第1話 ⑩
夕食時に改めてエリザの自己紹介をして、
部屋に戻ろうとしたらエリザが今度こそ俺の部屋を見たいと言ってきた。
見られてまずいものは特に無い(と思う)ので、
今度は俺の部屋に招待した。
そして今、エリザが俺の部屋に来ている。
「ここがユーシャの……」
「言っただろ?面白いものは何もないって」
「構わないと言ったはず…これはなんだ?」
エリザが指を指したのは机の上にあるパソコンだった。
「これはパソコンって言ってだな」
……なんて説明すればいいのだろう。
エリザの世界はどこまで科学が発展しているのだろうか?
「難しい機械だからまた今度教えるよ」
難しいとは嘘であって、
本当はエロいのとかエロいのとかが詰まっているのだ。
「むう、そうか……ここがユーシャの寝台だな」
エリザが俺のベッドに座る。
「……な?面白いものは無いだろ?」
「そんなことはない……
ここでユーシャが育ったと思うと、なんだか感慨深いな」
と言うとエリザは落ち着いたように深呼吸をした。
……なんだか恥ずかしいな。
「そ、そうか……まあ楽しんでくれて何よりだよ」
そうだ。エリザにお風呂の説明をしなくては。
「エリザ、下に行こう」
「なぜだ?」
「浴室を案内するよ」
部屋から出て廊下に移り、お風呂場の前までやってくる。
「ここが浴室だ」
扉を開けて浴室の中に入る。
「ふっ、私は浴室の事についてはハナコ婆様に教えてもらっているぞ」
「ここを捻ると熱水が出るのだろう?」
「正解」
……なのだがなぜドヤ顔なのだろう。
少し可愛いから別に良いのだが。
「さあ、お前の力を見せてみろ!」
と言うとシャワーが出る方をエリザが捻った。
「!?くっ!!なぜだ!?」
なぜだ!?じゃねえよ。
シャワーの方に捻ったら上からお湯が出るのは当たり前だ。
ハナコ婆様からなにを聞いてたんだ……。
エリザがシャワーのお湯で濡れて、上部分が少し透ける。
「あ……」
「こいつ、私を裏切りって……ん?なんだ?」
「あー……とりあえずこれで拭きなよ」
そう言ってエリザの方にタオルを渡すと、
エリザが手を待て!の形にして俺の方に手のひらを見せる。
「待ってくれ。私はこのまま入ってしまおうと思うのだがダメだろうか?」
まあ、このまま風邪を引かれても困るし、
お湯を貯めてないがしょうがない。
「わかった、それじゃー母さんに伝えておくから」
「うむ、よろしくたの…」
何かに気付いたのかエリザの言葉が止まり、
顔がみるみるうちに赤くなっていく。
「くっ…殺せ」
「殺さないから」
今日で何回目かわからないやりとりをして、俺は浴室を出て行った。