開戦〈ルーク視点〉
俺はルーク、剣神と称されている。今、俺と1人の女と対峙していた。相手は杖を携え、ローブを纏っている。その女の名前はマーリン、魔王と呼ばれている人物だ。剣の神と魔法の王、この勝負は剣と魔法、2つの力の優劣を決める重要な戦いとも言えるだろう。
「ここなら誰もおらん。我らがやり合っても大丈夫だろう。」
「そうか…それじゃあ決着をつけようか」
俺は鞘から剣を抜き構える。相手も杖を構える。隙はない。俺には魔法の才能がない。罠が仕掛けられても気づくより先に発動することだろう。だから向こうから攻めてきてほしいのだが、相手は攻めてくる気配がない。ならば責めるしかないだろう。俺は足に力を入れて地を蹴る。地面が抉れ少しだけスピードが落ちるが関係ない。距離を詰めて斬る。剣術を単純に言ってしまえばそれだ。いつも通り斬ろうとした。だがその剣は当たる前に何かに阻まれて止まる。スピードは失った。だがそんなの関係ない。俺は重要な箇所に力を入れる。それにより徐々にその何かを斬っているのを感じる。
「ふむ…この程度は切り裂くか。ならばこうしようか」
マーリンが周囲に10以上の魔法陣が展開される。この距離で全ては捌ききれない。俺は咄嗟に地を蹴り後ろに下がる。それと共に剣を納めて抜剣の構えに入る。俺が構えに入った瞬間、魔法が放たれた。一撃一撃が脅威だ。だが俺には関係ない。抜剣は最速の剣術とまで言われている。剣神と呼ばれる俺が放つそれは音速などゆうに超える。マーリンの魔法は全て斬り刻んだ。それを見てマーリンの表情に少し驚愕が見られた。その隙を見逃すほど俺は優しくない。防御魔法を展開するがさっきのとは比べ物にならないぐらい柔い。俺の剣は防御魔法を斬り、マーリンに突き刺さる。勝ったと確信した…瞬間だった。マーリンは大木へと変化した。剣を抜こうにも固定される。嫌な予感を背後から感じる。俺はその場からすぐに離れた。その瞬間魔法が放たれていた。それは剣の周りを破壊し、剣が落ちる。俺はそれを掴み放たれた方向を向く。そこには倒したはずのマーリンが立っていた。
「どんなネタだ?」
「ふふ…お主が斬ったそれは最初から我ではない。我の魔法で作られた人形でしかない。だがそれだけでは貴様にバレるだろう。だから魔法で限界まで気配を消していたのだが…まさかバレるとはな」
「なるほど…」
手に力が入る。そんな単純なトラップに引っかかった自分に怒りを覚える。それと同時にマーリンが嘘をついているのも見抜く。どう考えても最初から偽物と言うのは嘘だ。戦闘中ずっと人形だったなら気づいたはずだ。
まだこの戦いは始まったばかり…温存をしたいがそんな場合でもない。そんな中、俺は呼吸を整え、相手を再び見返す。




