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第五話 そしてでんせつへ!

 めっちゃプルプル震えながらこっちを見るノエルさん。

 当事者でなければ笑える状況なんだけど、俺の命がかかっているので笑えん。

 そしてそんな状態でも自分の不戦勝を告げるノエルさんの負けず嫌いマインドすごい。




「わらわにあ~んな酷い疑いを掛けておきながら、お主がイカサマをしてるなんて事は、ぜ~ったいにある訳ないのじゃよな?」


 そう言いながら悪魔幼女がノエルさんの手札から一枚引く。

 しかし手札に加えずに机の上に置いたまま中身の確認をしない。

 まずい、悪魔幼女はノエルさんがイカサマをしていることを確信したっぽいぞ。


「もしお主がイカサマをしていないというなら、今これからするわらわの提案は、受けられるよのぉ?」


 悪魔幼女の笑顔が悪魔に見えるよぉ!


「いやいやいやいやいやいやいやいや、い、意味わからんし!・・・仮にだ。イカサマとかしてないからぜんっぜん問題ないけど、一応どんな提案か聞くだけ聞いてやろう。」

「そこにあるお主の手札、ちょっと開いて見せるのじゃ。イカサマしてないならできるじゃろ?」


 ノエルさんの顔が青くなっていく。

 基本顔が赤い人だから青いのは珍しいな。なんだこの感想。

 しかし、次の一言で場の空気が変わる。


「・・・もし私がイカサマをしてなかったらどうするつもりだ?」

「な、何を言い出すのじゃ?」

「冒険者の世界は信頼と実績が物を言う。その信頼にケチをつけるのだ。それ相応の覚悟はあるんだろうな?」


 ノエルさんの目つきが雀聖のような鋭さに!

 圧倒的不利でも自分が勝つことを疑わない! これが、S級冒険者か・・・!


「なっ、なんじゃと!?た、確かに悪魔との契約においても信頼と実績が物を言うのじゃが・・・」

「もし私がイカサマしてなかったら、貴様には私が現役の時の流儀に従ってもらうぞ。ピー!をピー!してピー!した上でピー!からのピー!だ。そしてお前は負ける。」


 ヒェッ、放送禁止用語乱発・・・!

 百年前の冒険者怖すぎだろ・・・

 しかもこれだけ強気でいながら、カードをめくられたらノエルさんの負けが確定しているという。


「ひぇっ!? そ、そんなの聞いてないのじゃ! 待て、待つのじゃ!!」

「いいのか!? いいんだな!? いくぞ!? いいな!? いっちゃうぞ!? ほんとにいいんだな!? あー! あー!!」


 すさまじい焦りを見せる悪魔幼女ともはや半狂乱のノエルさん。

 なんだこのカオス・・・

 そしてノエルさんがめっちゃ真っ赤になってプルプル震えながらカードをめくろうとした。

 その時!


 ガチャっと場違いな音がしてドアが開く。

 そして。


「森の中! 佇んだ! 異世界のエルエルんち! スーパーねぇ! バスもねぇ! 街に出るのに90分! アマゾンに頼みたくともネットもねぇ! ゲームもねぇ! いるのは弟と美少幼女だけ!」


 女 神 光 臨 !

 よくわからない歌を口ずさみ、ヒゲダンスを踊りながら入ってきた挙動不審な美少女はうちのお姉さまだった。

 ちなみに、俺と似た感じの呪いにかかっているかと思われるかもしれないが、これが平常運転である。

 そしてさきねぇの視線が悪魔幼女で止まる。


「・・・お? 何この幼女! かわいいじゃない! エルエルいつ分裂したの?」

「するか!」

「なぜ最初に分裂を疑う・・・」


 分身ならまだしも分裂できたら人類超えてるでしょ。


「まぁどうでもいいか! あ、あたしお腹すいたー。間食を所望する! ヒロー、なんかなーい?」


 かーらーのー『まぁどうでもいいか!』。

 弟以外に興味ないにもほどがある。


「ん~? ・・・あ、そういやハニースイートポテト作ろうと思って準備してたんだ。芳ばしく焼けた異世界産のさつまいもにハチミツたっぷりですよー。」

「ベネ! それでいくお!」


 さきねぇが笑顔でサムズアップ。

 すると、突然悪魔幼女の雰囲気が変わる。


「はい! はい! は~い!! わらわもそれがいいのじゃ! わらわもハチミツたっぷりがいいのじゃ~~!!」

「ん? ああ、いっぱいあるから食べていいよ。」


 とりあえずこのままお腹いっぱいにさせて勝負をうやむやにさせる作戦でいくか。ニヤリ。

 腹黒? 何言ってるかわかりませんし? 好きな軍師は賈詡かくですし?


「やったのじゃぁーー!!」


 悪魔幼女が幼女っぽく喜ぶ。

 これだけ見るとただかわいいだけで済むんだけどなぁ。

 この鎖さっさと消えてくんねぇかなー、と思っていると、まるで煙のようにスゥッと鎖が消えた。


「き、消えた! 鎖が消えた! やったよー!」

「ヒイロ、この自称悪魔に呪いをかけられていた時と行動が同じだぞ・・・」


 俺が上下左右に歓喜の舞を踊ってるとノエルさんから無慈悲な一言が。

 まぁ、ほら、俺もさきねぇの血を分けた弟だし。


「悪魔? 呪い? ・・・え、リングとエクソシスト、どっち系?」

「どっちでもないです。」


 一番最初に気にするとこ、そこ?


「まぁいいわ。お姉ちゃん、とにかくお腹すいたー。ヒロの三分クッキングーに期待!」

「期待なのじゃ!」


 さきねぇと悪魔幼女が一緒に台所に向かって走ってく。仲いいな。

 さてさて、ではお嬢様方を満足させるためにもうひと頑張りしますかね。

 そして俺もその後に続くのだった。


「・・・釈然とせんが、まぁいい。とりあえずトランプは全て回収、いや、やつのカードにだけシルシでもつけて置いておくか。もし勝負が再開したら地獄に叩き落してやろう。クックック・・・」




「ごちそうさまなのじゃ!!」

「はい、お粗末様でした。」


 俺のハニースイートポテトをたらふく食べた悪魔幼女は満足げだった。

 まぁあそこまで美味しそうにパクパク食べてもらえれば作る側も満足ですわ。

 つーか悪魔もごちそうさま言うんだな。礼儀正しいわ。


「んで、結局この幼女はなんなの?」


 いまさら聞くの?

 さっきまで『え、昔からの友達?』ってくらいに仲良くスイートポテト食べながらお話してましたけど。


「よくぞ聞いてくれたのじゃ! わらわこそ、神代の時代より生きる、運命と因果を司る古の大悪魔・・・の分身じゃ。気軽に、はしらちゃんと呼ぶのじゃぞ!!」

「・・・あーあー知ってる知ってる。この前テレビで見たわそういや。ポン○ッキーズで。」

「適当! 絶対嘘でしょそれ・・・」


 頬に手を当て『ん~・・・』と考え込むさきねぇ。

 え、ほんとにどっかで見たことあるのか?


「・・・おは○タだったかしら?」

「絶対出てない!っていうか俺らお○スタほとんど見てないから例え出てたとしても知ってるはずないでしょ!? なぜ嘘を貫こうとする!?」


 適当な戯言にも全力を尽くす、愛しの我が姉だった。


「・・・・・・のじゃぁぁ」


 猫がかまってほしくてニャーって鳴く感じそっくりにのじゃる悪魔幼女。

 なんだこの悪魔幼女かわいいな。


「気にするな。この二人は病気なんだ。重度の。」

「シスコンとブラコンという名のね! ドヤァ!」

「なぜ上手いこと言った感じになってるんだお前は・・・」


『仲いいんじゃなー』って感じに俺たちを見る悪魔幼女。

 まぁなんだかんだ付き合いも長いですからね。

 さきねぇなんて俺が生まれた瞬間からの付き合いだからね。双子だから当然だけど。


「・・・さて、目的も達成した事じゃし、そろそろお暇しようかのぉ」

「・・・自称悪魔とはいえ子供だろう。家はどこだ。仕方ないからアルゼンまでは送ってやろう。」


 ノエルさんが珍しく俺たち以外の他人に優しい姿を見せる。

 見た目(と中身もけっこう)そっくりだからシンパシーを感じているのだろうか?

 ・・・あ、違うわこれ。チラチラ俺のこと見てるから俺の『さすがノエルさん!優しいですね!』待ちだわ。

 もうノエルさんの顔見るだけでけっこう何考えてるかわかっちゃう、お義祖母ばあちゃん思いの俺だった。


「ふふん、こう見えてもわらわは、れっきとした大悪魔じゃから心配せずとも大丈夫なのじゃ!・・・ほれ」


 悪魔幼女が腕を振るうと、何も無い空間に裂け目が走る。

 わーファンタジーとか異能力バトルもので高位の悪魔とか実力者がよく使うやつだー。

 次元の狭間に連れ込まれたり距離も障害物も関係なく敵を切断しちゃったりするやつー。

 ってことは悪魔幼女こいつ、ガチやんけ。

 俺が一人恐れおののいていると、悪魔幼女がその中へと去る。

 そしてその裂け目から顔だけひょこっと出す。


「ばいば~い、またなのじゃ~」


 そう言って悪魔幼女が手を振ると、その姿を隠すように裂け目が閉じていく。

 後には何も残らず、さっきまでのスイートポテトつついてた光景が嘘のようだ。


「・・・んで、結局アレはなんだったの?」

「・・・ガチの悪魔、だったんじゃないの?」

「・・・大陸にはまだまだ私の知らないことも多いな。」


 結局、何がなんだかわからないまま困惑の俺たちだった。




 その後。


「はい、こっちがジョーカーでこれが上がり牌でしょ。はい私の勝ち。」

「ぐぎぎぎぎ・・・!」


 ノエルさんの持つ二枚のカードから一枚を引き、さきねぇの手札がゼロになる。


「・・・・・・もう一回!」

「はぁ・・・ねぇ、まだやるの? 私飽きたんだけど・・・」

「もう一回だ! 次あの悪魔が来たときは実力でヤツを下す必要がある!」

「だる~ん・・・」


 カードを切り始めるノエルさん。

 弱者を圧倒的力で叩き潰すのが大好きなさきねぇも、さすがに(-△-)とした顔になっている。

 再度カードを配りなおし、それから数分後。


「さぁ、確率は二分の一だ! どっちがジョーカーかわかるか!」

「はぁ・・・、もうどっちでもいいわ。あ・く・と・く・りょ・う・しゅ・る・ど・る・ふ・の、か・れ・い・な・る・に・ち・じょ・う、こ・う・ひょ・う・れ・ん・さ・い・ちゅ・う! じゃあこれっと。」


 人差し指をふりふりしながらカードを選ぶさきねぇ。

 カードの選び方がなんか長い上に恣意的な何かを感じるが、気にしない。


「あ、上がり。」

「なぜだーーー!!」


 ノエルさんのゲーム最弱伝説はまだまだ続くのだったとさ。

 めでたしめでた、し?


増田先生とのコラボ第二回、いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけたら嬉しいです。

ちなみに前回と同様、私は企画に関して増田先生に最初から最後までおんぶにだっこでした!

増田先生、コラボお誘いしてくださってありがとうございました!

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増田先生の描くもう一つの続・あくおれ!はこちら→【続・あくおれ!~悪魔な妾(おれ?)の華麗なる異世界生活~】
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