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正統王家の管財人 ~王家の財産、管理します~  作者: 九條葉月


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鑑定眼


 刀身のような、少し青みがかった銀色の髪。

 人とは思えぬ金色の瞳。

 そしてまた、人とは思えぬ、絶世と付けても惜しくはない美貌。


 洞窟内にこんな美少女はいなかった。

 まるで、聖剣アズベインの代わりにこの世に現れたかのようなタイミングだ。


 まさか、と思いつつ、私はそのメイド少女に問いかけた。


「……アズ?」


≪おや、さすがはマスター。ずいぶんと見た目が変わったのですが、一目で見抜かれるとは≫


 このふてぶてしい感じ、聖剣アズベインっぽい。というか声音は一緒だし。


「変身できるの?」


≪はい。ロック解除のため、初回はマスターから魔力を融通していただく必要がありますが。いやぁ、マスターからいただく魔力の量によって解像度と言いますか美少女度が変わってくるのですが……さすがはマスター。我ながら文句なしの美少女です≫


 いやあなたが勝手に抜き取っていったんでしょうが。私の同意なく。ギリギリまで。


「…………あー、ヤバ」


 魔力を限界まで抜き取られた影響か、あるいは剣が人になった驚きのせいか。ちょっと意識が遠くなる私だった。





 私が貧血ならぬ貧魔力でダウンしてしまったので、今日は無理をせず洞窟で宿泊することになった。馬車ってかなり揺れるからね。体調不良の人が乗っていてはさらに悪化してしまうのだ。


 最初は馬車の中で寝ようと思ったのだけど、それだと護衛騎士さんたちを野宿させることになってしまう。というわけで、山賊たちのアジトで夜を明かすことになった。


 もちろん探知魔法で危険がないことは確認済みだ。

 騎士さんたちは交代で見張りに立つというので洞窟の入り口付近に腰を据え。必然的に私たちは洞窟の奥で寝ることになった。


 灯火(リヒト)の魔法で明かりを確保。すると、子供たちが興味深そうに宝物の山を見つめていた。


 やっぱり子供ってキラキラしたものが好きなのかしらね? あるいは獣人の種族特性?


 この宝の山は山賊被害の証拠品ということになるのだろうけど、ちょっとくらい触らせても平気だとは思う。どうせこの世界の常識では被害者への返還ではなく国庫に納められてしまうのだろうし。桃太郎的理屈である。力こそパワー。奪ったものは俺のもの。山賊のものも俺のもの。


 でも、さっきゴーレムを錬成した水晶のような危険物もあるかもしれない。今触らせなくても、私たちが寝ているうちに起きてきてイタズラを――という可能性もある。


 というわけで。アズに子供たちの相手をしてもらっている間、私とミアで危険物の撤去をすることになった。


「……お姉様。撤去と言いましても、これだけの数がありますと何が何だか……」


「んー、そんな細かい鑑定とかしないで、とりあえず特殊な効果があるものを空間収納(ストレージ)に放り込んでしまえばいいから――」


 左目に『力』を込めるイメージで、魔力を集中させる。すると、積み上げられた宝物の上部にそれぞれ名称と簡単な説明書きのようなものが浮かんできた。


「え~っと、大して危険なものはなさそうね。お、身につけると幸運値にマイナス補正の掛かる指輪が。これは回収しておきましょう。あとは……あら? これってもしかしてミーフィード侯爵家の家宝の首飾り? 何でこんなところに……?」


 危険物以外にも貴重品も結構あったので、そちらもぽいぽいと空間収納(ストレージ)に放り込んでいく。


「……あの、お姉様? もしかしてですが、鑑定眼(アプレイゼル)を使えるのですか?」


「? うん、使えるわよ? 疲れるから普段は使ってないけれど」


「…………、……お姉様は優秀な御方ですわねぇ」


 なぜか深々としたため息をつかれてしまう私であった。




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