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~藍様に謁見~

というわけで藍様が目の前で座っております。

「ようきたな。まぁ座れ」

「は」

 杏里さんは一言答えるとその場に正座した。

 一見すると綺麗に見えるが和服姿になれてないのか裾が乱れている。そのことに気づいたのか藍様を其処を見ながら、

「杏里、やはりまだなれんか。」

「・・・!?」

 初めは何を言っているのか分らなそうにしていた杏里さんだが自分の服の周りを確認すると裾が乱れているのを見つけすぐ直した。

「はい・・・申し訳ありません。」

「よい、お前に武芸を教えさせ、それを中心に鍛えた私も悪いのだからな。」

「いえ、殿のせいでは――」

「杏里二人っきりの時は名前でよい」

「はい」

 そう藍様が言うと杏里さんは穏やかで、殿を見る顔というよりは慕っているお姉ちゃんを見るような視線になった。

 さて俺はというと許可を貰っていないので部屋の入り口で聞いてない風を装っている。

 いや、何か話題的に入りづらいし仕方ないよね。

 そんな俺を察してか藍様は俺に話しかける。

「翔、そんなところで盗み聞きせずもっとこっちに来て堂々と聞いたらどうだ?」

「いえ、俺はそんなことをしているつもりは無いですよ」

「ほう、私の前で嘘をそう簡単に述べる物では無いぞ。立場ながら嘘を判断する能力には長けているので。」

 この人の前で嘘は通じないって訳か・・・。まぁ当たり前か、一国の主が誰にでも騙されるほど無能だったっらこの国自体終わってる。

 俺は手招きする藍様の指し示す杏里さんの側まで行き、言われたとおり其処に座った。

「藍様何故私は此所に呼ばれたのですか?」

「なに、一つこの城のことを此奴に話そうとおもうてな。その付き添いだと思え。」

「はぁ。しかしながら翔にこの国を教えるのは早すぎるのでは?」

「ほう、もう名で呼び合う仲になっておったのか。ならば早くは無かろう。」

「うぐ、それを言われますと。」

「ははは。相変わらず可愛い反応をする。」

「かわ・・・可愛いなどと」

 杏里さんは可愛いと言われて照れたのか俯いてしまった。

 ふむふむ

「藍様、杏里さんが可愛いのは同意です。」

「ほう、なかなか分る奴のよう!」

「うう・・・翔!貴様は黙っていろ!ほら藍差冗談はやめて翔にお話しください。」

「このままでは杏里が暴れてしまうかもしれぬからなそろそろ始めるとしようかのう」

「とっととそうしてくださればよいものを・・・。」

「して翔、まだ雰囲気しか分らぬと思うがこの国をどう思う。」

「どう思うとは?」

 俺がそう聞くと杏里さんはニヤッと笑って部屋の格子から外を見ながら

「決まっておろう。明日を未来を我らは楽しく生きることが出来そうか?」

 この短い言葉に俺は深い意味が初めは無いと思っていた。でもこれからこの国で過ごしていく内に色々と経験して改めてこの時代のこと、国のことをしった時理解することが出来た。でも其れはまだ先の話。

 だから俺は今分ることを言った。

「よく分りませんが楽しくは生きられるんじゃ無いんですかね。昨日、今日と見た人の仲には浮かない顔の人は居ませんでしたから」

「そうか、そうか。私の目には狂いはなかったわけだな。よし、翔まずこの城の現状を教える」

「はい。」 

「まず、この国はこの城一つだけだ。」

「はい、その通りですね。」

 俺が素直に返すと、杏里さんが思いっきり俺の頭を地面にぐりぐりし始めた。

「ちょ、痛いですってば。」

「うるさい!藍様申し訳ありません。」

「よいよい、男は素直が一番だから。その方がかえってすがすがしくてよい。翔お主も見ての通りこの城は一つ、さらには私もこの年だ。父上が早くに亡くなってな。私の才を信じる者は付き従ってくれるのだが。、問題はそれ以外でなこの前お主を戦の参謀にしたことを良く思わぬ奴や、彼の者らの離反により同調する者も少なからず居る始末でなこの国は少なからず一月以内には権威を示すために戦が避けられない状況だ。

 だがなこれだけは言える。翔、お主は必ずこの国を面白くする逸材よ。だがまだ鍛えられてない刀同様。其処にいる杏里に稽古を受け精進に励めよ。」

「はい!ただ、」

 俺は自分の考えを素直に言った。

「自分は元々何も取り柄ながなくてそんな中藍様が俺の勝ちを見つけてくれてすごく嬉しかったです。ですので俺はいや、私は藍様の描く道の手助けになれるように頑張ります!」

「・・・。」

 藍様は一瞬呆けられると、

「ほー。良い心がけだ!だがなこれだけは覚えていろ。お前はお前だ。それ故にお前の道は誰の道でもない。それだけは忘れるなよ?」

 俺の目を見てしっかりとした言葉で俺の心に話しかけた。

「はい!」

 この人はすごい。今の一言だけでも分るが自分だけを考えない人なんだ。なら俺はこの人にこの時代にいる限り、ついて行こう。

「では杏里。翔。」

「は!」

「はい」

「そのまま杏里はこの城のことを翔に教えよ。翔も励むのだぞ。」

「はい!」

 俺と杏里さんはそのまま城を出て城下町を探索することになった。


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