第1話 ③
「それでは皆さん~、また明日会いましょうね~」
マキちゃんの話が終わると皆が帰る準備を始めた。
今日は3時限で学校が終わり、今は12時00分を過ぎた所だ。
つまり丁度お昼時である。
そしてエリザの周りにまたしても人溜まりが出来た。
「エリザさん!良かったらこの後カラオケ行かない!?」
「エリザ様!私達と一緒にランチしませんか!?」
……まあ当然だな。HR終わった後もあれだけ人気だったし。
さっさと明宏のクラスに行って一緒に帰る…ん?
「エリザさああん!!俺とデートしてくれええええ!!」
…………。
エリザの席からとても聞き覚えのある声が聞こえた。
……よし、今日は一人で帰るか。
鞄を持ち、席を離れ廊下に向かおうとするとエリザの口が開いた。
「皆、せっかく誘ってくれたのに申し訳ないが
今日は2人だけで一緒に帰りたい人が居るんだ。」
そう告げるとエリザは鞄を持ち俺の方に近寄ってきた。
「私と一緒に帰らないか?」
「……へ?」
「ユーシャ、お前には色々話しておきたいことがあるんだ」
瞬時に教室内の空気は凍りつき、そしてすぐに火山のように噴き出す。
「え!?波間くんとエリザさんってもうそんな関係なの!?」
「は、波間がやりやがった!やりやがったぞおおおお!!」
「やっぱりそういう関係になってたのか!チクショー!!」
「キャー!なになにどういうことー!?」
「ユウウウシャアアアア!?お前、おまえぇぇ……」
明宏がテレビでは見せられない顔をしながら半涙目で俺に訴えかけてくる。
「どういうことか説明出来るよなぁぁぁああ!?なぁぁああ!?」
俺が喋ろうとした時、エリザが俺の腕を掴み廊下に引っ張っていた。
「さあ、帰るぞユーシャ」
「わ、わかった!わかったから腕を話してくれ!」
エリザは微笑みながら、ユーシャと廊下を跡にする。
教室内から明宏の呻き声のようなものが聞こえてきたが……。
俺は聞かなかった事にした。