プロローグ
オリジナルでは初めてとなります。珠鋼です。
不定期更新な上、文章も拙い有り様ですが、どうか温かい目で見守ってやってください。
評価・感想は大歓迎なのですが、作者のメンタルは豆腐以上に脆い仕様なので、なるべく柔らかい表現でお願いします。
季節は春。
卒業・卒園シーズンが過ぎ、世間が入園式・入学式・入社式といったお馴染みの行事一色に染まった4月の初め。
日本全国いたるところで、新入生および社会人を迎える儀式が催される中、ここ『千城学院大学付属高等学校』でも、本日入学式が行われようとしていた。
「どうか可愛い女子と一緒のクラスでありますように!!」
「何組だった~?」
「イジメとか、大丈夫だよなぁ………」
「やった! 同じクラスだよ!」
現在、クラス割り表が貼り出されている掲示板の前には、真新しい制服に身を包んだ大勢の新入生が集まっている。
クラス割りの結果に一喜一憂する者、仲間と談笑する者、さっさと自分の教室へ向かう者、緊張に身を硬くする者、何故か祈る者、様々だ。
彼ら、彼女らの顔に浮かぶのは、これから始まる新たな学校生活に対する期待と不安。
そりゃそうだ。何せ今日から高校生、今までとは周囲の扱いも環境も変わるし、ましてやここは“あの”『千城学院』。不安になるのも無理はない。
だが、そこは祭り大好き花の十代。ほとんどの生徒は不安よりも期待が勝り、今という時を楽しんでいる。
それは少年、蒼海夏流も同じだった。
…………そう“だった”。過去形である。
「………そりゃあね? 校則の欄に『命を大事に』とか『必ず生きて卒業しろ』なんて書かれてる時点で、マトモじゃないってのは薄々気付いてたよ?」
目元を手で覆い、俯きながら、夏流は誰に言うでもなく呟く。
まるで、目の前の現実から目を反らすように。
「けどさぁ――――」
もっとも、現実である以上、いくら目を背けようと完全に逃避することはできないし、それは結局問題を先送りにしているに過ぎない。
彼自身にしても、それは重々承知している。
だが、それでも、それを理解してもなお、夏流は現実を直視するのを拒んだ。
まぁ、気持ちは分からないでもない。何せ―――――
「―――入学早々、学校内で行き倒れに遭遇って、マジで何なの? この学校」
――――花壇に女子生徒が一人、うつ伏せの状態でぶっ倒れていたのだから。
今回は短いですが、次回は本編突入なので、少しは長くなるかと思います。できるかどうかは微妙ですが………
次回もお願いします。