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第2話 ③

「皆さ~ん、1限目は清掃場所の担当を決めます~」


掃除場所を決める時間……それは戦争である。


「教室をやりたい人は居ますか~?」


教室、廊下、階段、トイレ、美術室、職員室。


この中から自分で掃除場所を選択しなければならない。

ちなみに狙い目はやはりトイレか美術室だろう。

トイレは言わずもがなで、

美術室は無闇に動かしてはならない物が結構多いのでサボれる。

……ただ、問題があるとすればトイレは男女各2名で、

美術室に関しては2名のみ……人数が少ないのだ。


「エリザさん、私と一緒に廊下掃除やらない?」

「いや、俺と教室掃除をやりましょう!」

「エリザ様は私と階段を掃除するの!」


一斉に話し掛けらた本人は相槌を打つ。

周りがガヤガヤと騒ぎ始めるとエリザが話しかけてきた。


「ユーシャはもう決めたか?」

「俺はトイレか美術室にしようと思ってる」

「ふむ…なぜだ?」


なぜ……と聞かれてもサボりやすいから、とは流石に答えられない。

ましてやエリザは多少なりポンコツ属性が入っているけれど、

芯は真っ直ぐしているのでこういう事を言ったら本気で怒られそうだ。


「やり甲斐があるから…かな」


よし、これならエリザも……


「なに!?そのような理由だったとは……!

       それなら私もユーシャと同行しようではないか!!」


ま、まずい……エリザはクラスでとても話題になっている。

一緒に掃除をやりたがる人は多いはずだ。

……そうなると当然、定員が爆発的に増える。


「なに、大船に乗ったつもりでいてくれ。

        私がユーシャを全力でサポートしよう!」


…………真っ直ぐなエリザを見て、良心が痛む。


「は~い、トイレ掃除は決まりました~。

        段々と清掃場所が埋まってきましたね~」


なっ!?話してたら出遅れた!?


「では美術室をやってくれる人は居ますか~?」


俺は全力で手を挙げる。エリザも釣られて手を挙げた。

そしてエリザが挙手するのを待っていたかのように一斉に手が挙がる。


「わわ……皆さんは美術室が好きなんですね~。

       え~っと、数が多いので先生とジャンケンにします」


「先生がじゃんけん…と合図をするのでポンと言ったら、

      美術室を希望の人はグー、チョキ、パーを出してください~」


先生が楽しんでるように見えるのは気のせいだろうか。

…………ん?待てよ、ジャンケン?


「エリザ、ジャンケンは知っているか?」

「いや、初耳だ!」


……………………。

……ハナコ婆様、エリザにジャンケン教えてないの?


「では皆さん、行きますよ~?ジャンケン…」


まずい!教えないのも手だが、流石にそれは非人道的すぎる!


「この形を作って手を挙げろ、エリザ!」

「……?よくわからないが、承知した!」


「ポン!」


そしてこの圧倒的な人数の中で勝ち残れるはずも無く、

教室掃除となってしまった。

……ちなみにエリザもグーしか出さず、(正確には出せず)

結局俺と一緒に教室掃除に決まった。


…………現実は非情である。

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