↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

題目もろもろ短編集

恋は"ピポパルペロロン"

作者: R-N
掲載日:2026/07/04

某SNS日記お題目より作成した短編です。

AI判定100超えたので、調子こいて載せてみました。

 "ピポパルペロロン"って知ってる?

 無邪気に彼女が言ってたのを思い出した。

 とある村の伝統行事らしい。彼女が育ったのは小さな島で。島だと言うのに珍しく、漁港が無いという話だ。

 そして、その奇妙な行事は、海側から島を一周し、早さを競うもので。

 私は一種のペーロンみたいなものかと思っていた。

「海に入るとね。今までと見違えるくらいに変わるの。」

 きらきらとした彼女の瞳がその魅力を物語っていた。

 

 流れ着いた無人島で、私は先住民にもてなされ、村の伝統行事だという"ペパピポプレロン"の競技を鑑賞させられていた。

 逞しく海面を叩く尾びれ。 しなやかに力強く曲がる下半身。 高く跳ね上がると同時に、皆から発せられる「セイヤッ」の号音。

 海に入った途端、二本足から太い魚体に変化する。 ついでに言うなら、陸地ではもさっとしていた彼らが、海に入った途端凛々しい美形に変化した。

 そんな彼らが、エビのように腰を曲げ跳ね、海面を滑り走る。「セイヤッ」の号音が、鋭く煩く耳に突き刺さる。

「いかがですかな、我らが嫁殿。」

 隣で何十年、いや何百年生きていたんだろうか…という長老が、私の手を取り訊ねていた。

 特等席に座らされて、鑑賞するものの。 その先の展開を訊くのが恐ろし過ぎて、ただ私は笑って誤魔化した。 島は圧倒的に男子が占めており、女性は一人も見当たらない。 そして座らされている玉座はそう、まるで賞品を飾る台のよう。

 一際高い歓声と同時に勝利した男性陣が、玉座横の水路に入ってきた。

「さあ、嫁殿。勝者を讃えてくだされ。」

 皆が手を私に差し出す。 差し出されるけれど、受け取ったが最後… な気がしてならない。

「ご… ごめんなさいっ!!」

 私は頭を下げると。 思い切ってその場から逃げ出した。 幸い陸の上では彼らは早くない。 とはいえ、周りは海。 泳いで逃げるには無謀すぎるし、何よりきっと彼らに追い付かれる。

 もしくは私が海へは出ないと皆が見込んでいるのを逆手に、海へ飛び込む… というのもアリかもしれない。

 騒然とする島内で騒がしさを避け、岸壁の縁へやってきた私は、そっと崖下を覗き込んだ。ごつごつした岩が海面に剥き出しになっている。目が眩みそうになる高さや、打ち付けてくる強い吹き上がりの風が立ちはだかるけど。

「ヨイショ、と。」

 私は後ろ向きに足を崖の外に乗り出した。慎重に足場を捜して、崖を一歩ずつ下っていく。そのまま崖下へとあともう少しの所で思わず、足を踏み外してしまった。

 …そんな…

 ゆっくりと落下する私は、今までの事を色々と思い返していた。

 初めて島に着いた時の事。島の住人と出会った時の事。最初にもてなしを受けた時の事。よく考えたら、困っている私に皆優しくしてくれたのに。

 こんなことなら、意地を張らずに手を受け取っておけば良かったかな。

 そんな気持ちでゆっくりと、落下していた私は。

「セイヤッ」

 思い切って声を張り上げ、彼らのような掛け声を出してみた。

 パンッ、と体が跳ね上がる。自動的にくの字でエビみたいに跳ねた私は、そのまま"セイヤッ、セイヤッ、"と叫んで次第に島から遠ざかった。

 そして。

「エイヤッ!」

 そう叫んで海の中にぼちゃん、と落ちた。


 次に気が付いた時には、私は救急搬送される所だった。

「大丈夫ですか。」

 声をかけてきた隊員に、私は安心感からニコッと微笑んで、支えてくれた手を強く握り返した。

「大丈夫です。有難うございます。」

 彼は、私の言葉にとても嬉しそうに応えてくれた。

「俺の方こそ。夫に選んでくれて光栄です。有難う。」

 あれ? 

 鳥が歌っている気がしたのに。ここは海? そんな匂いが広がっていく。彼は私の好みの容姿だった。私は何か、油断した? はたと私は彼の足元を見た。

 そこには立派な尾ひれが。

「一生大事にするよ。俺の嫁。」

 彼のその一言はとてもきれいで、それこそ恋する鳥が歌う様に"ピポパルペロロン"と高らかに響いていた。


主人公…の生態、不明です。それも含めて楽しんで頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。