皆様も準備は十分にしましょう。

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