個別ストーリー:白蓮1
「フゥ・・・終わった。」
私は筆を置いて大きく伸びをする。
朝からやっていた書簡の整理が昼過ぎに終わった。
「さて、仕事も終わったし久しぶりに白を連れてあそこに行くか」
そう言って私は馬舎へと向かった。
ちなみに白は私の愛馬の名前だ。
―馬舎―
「えーっと・・あっいたいた。」
私の視線の先には美しい白いたてがみが特徴の白が私の方を見ていた。
「白、相変わらず綺麗なたてがみだな。」
そう言って私はたてがみを撫でた。
「ブルルッ」
「あれ?そういえば銀〈しろがね〉がいないな。」
いつも銀がいる場所はもぬけの殻になっていた。ちなみに銀は雄の愛馬の名前だ。
「てことは雄も銀を連れて何処か行ってるのか。暇だったら誘おうと思っていたけどいないなら仕方ないか。よし、白行くぞ。」
「ブルルッ」
そうして私と白はとある場所へと向かった。
―街外れの川―
「フゥ・・・着いたな。」
私は街から少し離れた林の中にある川に来ていた。ここが私のお気に入りの場所だ。
「やっぱりここはいいな来ると心が和む。」
そう言って私は近くの岩に腰を降ろした。白も私の隣で横になった。
「(ほんとは雄と来たかったなぁ。)」
そんなことを思っていると、上流の方から一頭の白馬がやって来た。
「あれ?お前銀じゃないか!?どうしてここに居るんだ?」
そう、やって来たのは雄の愛馬の銀だった。
「ブルルッ」
「どうしたんだ?銀、雄は一緒じゃ無いのか?」
「ブルルッ」
私が銀に尋ねると銀は一鳴きすると私に背を向け歩きだした。「あっ銀!どこ行くんだ!?待て!白行くぞ。」
「ブルルッ」
そうして私と白は銀の後を追った。しばらく上流の方へと歩いていると銀が歩みを止めた。
「ん?どうした銀?・・あっ」
私の視線の先には軍略書を手に取ったまま木にもたれて寝ている雄がいた。
「軍略書持ったまま寝てる・・読んでる途中で寝てしまったのか。」
そんなことを言いながら私は雄の隣に腰を降ろし雄の顔を見た。
目の下にはくっきりとクマが出来ており、普段余り寝ていないことを物語っていた。
「よっぽど寝てないんだな・・・無理させてるなぁ雄には。」
軍事はほとんど雄に任せっきりだし、それに加えて内政の方もいろいろ手伝って貰っているから寝る暇なんて無いのかもしれないなぁ。
「いつも頑張って貰ってるし、私と雄二人だけだし・・・あれをやってやるか。」
そう言って私は木にもたれている雄の身体を自分の方に倒し雄の頭を太ももの上に乗せた。
いわゆる膝枕をした。
「うーん・・・雄の髪短いからちょっとチクチクするな。・・・雄、いつもありがとな。これからもずっと私の側に居てくれよ。」
そう言って私は雄頭を撫でた。
すると、
「・・ん?・・んん~?」
雄が起きてしまった。
「・・・白蓮?」
「あ・・・い、いや違うんだこれは・・・その・・雄にはいつも苦労かけてるから・・・その・・。」
「・・・フフッ、ありがとう白蓮。だが、俺は苦労かけられてるなんて思ったことは無いぞ。」
「えっ?・・・いやでも、仕事のせいであんまり寝てないんだろ。休みだってあんまりあげられてないし。」
「それは白蓮も同じだろ。仕事が多いのも休みがあんまりないのも。」
「うぅ・・・でも・・」
「ほら、そんな暗い顔してたらせっかくの可愛い顔が台無しだぞ。」
「ばっ・・そ、そんな恥ずかしいこと言うな!バカ!」
「ほんとのことを言っただけなんだけどなー。」
そう言って雄は身体を起こし軽く伸びをした。
「さて、そろそろ城に帰るか。銀そろそろ帰るぞ。」
「ブルルッ」
「白、私達も帰るか。」
「ブルルッ」
「んじゃ帰りは護衛させて貰うよ。」
「あぁ頼むな。」
そうして私達は城へと帰った。