~一日の終わり~
俺達は戦に勝った。そのおかげで城のなかは宴会ムードだ。
だが俺は突っ伏していた。
だってすっごい怖かったんだもん!!
戦になったらアドレナリンのせいか、何か平気だったけどいざおもいかえすと・・・。ああ、怖かったあああああああ!!
「おい、大丈夫か?」
心配の声を掛けてくれたのは今回一緒に行動を共にした部隊を率いた杏里さんだ。
「いや、疲れたなぁと思いまして。」
俺が心配するなと言うと、顔をしかめて。
「今のお前も確かに心配しているが、其れよりもこれが終わった後家に帰ったら説教だからな?そのとき体持つか心配で聞いたのだ。」
ああ。嫌なことを思い出させてくれたな・・・。
「大丈夫ですよ。それよりも体が何故か動かないんで帰るときおんぶしてください。」
「阿呆か。駄目だ。」
「・・・はーい。」
分かりきってたしな、なら違う案を出すか。
俺は形を指刺しながら杏里さんに言った
「はぁ、本当に動けないのか?」
「はい。本当に。」
「仕方ない。変える際は肩を貸してやる。」
「ありがとうございます。ただ・・・。」
「ただ・・・。」
「・・・胸・・・・当たらないように頑張りますね。いてっ!」
な!何で殴った!?
俺が困惑しいていると杏里さんは酔っ払ったのか顔を赤く染めて
「この戯けが!そのようなことを考えるでは無い!!そのようなことを言う奴には肩を貸してやらんぞ!」
「すみません。でも・・・杏里さんの胸・・・おっきいですから・・・。いて!」
「もう知らん!!まったくこれからどうなるのやら・・・」
何かを小声で言いながらプリプリして俺の場所を離れて他の場所に杏里さんは行ってしまった。
だって、大きいんだよ?そりゃ心配になるじゃん。
すると笑いながら藍様が俺の元に来た。
やべっ。起きないと。
「はっはっは!よいよい。そのまま動くな。初めての戦で疲れたのであろう。お主のおかげで勝てたのだ。これくらいの無礼構わん。」
「そうですか・・・。ありがとうございます。」
なら俺はうつぶせのままいるか。
藍様は俺の側の椅子に腰掛けると
「此度の戦、お主には悪いことをしたな。だが杏里は悪くない、全て私の指示なのだ。」
ああ。あのことか。
「別に構いませんよ。自分が力不足なだけですから。」
そういうと藍様は顔を振りながらそりゃ違うと言った。
「お前は人の力をどう考えている?」
「人の・・・力ですか?」
「そうだ。」
「そうですね・・・。杏里さんみたいに腕力とかですかね?」
「あたりだ。だが外れでもある。」
藍様はそう言うと俺の前に立ち
「人の力はそれぞれだ。例えば私だ。私は杏里のような槍の使い手でも何でも無い。だが他国の大名からは強いと言われている。それは何故か。今見せてやる。」
すると藍様は大声で言った。
「皆の物此度の戦大いにご苦労であった!!今宵の戦は私にとって、とても大事な戦!故にこのような事を行い心配掛けたことは謝る。だが皆のおかげで勝つことが出来た!!見たか!奴らの驚く様を!我らが輝く姿を!!さぁ今宵の酒は皆の酒でもある!存分に飲もうぞ!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」
藍様はふぅと息を吐くと俺を見る。
なるほどね。
「これが藍様の力と言うことですか。」
「ああ。これが私だけの力だ。つまり私が言いたいことはお前にも私や杏里、他の者と違う力があるということだ。」
「有ると良いですがね・・・。」
俺がうつむいて疲労と緊張で動かなくなった体をみて呟いた。
何故か?それは俺が運動が得意でも無く不得意でも無い男だからだ。
特に剣なんて使えた者じゃ無い。俺は剣道部に所属していたがその中でも最弱だ。だからこそこんな考えにもなってしまう。
そんな俺の胸中を察してか藍様は胸を張って言った。
「ある!何故ならこの私が見込んだ男だからな!!だからお前も胸を張れ!分ったな。」
ああ、皆がついて行く気持ちが分ったな。
俺はいきよい良く返事をした。
「はい!」
「うむ。」
そうすると藍様はほほえみながら返してくれた。
「そうだ、翔。これから面白い物が見られるかもしれないから期待しておくのだぞ。」
「面白い物?」
「まぁ、彼奴の唯一の弱点と言ったところかのう。」
「はぁ。」
弱点?一体だれの。
そんな俺の疑問は次の瞬間ぬぐわれた。
「いて!」
「ごの~。ばがもの~。」
「え!?杏里さん!?」
「なんだ~?」
「酔ってるん・・・ですか?」
「酔ってなどにゃ~い!」
完璧に酔ってる・・・。
「どんだけ飲んだんですか。」
「いっぴゃい。ひくっ。」
はいはい、一杯ね・・・。
「一杯!?」
「いっぴゃいだ!」
「杏里さん嘘はやめてくださいよ。」
「にゃんだと~!」
ぽかぽかと杏里さんが俺を殴る。
何この反応可愛いな。こ・・・これがギャップ萌えというやつか。
俺が新たな境地に達しようとしていると藍様が教えてくれた。
「嘘では無いぞ、翔。」
「藍様。」
「杏里はな、極度に酒に弱くてな。一杯でもべろんべろんなのだ。」
「なるほど。この状況を見れば疑いの余地も無いですからね・・・。」
「ではな、そやつを頼んだぞ。ふふふ。」
「藍しゃま~。まだ~。」
「ああ。杏里もな。」
そう言い残して、藍様は宴会の中に消えていった。
これって絶対家まで俺が方かして連れてくしかねえよな。
まぁ、可愛いからいいんだけど・・・。だけど・・・。
「さすがに弱すぎだろ!!」
俺は自分の家(杏里さんの家)への帰り道、杏里さんを背負いながら帰っていた。
本来なら世の男どもや、俺が喜びそうなシュチュエーションだ。なぜなら、夜中に男の背に美女がおんぶされているんだから。
しかし!
其れはあくまでも酔っ払っていなかったらのはなしだ。
だってこうなるもん。
「ほら、もっと早くはしらんかぁ~!」
「痛いって杏里さん!俺は馬じゃ無いんですよ!」
「にゃんだと~!この~我がりゃりの錆ちょしてくりぇりゅ~!」
「はいはい。うへ、酒臭・・・。」
「くしゃいだと~!ゆりゅさ・・・。」
「どうしました?」
「うえ・・・。きもちわりゅい・・・。」
「はぁ。俺の背中に戻さないでくださいよ。」
「うう・・・。がんばる・・・。」
「もうすぐ付きますからね。」
俺らの家は宴会が行われていた城の庭の側にある坂を下ったところをちょっと右に入って奥まったところにある。だから人気が少ないのである。
まぁ、アニメとかだと此所でイベントがなにかしらは起きたりするんだけどね。俺は全くもって期待していないわけだが・・・。
寝息が聞こえるな。よし早く家に帰るか。
「この人もねれば女の子の顔になるんだな・・・。」
戦場ではあんなにおっかないのに。
そんなこんなで俺達は無事に家に着くことが出来た。
「お、もうすぐ付くな。」
俺は家に入ると杏里さんの体を寝床と思われる場所に下ろしてねさせることにした。
俺はそのまま食休みするために、縁側に座って一休みしてた。
「むにゃ~。藍しゃま~。ZZZ」
杏里さんの眠っけぷりは相変わらずだな。
俺はそのまま今日起きたことを整理していた。
まず初めにこっちに来て杏里さんと出会った。そして何故か戦になって戦の参謀を任されて・・・。そして今に至ると。
良く生きてたなぁ、俺は。死んでも良いような場所だったぞ。でもあの感覚は一体何だったんだろう。
まぁ、でもこれが俺がゲームで扱ってた一太刀の営みで、生死を分ける本物の戦い。
俺は何故か側にいる杏里さんにふと聞いてみたくなって聞いてみた。
「俺はこのままやっけてけるのかなぁ?」
「・・・・。」
「ま、そりゃそうだよなw寝てるんだろうから。」
「・・・ま・・・。」
「・・・?」
「任せろ・・・ZZZ」
「くく・・・。はははは!」
ああ。任せますよ!俺をたくさん鍛えてくださいね。せめてこの国を守れるくらいには。
その時俺に寒気が走った。
「・・・!」
「楽しそうでござるな。」
俺はそっと杏里さんに戦前にこっそり借りていた脇差しに手をやった。
「お前は誰だ?」
「警戒しないでいいでござるよ。それに素人が武器を取るのはお勧めしないでござるな。うっかり殺されても文句は言えないでござるよ。」
ちっ。バレていたか・・・。でもこの空気は一体なんなんだよ。
「・・・!」
其処にいたのは、誰でも引きつけそうな笑顔でいる俺と同い年くらいの女の子だった。
でも、この笑顔・・・。ちっとも笑ってねえ。
「さすがにこれだけ殺気を出せばばれるでござるな。」
「それで用件は?」
「いや、並々ならぬ強い気配が一瞬したと思ったので気になって見に来たのでござる。」
ああ、杏里さんの事か。
「ああ、勘違いしそうなので否定して奥でござるが杏里殿ではないでござるよ。」
「・・・え?」
「あなたでござる。御影・・・翔殿・・・。」
「何で俺の名前を・・・。其れよりも俺が強い気配って?」
「ああ、自覚無いなら今は気にしないでいいでござるよ。其れでは確認もすんだので失礼するでござる。」
「まて。」
「・・・何でござるか?」
「お前はあの会議にいた忍びだろ?」
そう、ここまで俺が警戒をしてないのは会議の時に見かけた顔だったからだ。
「知っていたでござるか。そうでござるよ。それで何でござるか?」
「勝手に人の家に入ってるんだから自己紹介位していけ。」
「これは失敬。でえは改めて有馬家同盟国一条家忍林 静香でござる。以後お見知りおきを。」
そうすると、彼女は「では」とその場を去ろうとした。でも去り際に
「最後に、また合うかもしれないので最下位を楽しみにしてるでござるよ!」
そう言い終えると瞬間に姿が消えた。
「はぁ・・・。なんか変な汗が出た。でもあの感じ杏里さんと同じくらい強いんだろうな。」
だって、すごい気迫だったから・・・。
でも、又合えるって・・・。まぁいいや。今日は寝て明日から考えよ!
その後俺は寝床につき今日という戦国時代一日目を終えた。