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~忍~

城から少し歩いた道で、俺は杏里さんと一緒に歩いていた。

「あのー杏里さん。」

「なんだ!?」

「いや・・・そのなんでそんなにいらいらしてるのですか?」

「誰のせいだと思うのだ?」

「分らないから聞いているのですが・・・。」

 杏里さんは、振り向くとちょっと怒った顔で言ってきた。

「お前が側にいること自体が嫌だと言ってるのだ!何故か藍様にも好かれているし。そもそも、お前は誰なのだ!」

 お、おう。つまりは乙女の嫉妬的な物なのかもしれないのか。

 しかし、俺のことを聞かれてもな・・・素直に言ったところで信じてはもらえんだろうし・・・どうするか・・・こう答えるしかないよな。

「秘密です。」

「そうか、そうか。ならば間者の疑いでお前を藍さまの御前に突き出してやる!」

「へ?いやちょっとまってください!」

間者なんて一度でも疑われても見ろ、このご時勢いつ見方に殺されてもわからなくなるぞ!ここは杏里さんにきちんと説明せねば・・・。

「何故待つ。話せないのだろう?」

「それには訳があるんです。」

「そんなん知らん!」

「いやいやいや!ここは聞く流れでしょう!」

「聞かない!」

「面倒な女だな・・・。」

「死にたいか?」

 そういうと、杏里さんは自分の刀を取り出し俺の喉下に添える。

 何度体験してもおっかない。だが、ここで引いたらどっちにしろ死だ。俺だって引けない。何せまだ戦国美少女とのハーレムを体感してないんだからな!

「何故刀を突きつけられてるのに平然としている・・・・さすがに肝が据わりすぎではないか?」

「そんなことは置いといて、わけを話しますね。俺はある理由で話せないんです」

「それで?」

「以上です」

「貴様・・・せっかく聞いてやろうと思ったら適当なことを」

「ああ、切らないでください!話しますから!絶対話しますから!ね?」

「はぁ・・・分かった。切らんから話せ。」

「まぁ、いつか・・・なんですけどね。」

「・・・切る。」

 やばい!死ぬ!

 そう思った瞬間杏里さんは俺を切るのではなく何かを弾いた。其れをよーく見るとクナイのようにも見えなくはない。というかクナイだ。

「貴様!どういうつもりだ!今こいつの頭めがけて投げたではないか!」

杏里さんは俺の後ろの建物の屋根に向かって怒鳴った。俺が其処に目を向けてみると

「又合ったでござるな!」

 可愛い声が聞こえてきた。

 そうですね。又合いましたね。というか杏里さんの言うことが正しければ俺の事殺すつもりだったてこと!?

 やばい・・・こいつはやばい。何故か俺が殺されるフラグが立ってる。

「・・・ども。」

「そっけないでござるな。取り敢えずそっちいくでござる」

「え・・・あ!そこから降りたら怪我しますよ!」

「よっと」

 俺の心配をよそに彼女いや、静香さんは降りてきた。

「さすが忍者だな。」

「その通りでござる。というか昨夜はもっと高いところから話しかけたでござるよ。」

 そういえば・・・そうだったな。

 とちょっと話していると拳が横から飛んで来た。

「いた!」

「ふん!私を無視し続けるからだ。」

「はぁ・・・。」

「ため息をつくな!つきたいのは私の方なんだからな!」

「へーい。」

「はい。と言え!」

 生ぬるい返事をしたら又殴られました。

「はい!」

「よろしい。それでこいつと知り合いのようだが誰なんだ?」

「ん?ああ。この人は」

「人を知ろうとするならばまずは自分から名乗ることが大事でござるよ。」

 と、俺が紹介しようとしたら静香さんが横から言葉を入れてきた。

 すると杏里さんはなんだか怪訝なオーラをバリバリと出し始める

「ふん。お前のような怪しい奴に名乗る名などない。」

「そうでござるか・・・。なら言わなくていいでござる。今日は其処の男の人に興味があったが故について来たでござるからな」

「な!翔!どういうことだ!」

 いやいやいや。俺が聞きたいんですけど。

「分かりませんよ。だって昨日の夜に会っただけなんですから。」

「夜だと私もいたはずだ!なのにあいつの顔に見覚えがないぞ!」

「いや、そりゃそうでしょうよ。杏里さんは酔っ払ってたんですから。」

「よ・・・酔っ払ってなどない!」

「いいや。酔っ払ってましたね。ね!静香さん。」

「そうでござる!杏里殿のお顔を拝見しましたがすっかりとよわれていたでござる!」

「ほら!杏里さん!見てる人がいるんですよ!」

 すると、杏里さんは顔をこれでもかってくらいに赤らめて地面にうずくまってしまった。

 反応が何かと可愛い人だなぁと俺は思いつつも声を掛ける

「まぁ可愛かったので良かったんじゃないですか?ごふ」

 すると殴られた。

「忘れろ・・・。」

「はい?」

「忘れろ!お前達二人とも忘れろ!忘れなきゃたたっ切る!」

「はい!?」

 そんな無茶な!

「そんなの横暴ですよ!」

「知らん!」

「はぁ・・・。」

 ため息が自然と漏れてしまう。

「ところでだ!本当にお前は何者だ!」

「後ほどそちらの方に聞くとよいでござる。無駄話がすぎたでござる。そろそろ本題に入ってもよいでござるか?」

「流しましたね・・・。分かりました。後で杏里さんに教えます。だから杏里さん一旦落ち着きましょう。」

「忘れたと言うまで知らん!」

「忘れました。これでいいでしょ?」

「ん!」

 ん?ああ。静香さんが言ってないからか。

「静香さんお願いします。」

「このままじゃ話も進みそうにないでござるね。分かったでござる。忘れたでござるよ。」

「本当だな?」

「はいでござる。」

「分かった。話せ。」

 今、俺が感じた感情を言おう。杏里さんチョロいなぁ。これ側に居候させて貰ってる俺が気をつけなきゃいかんな。

 まぁ、俺がこんなことを考えてるよそで話が進もうとしていた。でも、静香さんは俺の顔の前にグイッと自分の顔を近づけた。

「へ?」

「あなたのお名前を伺っておきたかったのでござる。」

「あれ。言ってなかったっけ?」

「言ってないでござるよ。」

「杏里さん?」

 俺は言っても良いのか同意を取るように杏里さんの方に顔を向けると、顔をくいくいやってる。

 教えるのに元々抵抗はなかったしな。教えるか。

「御影翔です。」

「御影・・・翔でござるか・・・。其れは誠でござるか?」

「誠です。」

「うーん。分かったでござる。ではさらば!」

「あ!」

 そういうと、すごい速さで屋根まで飛び退きそのまま消えてしまった。

 何で俺の名前を知りたかったんだろう。俺、この時代の人じゃあいのに。

「杏里さん。なんであの人は俺の名前知りたかったんでしょうか?」

「私は認めてはいないが藍様はお前の事をかっているからな。そのせいだろう。」

「だれしも一国の大名が人目置く者の名前を知りたいって事ですね。」

「多分な。だが、納得してなかったがな。」

「何でちょっと嬉しそうなんですか・・・。」

「私と考えを同じに思う者がいて嬉しいだけだ。」

 わざわざ言わなくても良いのに・・・。

「其れよりもだ・・・。あのものは一体何者だ!」

「ああ、あの人は一条何とかさんの・・・」

「一条豪勇様か?」

「その人です!その人の忍びだそうです。」

「そうか・・・だから私の名前もしっているということか」

「誰なんです?俺詳しくその人の事昨日も聞かなくて」

「一条家は隣国の大名だ。そして藍様の同国でもあるな。」

「なるほど。」

「簡単に説明をすると、有馬を攻めとするならば一条は守りだな。なんと言っても居城である白夜の城は世でも名高い無敵の城だからな。」

 へー。そんな城があるんだ・・・きっと聞いたことないからいつかは敗れて消えたんだろうけど、戦国好きからしたら行ってみたいな。

「杏里さん。そこに行けないんですか?」

「いけるわけないだろう!同盟と言ってもいつ壊れるか分からない。それがこの世の道理。そうなった際お前だけでは直ぐ死ぬぞ。」

「杏里さんは?」

「私か・・・何人殺せるか分からんが死は免がれんだろうな。」

 俺はこの時ふとある思いがよぎたっが言葉にはしなかった。そのまま杏里さんは俺に忠告する。

「一つの城から抜け出すと言うことはとてつもなく難しい。だから安易にお前も気をつけるんだぞ。」

「何でですか?」

「私はいつでもお前を殺す事が出来る。その事を忘れるな。」

「・・・はい」

 俺は直ぐに返事が出来なかった。いやさせてもらえなかったに近しい。杏里さんの言葉の重みが簡単には言わさせてくれなかったから。

 でも・・・この人の言葉には違った意味も捉えられるようにも思った。今の俺には分からないけど。

 そんな風に俺が考えていると、杏里さんは思い出したかのように身だしなみを整えながら歩き出した。

「ほら行くぞ!当初の目的を忘れるな。」

「忘れてたのはあなたでしょうに。」

「何を!私は藍様の命令を今まで一度も忘れたことはないのだぞ!」

「ああ、分かりました。分かりました。」

「又適当に返事をしおって。まぁいい。目的の場所に着いたから許してやる。」

 俺は辺りを回してみると、長屋が遠くに見えてこれといった物が見つからなかった。

 杏里さんは何処に連れて行きたかったんだ?

「杏里さん何も見えませんよ。」

「そっちじゃない。」

「うお。」

 俺は無理矢理顔を隣の坂の方に向けられた。

「上の方に煙が見えるってことは・・・」

「分かっただろう。此所がこの城唯一の火事場だ。」


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