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個別ストーリー:星1

北郷殿の勧誘を受けた3日後の深夜、俺はいつもの通り徹夜覚悟で仕事をしていた。


「・・・ふむ、作物の出来が若干悪くなってるな・・・人糞だけでは駄目か・・・よし、灰を使用するよう指示しよう。」


灰を肥料の代わりに使用されたのは江戸時代からであり、かなりの成果を挙げた対策である。「さて、次は・・〈コンコン〉ん?誰だ!?」

「私だ拳士殿。ちょっとよろしいか?」

「子龍殿か、入ってくれて構わんよ。」

「では失礼して・・・おや仕事中でしたか。」


「えぇまぁ。それよりいかがなされたこんな時間に?」


「いや、実は拳士殿に話がありまして・・。」

いつもの子龍殿とは違いどことなく真剣な表情が見てとれた。


「ふむ・・・どうやら重い話のようですな。まぁ座ってくれ。」

おそらく劉備殿に仕官するか此処に残るか悩んでいるのだろうと俺は理解した。

子龍殿は頷き近くの椅子に腰を降ろした。


「で、その話とはなんですかな?」


俺は茶の入った湯呑みを子龍殿に渡した。


「かたじけない。実は昨日劉備殿に勧誘されましてな。」


ふむ、やはりか。なんとなく感づいてはいた。


「ほぅ、勧誘を・・」


「うむ、その事で少々悩んでおりましてな。」


「ふむ・・・なるほど。貴殿は正直どちらに仕えたいのだ?」


「正直なところ劉備殿に仕えたいと思っている。」


「ふむ、ならば劉備殿に仕えればよいのではないか。」


「しかし拳士殿、私が抜けるとなると私の穴埋めはどうなさるのだ?」


確かに今の公孫賛軍にとって趙子龍という存在は大きく、正直言うと抜けて欲しくない存在だ。

だが、子龍殿には劉備殿に仕えれば後々の連携が取りやすいのも事実。


「そんなことを貴殿が心配する必要はない。貴殿が来る前は俺と白蓮でこの国をまわしていたんだ問題はない。それに、もし君が今劉備殿に仕えなけれ我々が貴殿を客将として雇った意味がない。」


「・・・拳士殿。」


「俺達は大丈夫だ。白蓮とこの国はこの幽州の鷹である伏拳士が護る!だから安心されよ。」「・・・かたじけない拳士殿、おかげで決心がついた。今まで世話になったな拳士殿。」


「なに、大したことはしていない。」


「大したことをしているのですよ拳士殿は。・・・拳士殿、「ん?」最後に私の願いを聴いて貰えないか。」


「・・・願い?」


「うむ、私の真名を拳士殿に預けたいのだ。」


「分かった。なら俺の真名も預かって貰おう。」


「えっ?よろしいのか拳士殿?」


子龍殿は驚いていた。まぁ無理もない、俺はあまり人に真名を預けないからこの公孫賛軍で俺が真名を預けたのは白蓮一人だけだった。


「あぁ構わんよ。俺の真名は雄だこれからは真名で呼んでくれ。」


「うむ、私の真名は星だ。雄殿ありがとう。さて、そろそろ私は部屋に戻ろう。夜分遅くに済まなかった。」


そう言って星は椅子から立ち上がり扉へと向かった。


「星殿」


「ん?わっ!」


俺は星に一本の酒瓶を投げ渡した。


「雄殿これは?」


「老酒だ。まぁ餞別として受け取ってくれ。」


「雄殿・・・大切にさせて頂く。では、また会おう雄殿。」


「あぁまたな星殿。」


そうして星は部屋を出た。新たな決意を胸に抱いて。


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