第1話 ①
「エリザさんって美人だよねー」
「む、そうか?そういう風に言われたのは初めてだ」
HRが終わった途端に隣のエリザさんの席に人溜まりが出来た。
これだけ日本人離れをしている美人なのだから、
仕方ないといえば仕方ない。多分だが珍しさもあるのだろう。
「エリザさんって元女戦士…?なんだよね?どんなことをしてたの?」
「主にモンスターを狩るのが私の仕事だ 護衛もよくやっていたぞ」
……そして、ただいま隣の席で奇抜な問答が交わされている。
「すご~い!エリザさんってとても頼もしいんだね」
え?そういう反応なの?
ていうかモンスターって何?この世界にそんな存在いるの?
「はいはいはーい!!エリザさんはいま彼氏居ますかー!?」
明宏が人溜まりを手で掻き分け、
エリザさんの元に進み手を上げ大声で質問した。
「私は物心がつく前から戦うことを生業として活動してきた。
なので生まれてこの方、そんな存在は出来たことすら無い」
ええー!?と、クラス中がその発言に驚く。
……驚く所は他にあると思うが、俺の気のせいだろうか。
まあ絵に描いたような美人なので驚くのはわからんでもない。
「くっ…すまない、そういう面は今まで疎かにしてきたのだ」
「やったー!!生きてて良かったー!!」
喋ると同時に明宏がガッツポーズをしてその場で泣き崩れた。
その光景に、周りは若干ながら引いていた。
そして明宏が妖怪のようにヌルリと俺の席まで這ってくる。
「ユーシャお前!エリザさんの隣なんて嫉妬心でお前を殺せるぞ!!」
「やめろ鬱陶しい!」
と、明宏と攻防を繰り返しているとエリザの方から話しかけてきた。
「ユーシャ」
「な、なに?」
「お前とは席が隣同士、仲良くしていきたい。
これから不便をかけるだろうが、どうか私を見捨てずに……
す、末永く付き合いをしてくれ」
……顔を赤くして何言ってんだこの人。
ていうか恥ずかしいなら言うなよ!!なぜこのタイミングで言った!?
エリザさんが意味深な発言をして辺りが一斉にざわめく。
「おぉぉおおおおぉおお!?おいユーシャ!?
お、おまえ!!エリザさんといつの間にそんな関係に!?」
明宏の呂律が回らずに喋り、次々と人溜まりから
「アイツ、無口な癖にかなりやり手だな……」
「えー、波間くんってそういう人だったの?なんか以外」
「あの野郎、たまたま席が隣同士だからって……!」
どうしてこうなった。