第2話 ①
朝。ジリリリリリ!と大きな音が聞こえる。
きっと、目覚まし時計のアラームだろう。
ベッドから起き上がり、目覚まし時計のスイッチを押す。
床に立ち部屋のドアを開け、階段を降りて洗面台がある場所に向かうと、
そこには妹が居た。どうやら歯を磨いているようだ。
俺も洗面所に入り、お互い無言で歯を磨く。
先に妹が口の中をゆすぎ、リビングの方に歩いて行った。
これが俺と妹の日常だ。
俺も口の中をゆすぎ、リビングに向かう。
『摩訶不思議!
今回は老人の顔をした呪いの大木について取材してきました!』
テレビから男性アナウンサーの声が聞こえる。
異世界の事を知る前ならこれっぽっちも信じていなかっただろうけど、
あちら側の世界の話を聞いてしまった俺は、
この呪いの木は本当にあるのではないかとさえ思えてきた。
「おはよう、母さん」
「あらユーシャ、エリザちゃんがまだ起きてないから起こしてきて頂戴~」
「……俺より母さんが起こしに行ったほうが良いだろ。
エリザも同い年の女の子なんだから見られたくない所もあるだろうし」
そう言うと母親がため息をつき、こちらを向いた。
「アンタね~…こういう時にポイント稼いでおかないと、
エリザちゃんがお嫁さんに来てくれないわよ?」
「俺とエリザはそういう関係じゃない!」
「……じゃあ行ってくるから」
「いってらっしゃ~い」
パンを食べ終えやや不機嫌そうな妹はリビングのドアから出て行った。
「ほら、アンタもエリザちゃん起こしてきなさい」
やや理不尽だと思いながらも、エリザの部屋の前に足を運ぶ。
2回ノックをするも返事がない。
「エリザー!」
…………返事がない。
仕方ないので部屋に入ることにした。
ドアを開けて中に入ると、
ベッドに横たわり快眠しているエリザの姿がそこにはあった。
「すー、すー……」
……布の面積が小さいせいで色々と危ない。
目を半開きにしながらエリザに近寄り体を揺すった。
「エリザ、朝だから起きろ」
「くっ…ころ…すー、すー……」
「エリザ!起きろ!」
「んん……少し……大人しく……」
とその時、エリザに手首を引っ張られ、
ベッドに引きずり込まれて抱き締められた。
「もがっ!?」
柔らかいマシュマロのような2つの胸に顔が圧迫される。
振り解こうとするもエリザの力は元女戦士なだけあって、
物凄いパワーで抱き締めてくる。……ダメだ、ビクともしない。
…………い、息が……苦しい……。
「私は絶対屈したりなぞ…………ん?」
「エ、リザ……」
「ユ、ユーシャ!?まさか……これがヨバイ……!?」
「もう朝だ!」
「くっ…好きにしろ…!」
エリザはベッドに横になり、右腕で胸を隠し左腕で腰を隠す。
ダメだ……話を聞いてない。
一旦落ち着かせて今までの経緯を話すと、
本当にすまないとエリザの方から半涙目になりながら謝ってくれた。