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授業  作者: ウォンバット
1/1

授業 001 基礎概念

これより授業を始める


この授業は真実ではない

真実ではないが真実の一片でもある。

私というひとりの人間がなぞり

浅く掘り起こした真実の一片だ。


君たちにはそのことを理解してほしい

この授業は真実ではない

だからどうか、これが正しいものだと決めつけないで聞いてほしい。




よろしい、では授業を始める。

まずこの世界は4つの概念によって構築されている。


現象

魔術

魔法

魔導


現象とはひとつの個であり、ひとつの事象である。

例えるなら人間社会の中の一人の人間

例えるなら森の中の一本の木

例えるなら川の中のひとつの水素

それ単体でひとつの個として成り立つものを現象と呼ぶ

古い言い方では魔象と呼ばれることもあるが、現在では現象と呼ばれることが多い



魔術とは現象を利用し現象を発生させる術である。

例えるなら火打石で火をおこすこと

例えるならうちわを扇ぎ風をおこすこと

例えるなら水とと土を混ぜ泥を作ること

個である現象と現象を組み合わせ別の現象をおこす手段

それら組み合わせや手順などと呼ばれるものを魔術と呼ぶ



魔法とは世界を構築する理である。

例えるなら高所から低所に水が流れること

例えるなら炎が燃え薪を焦がすこと

例えるなら人と人との物流

現象が現象であるための世界の決め事、理。

炎が燃える、水が流れる、土が育む、風が導く

我々が当たり前だと思い込んでいる世界の常識

集団が無意識の下に定義したルールを魔法と呼ぶ。



魔導とは世界である。

例えることはできない

世界を汎用的に例えることは魔導の理解から最も外れた思考である。

世界は魔法によって紡がれる

魔法という世界のルールの集合体を世界と呼ぶ。

世界によって魔法は異なる、異なることが世界である証明なのだから。

そしてひとつの世界はひとつの現象である。

魔導については教えることが難しい

ぜひ君たちの魔導を見つけ理解してほしい。




ふふ、全員ぽかんとしているね

私も師からこの話を聞いたときは同じ顔をしていたよ。

しかし安心してほしい、これから学び努力していくことで

きっと君たちにも理解できるようになるだろう。



先に説明した4つの概念は基礎概念と呼ばれ、多くの魔法使いたちの基礎となっている。

長い年月をかけ先人たちが最も理解しやすいとまとめてくれたのが基礎概念だ。

この基礎概念は川に例えられることが多い


川の中を流れる水が現象

川からバケツで水をすくいだすのが魔術

川の流れを変えるのが魔法

川そのものを新しく作り出すのが魔導


多くの魔導師からは不適切であると指摘されているが

魔道のとっかかりとしてはこの程度の理解で概ね良いと言えるだろう。


ただし最初に言った通りこれは真実の一片である。

万人が理解できるよう単純化を重ねる度に

真実からは遠ざかると考えてくれたまえ



ん?どうした?質問かね、どうぞ


ふむ・・・先の例えであげた水と土を混ぜて泥を作るのは

魔術ではなく魔導ではないのか・・・・っか。

なるほど、川の例えで魔導とは現象を作り出すものと解釈したのだね。

答えはノーだ。


水と泥を混ぜたら泥になる、確かに泥という新しい現象を生み出して入る

っがそれが通用するのは我々が知る世界だけだ。

我々の知らない別の世界では土と風を混ぜて泥を作れるかもしれない

火と水で泥が生まれるかもしれない、そもそも泥自体が存在しないかもしれない。

世界を構築する魔法、集団的無意識下のルール

それを作り出すのが魔導と呼ばれるのかもしれない。



先ほども言ったが、万人が理解できる例えは真実から遠いものだ。

君が勘違いしたように、基礎概念が全て正しいと考えるのは危険だ。

優秀な魔法使いほど常識を疑う。

君たちも常に猜疑心を持って世界と接したまえ

まぁ何もかも疑って身動きがとれなくなってしまう愚か者にはならないようにな。


ここは笑うところだぞ




さて、基礎概念についてはこんなところだろう。

完璧に理解はできていないと思うがそれでいい

最初に言った通りこれは真実の一片であり真実ではない。

ただの足がかりの一片だ。

そんなものに時間を取られる必要はない。

これから魔道を歩む君たちにはそんな時間はない。

現象に触れ、魔術を理解し、魔法を感じ、魔道に導かれる

産まれて死ぬまでの刹那の時間で君たちは歩けるところまで歩かなければならない。


我々は真実に至る道を探るもの


君たちがどのような魔道を歩むのか、とても楽しみだ。











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