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正統王家の管財人 ~王家の財産、管理します~  作者: 九條葉月


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イケメンに弱い女


「リリーナ殿下!」


 ガバッと私の両手を掴んでくるミッツ様。


「いやだから殿下じゃないですってば」


「……なるほど、ではこれからは『聖女様』と」


「なんでやねん」


 思わず突っ込んでしまう私だった。だめだ、この人の押しの強さ(?)を前にすると貴族令嬢としての仮面が剥がされてしまうわ……。


≪それ以外にも割と簡単に剥がれていませんか?≫


≪剥がれていますね≫


 アズとフレイルの指摘は聞こえなかった。そういうこともあるでしょう。


「よろしいですかミッツ様。私は聖女ではありません」


「……承知いたしました。今はまだ公開する時期ではないのですね? このミツォタキス・アイルセル。たとえ拷問されようと秘密は守ると誓いましょう」


 なんでやねん。

 この勝手に盛り上がっていくところはさすがミアのお兄さんといったところか……。


 おっと。殿下呼びや聖女呼びはともかくとして。ミッツ様は何か言いかけていたはずだ。


 私が先を促すとミッツさんは要望を口にした。


「……実は、先日の魔物討伐で騎士団にも大きな被害が出まして……。できれば、聖女様――いえ、リリーナ殿下に治療のお手伝いをしていただけないかと」


「あー……」


 王太子の婚約者だった頃から、「これもお仕事!」と騎士団員のケガを治していたものね。その治癒魔法がさらに強力になったのだから、ミッツ様としてはお願いしてくるのも当然か。


 ケガ人を放っておくのは忍びない。しかも騎士団だと、ケガで動けなくなれば少々の退職金を渡されただけでクビになっちゃうでしょうし。この世界の人権意識というか各種保証は薄いのだ。


 国のため、民のために戦ってくださった騎士様たちを見捨てるなんて選択肢は――ない。


「……一つだけ条件があります」


「? 条件とは?」


「ミッツ様。殿下呼びは止めてください。もちろん聖女様もダメです。私はもう人妻というわけでもないのですから……リリーナ嬢と呼んでください」


 ミッツ様は生真面目で冗談とか通じなさそうだからダメかな、と私がちょっとだけ不安に思っていると……意外や意外、ミッツ様は耐えきれなくなったとばかりに笑い出した。


「ははっ、そうですね。分かりました、これからはぜひリリーナ嬢と呼ばせてください」


「…………」


 うっわ。

 イケメン。

 めっちゃイケメン。


 元々顔が良かった上に、古傷まで治ったものだからイケメン度が急上昇。笑うことによって垂直発射。いやぁ、眼福だわ……。


≪この人、チョロすぎません? イケメンに弱すぎじゃありません?≫


≪チョロくなければ求婚されるたびにキュンキュンして心揺れ動いたりはしないでしょう?≫


≪あぁ、言われてみれば……≫


 まったくしょうがないなぁこのマスターは……とばかりに肩をすくめるアズとフレイルだった。いやフレイルは腕輪だからそんな感じの呆れ声って意味なんだけど……じゃなくて。なぜイケメンに弱いという前提で話が進んでいるのか。抗議。厳重に抗議します。



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