第1話 ④
「…………」
俺は今、女の子と2人で帰路に着いている。しかも飛び切りの美人だ。
…………これはデートなのだろうか。互いにずっと無言だけど。
いや、しかし早まると何勘違いしてんの?気持ち悪……と思われかねない。
もしかしたらエリザの故郷だと一般的かも知れない。
…などとくだらない事を考えていると、エリザの方から喋りかけてきた。
「すまないな、わざわざ私に付き合ってもらって」
「あ、ああ……別に構わないよ。それで、話って?」
「その件なのだが、私の住まう場所の事だ」
住まう場所?まさかまだ決めてないのか?
「……ん?これから部屋を探すのか?」
「いや、ハナコ婆様から手紙を渡されていてな」
そう言うとエリザが鞄をガサガサ探り始める。
「この中に地図が入っていて、
『ここで世話になれ』と言われているんだ」
「なるほど、要は道案内をして欲しいのか」
「その通りだ。話が早くて助かる」
「……」
「……」
……待て、もうそろそろ俺の家に着くぞ?
エリザがずっと俺に付いてくるからおかしいな、
とは思ったがまさかそういうことだったとは。
「……非常に言い難いんだけど、
それはもう少し早く出して欲しかったなー、なんて…」
「……ハッ!!」
やはりポンコツだ。本当にこんなので女戦士だったのか?
俺がエリザの敵だったら簡単に罠に嵌めれそうな気がする。
「くっ…殺せ!」
「殺さないから」
ていうか1時限の時も思ったがこの口癖はなんだろう。
「えと、地図を見せてくれるかな?」
「了解した……では頼んだぞ」
地図を見てみる。
どれどれ……………………………………。
「って、俺んちじゃん!!」
「っ!なんと奇遇な!!」
なんと奇遇な!!じゃねえよ!
ていうかなんで俺の家?エリザと同じ屋根で寝泊まりするのか?
…………。
……。
待て待て待て待て、早まるな。
もしかしたら何かの間違いかも知れないだろ。
「やはりお前には出会った時に何かを感じ取っていたが……
もしかしたら私とユーシャが出会ったのは……」
などと言いながらエリザが俯き、そして直に顔を上げた。
「……運命、なのかもしれないな?」
照れ顔で何言ってんだこの人……。
ていうかよくそんな恥ずかしいセリフを今日出会った人間に言えるな。
エリザの故郷の女戦士ってのは皆こんな風なのか?
「と、とにかく俺の家に行ってみようか。
母親が何か知ってるかもしれないし」
「そ、そうだな……では行くとしよう!
ユーシャの家へ…ってわわ!」
エリザが石に躓いたのか、パンツが丸見えの形で盛大に転んだ。
「くっ…私を殺せ」
「殺さないから」