~戦の始まり~
「皆聞け!!この御影翔を軍師として今回の戦は行う!皆の動揺も分るが異議は認めぬ!前もって分って行動して欲しい!それに伴い杏里!」
「は!」
「翔の側におり手助けをしろ!分ったな!」
「は!謹んでお受けします。」
「他の者達も分ったな!」
「「は!!」」
藍様がここにいる人たちに叫ぶとそのいきおいのままに答えた。
だがこんなことでは気分が乗らない人いるのも必然だ。
というか俺が一番乗り気じゃない。黙ってますけど。
一人の重臣らしき人が呼びかけた。
「殿!」
「何だ?」
「殿は此奴の事を信用なさっているのですか!?私にはとうてい信用は出来ないのですが。」
ふむ。まぁそう思うよな普通。
すると杏里さんが男に向かって叫んだ。
「藍様を疑うというのか!!」
「白井殿は黙っていてもらえるだろうか。これは私と殿との話ゆえ。それに、女などに戦などとうてい分るわけがないのだからな!」
「何を!?」
あ、これは俺も異議がある。というかこんな時に男も女も関係が無いだろうが!と思ったが代わりに藍様が何かを言った。というか一喝した。
「黙れ!二人とも!」
「藍様・・・。」
「殿!黙ってはいられませぬ!」
「黙れと言っておるのがきこえんか!」
「黙りませぬ!なぜ此奴を其処まで信用なさるのですか!?」
「齋賀。お主は勘違いしておるぞ。私はこの男。御影翔を信用しておらん。」
・・・・え!?信用してないの!?俺は信用されてると思っていたんだが・・・
「だがな、私は翔がこの戦必ず勝ち戦にしてくれると思っている。」
「其れは信用してると一緒なのでは?」
「違う。翔が導くと思っている、この私を信用しておるのだ。」
「殿が殿自らを・・・。」
「そうだ。それでもお前は信用を疑うか?疑うならば私を疑うとして罰するぞ。」
「いえ。殿を疑うなど・・・。この齋賀!誠に申し訳ありませぬ!」
「分れば良い。其れよりも杏里。」
「は!」
「私に対する忠義。しかと伝わった。ありがとう。」
「ありがたきおことば!」
杏里さんはひれ伏し。頭を下げてる。
うわー。時代劇そっくり。ていかこの流れ・・・。
「翔。期待してるぞ。」
ですよねー。どうすっかな。やれっかな。俺。
一段落は付いたが火の粉はそう簡単には消えない。
「殿。私たちはそれでもこの者任せることに反対です。」
「拙者も同じ考えでございます!」
「同じく。」
それなりに年を取った人たちが続けざまに異議を唱える。
「それは私の先の言葉を聞いてもか?」
「はい。この三人。変わりませぬ。」
「わかった。ならば即刻ここを立ち去れ。」
「「「な!?」」」
やっべ。俺も思わず声でっちゃった。ていうか其れはさすがに横暴な。
するとさっきの齋賀さんが止めにかかる。
「殿其れは言い過ぎかと。」
「私は裏切りと言ったはずだ。殺さぬだけありがたいと思え。」
「ですが、彼らの家は誰もが殿のお父上の代から使えてる、どうぞお考え直しを。」
「それは関係ない。今は君主がしっかりしなければ生きていけぬ時代。ならば此所で迷っていては私たちは
ただ死ぬのを待つだけだ。」
「ですが!?」
齋賀さんが言おうとしたときでてけといわれた人が齋賀さんを止めた。
「齋賀殿もう良いです。殿私たちは腹を決めました。敵方に投降いたします。」
「分った。止めはせぬ。だが心しておけよ。この戦私たちは必ず勝つ。そうなった場合お前達が捕虜としてここに来た場合お前達の命はないものと思え。」
「その覚悟が出来ぬようでは侍などつとまりませぬ。では失礼」
代表格のような人が言うとこぞって人が三名ほど部屋から消えた。
えーっと俺は何すれば良いのかな?というか雰囲気やばくない?
俺が戸惑っていると藍様は俺に話しかけた。
「翔。あやつらは元々謀反の疑いが密かにかけられていた者達。今良い機会を得たため去って行っただけのこと。だから気にするな。だが将が減ったのもまた事実。苦労をかけるがそなたの采配によって我らを勝利に導いてくれ。」
「でも・・・。出来るかどうか。それに知識もそんなないし。局面だって分りません。」
「その点に関しては安心しろ。杏里!岩間!」
そう俺を安心させるような言い方で話すと二人の名前を藍様は口にした。
「「は!」」
「今から時間をこのものにくれてやる。その間お前達二人は側にいて助言や護衛をしてやれ。良いか!」
「「は!」」
二人は言われると大きく返事をした。そこからでも伝わってくる。どれだけこの人を信じてるのかが。
まぁなるようになったわけだし。とにかくやれることだけやりますか。
俺は二人に向き直ると、
「お二人には迷惑をかけますが手助けをよろしくお願いします。」
「安心しろ。私はあまり策は考えられないが、力には自信がある。お前を守ってみせる。無論。お前がどうとかではなく、藍様が命ずるから仕方なくだからな。」
何所のツンデレキャラですか。
「拙者は局面などおおざっぱな力添えはする者の細かい策に関してはご自分でお考えを。」
俺は覚悟を口にした。
「分ってますよ。ですが皆さんお手伝いお願いします!それに皆さんも今は信頼されてないでしょうが・・・。この戦!絶対勝ち戦にして見せます!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あ・・・。調子に乗りすぎた。やばい。士気落ちちゃったかな?
「あのー。」
すると杏里さんが俺の口を押さえ
「大丈夫。私も付いてるから自身を持て。すー。藍様の午前だぞ!気合いをいれんか!!行くぞ!えいえい!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」
「声が小さいぞ!!!もっと気合い入れろ!!えい!!えい!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」
「えい!!えい!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
そのまま杏里さんが声を上げ士気を高める中、藍様の方を見ると笑っていた。
「ふふふ。相変わらずの女だ。さてと皆の者よーく聞け!この戦勝ち戦に必ずするぞ!!良いか!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
「では元々指示しておいた場所にそれぞれ待機だ!策が決まり次第知らせる!解散!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
藍様が解散をかけるとおのおの「さすが藍様しっかりしておられる。」とか「よしやるぞ。」とかの声がちらほら聞こえてきた。なら俺の仕事は、
「皆さんを勝たせないな。」
「翔。」
「何ですか?藍様」
「私はここにいるが気にするな。」
「はい。分りました。」
うわー。見られながらとか緊張するじゃん。
そうして俺はこの部屋で杏里さんと岩間さんそれに藍様と四人きりになった部屋で策を考えることになった。
「まずはお聞きしたいのですが、今回の戦地となる場所の地形を詳しく教えてくださいませんか?それと敵味方の陣の様子もお願いします。」
そう俺がお願いすると岩間さんが教えてくれた。
「それらに関しては拙者が答えよう。まず、地形に関してだが我らが陣取っているところから見て左に川、右が茂みとなっており大変見やすい平野となっておる。その真ん中でお互いに陣を取り合ってるのが現状だ。」
「ふむふむ。細かい人数、部隊数は?」
「部隊に関しては、拙者側の正面に構えているのが三部隊。今頃合流していると思われるが、齋賀殿、本郷殿、旧部殿の御三名が約一人あたり三百合計九百の兵が構えている。その後ろ殿がおられるようになる場所には阿部殿が約八百の兵を率いて陣取っている。現状の流れでは杏里殿が茂みに三百の兵を連れ陣取る予定だ。」
「それぞれの強さは?」
「この城切手の槍使いの杏里殿、齋賀殿、本郷殿は武功が厚い。旧部殿、阿部殿もこの三人には劣る者のこの城の中では強い。特に齋賀殿、阿部殿に関しては兵法も熟知しているため兵の扱いにも長けている。」
「そうですか・・・。」
合計人数が二千か。いや自由に動かせるのは、
「質問なのですが、杏里さんの兵はまだ戦地に赴いて無いのですよね?」
「それはまだ私がここにいるからな。」
なら杏里さんしか自由に動けないか。
「敵の人数。陣の配置はどのようになっていますか?」
「敵の配置に関してだが、鶴翼の陣を気づいている。前方に一部隊。右翼左翼にそれぞれ二部隊を配置。その後ろに大将が陣を取っている。大将以外がそれぞれ八百人。大将が千人を連れている。」
「合計は・・・五千人。きついなぁ。」
俺は手を頭にそえて考える。
考えろ。某ゲームならどうする。そのゲームだと強さは関係があるが人数の前には関係ない。だって元に俺がそのゲームだと三人で囲って強敵を倒していたからな。特に城の防衛なら・・・。いやこれは平野での戦いだから裏をとれば強い奴がいないところを杏里さんで付けば行けるか・・・。でもその前に確認しないと。
「すみません。確認なのですが敵の兵種、味方の兵種を教えてもらえますか?」
「兵種か・・・。こちらは前方の部隊の約半数が竹槍兵だ。残りは足軽だ。其れは杏里殿の部隊も同じだ。敵方は前方の敵部隊が竹槍でそれ以外は全員足軽になっている。」
「前方だけ・・・か・・・。」
こっちの竹槍は約五百。敵方は八百。これはぎりぎり耐えられるか。うーん。最後の決め手がな。不自由なく動かせる人数の差が痛い。出来るだけ少なくしたいんだが・・・。
取りあえず聞くか。
「騎馬はどれだけ用意できますか?」
「何故其れを聞くのだ?今は関係ないだろ。」
「いや其れが必要なんです。」
何かを察したのか、藍様が許可をくれる。
「良い話せ。負けては元も子もない。使える者を使えるだけ使って勝てるなら使って良いぞ。」
「ありがとうございます。」
「分りました。では教えるが用意できる数は百五十。」
「百五十!?」
「どうした。うるさいぞ!」
「あ・・・ごめんなさい。」
杏里さんが驚いたのが顔を真っ赤にして俺に怒った。
はぁ、だって百五十ってねぇ。まぁいいや。其れで頑張って貰うしかないか。
「杏里さん。あなたの部隊の選りすぐりの者を選んだらどれほどいますか?」
「三百。」
「いや、其れ全員じゃん。」
「だから全員だ。誰もが私と共に戦場に出たら鬼神ごとく達振る舞うぞ。」
「其れはさすがに・・・。」
俺が信じられないでいると、藍様が答えた。
「それは本当だ。杏里達は鬼神の部隊として有名だからな。」
「なら騎馬が出来るのは?」
「全員だ。」
「分りました。なら百五十人決めといてください。其れと覚悟も。」
「そうか。でもたったそれだけの人数で何が出来るのだ?まぁとにかく其れでお願いします。あ。」
俺はその時気づいた。聞き忘れたことに。
「ここから戦場までどのくらいですか?」
「二刻もあれば付くだろう。」
「そうですか。良かった。よし。藍様お話が。」
「なんだ?」
ここで言うことを言ったら藍様は笑い。他ニ名は俺を怒った。
「兵士。百人で良いですか?残り違うことに使わせてください。」
「・・・。はっはっは!これはいい!」
「藍様!良くありません!おい、翔!何を言うかと思えば貴様正気か!?」
「至って正気です。」
「だがこのようなこと―――」
「まて、杏里。」
藍様が杏里さんを止めて俺の前に出る。
此所が正念場だ。
「翔。何故そのような考えに至ったか話してみよ。」
俺は作戦を話した。
「まず、動かせる人数が違いすぎます。向こうは四千。こちらは約二千じゃとうてい先に動いたとしても押さえられない。其処を突破されれば時期に本陣も危うくなる。なら先に本陣を少なくして前線を押さえる。その上で杏里さん達に隙を突いて貰う形です。」
「ほう。それで隙はどう作るのだ?」
「其れこそ藍様から借りる兵七百を阿部殿に動いて貰います。其れを裏をかく策だと思わせその裏をかきます。」
「それは上手くいくのか?」
「それは杏里さんにかかってます。杏里さんの部隊が少人数であいた本陣めがけて敵の大将を打てるかどうか。」
「杏里どうなのだ?」
「必ずやなし遂げます!」
「分った。翔私のみの安全はどうする。」
「俺が守ります。」
「馬鹿な!たかが小童に任せられるか!戯言も大概にしろ!」
今まで黙っていた岩間さんが口を開いた。
信じられないのは分っている。でもこれしかない。これし勝つための条件を揃えられない!だから俺を信じて貰うしかないんだ!
「藍様!どうか!俺を信じてくれ!」
「小僧!黙れ!」
「黙るのは岩間お前だ!」
「な・・・。」
「お前は此奴がただほざいているように見えるのか!なら即刻武士をやめろ!武士なら分るはずだ!このものの目が!何を語っておるか!この気迫が!意思が!分るはずだ!私には分る!翔!この策でないと勝てないのだな?」
「はい!」
「分った!岩間!この策で行く!良いな?」
「く・・・は!」
「杏里も必ず首を取ってこい。」
「は!」
「翔。細かい指揮は向こうでとれ良いな。」
「はい。」
「うむ。これより!戦場に向かう!皆心得よ!」
「「は!」」
「はい!」
こうして俺の初めての戦が幕を開けようとしていた。
俺は勝てるかな。いや。勝つんだ!ここまで言ったんだ!よっしゃー!なるようになりやがれ!!