第2話 ⑥
ショッピングモールに来て時計だけを買って帰るのは、
せっかく来たのに勿体無い気がしたのでエリザの服を見に行った。
「ユーシャ、どれがいいのだ?」
それが困ったことに、まったくわからない。
流行とかあるのだろうけど、女性とデートなんてしたことないし……。
ましてや洋服を異性と2人で買いに来るなんて、エリザが初めてだ。
とりあえず2、3枚選びエリザに渡した。
「こっちに付いてきて。試着出来る所があるからそこへ行こう」
店内を歩き試着室に向かう。
……やはりエリザは美人なのか周囲の目を引いていた。
「ここで試着できるから、エリザに似合うのか確かめてみよう」
「わかった……では行ってくる!」
なぜか気合を入れて試着室に入るエリザ。
中からゴソゴソと服の擦れた音が聞こえる……。
ええい、いやらしいことを考えるな!これはただの服の擦れた音だ!
……くだらない事で奮闘をしているとエリザが試着室から出てきた。
「どうだ?」
「い、いいんじゃないか?」
普通の薄い長袖を着て出てきたエリザ。
……別段、特別という訳でない。
なにかあるとすればエリザの引き締まったボディが、
はちきれんばかりに服がパツパツになっていた……エロい。
「ふむ…では次を着る」
そう言うとまた中に入り、着替え始める。
少し経ってカーテンが開きエリザが着ていたのは…
「これはどうだ?」
……? なにか違和感を覚える。
……なぜだ?エリザは服を着ているだけなのだが、
なにかが違う、と自分の頭の中で引っ掛かる。
「しかしユーシャ、どうしてこれは背中に穴が開いているのだ?」
……その違和感にすぐに気付いた。
「エリザ、それ逆だ」
「んなっ!?」
エリザが胸元の開いた服を逆に着ていただけだった。
「くっ…脱がせ!」
「自分で脱げ」
再び試着室のカーテンが閉まる。
やはり少しポンコツだ……などと考えていると、
今度はすぐにカーテンが開く。
「これでどうだ?」
…………バストホールを作った偉大な御方。
あなたの事をこの先、私は一生敬します。
そこにはエリザの褐色で大きい胸が穴から見えていた。
「うん、似合うな」
「本当か?ではこれにしよう」
2着を持って行き、会計へと向かう。
「エリザ、お金を払ってあそこで待っててくれ」
「む?どこかへ行くのか?
私ばかり付き合ってもらったから、ユーシャが良ければ付き合うが……」
「あー、ちょっとな!すぐに戻るから!」
時計を買い終えた後、お金のことをお札に関してだけだが教えたので、
きっと大丈夫だろう。…………正直、かなり心配だが。
俺はある場所へとやや走りながら向かった。