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夕食会 ①

「レオリード殿下は、優愛にお茶会に招待してもらったの?随分と打ち解けたのね」


週に一度の、シスツィーアも一緒の夕食会


レオリードが優愛主催の茶会に招待してもらったと、少し照れくさそうに話すと、シスツィーアが目を丸くしながらも嬉しそうに笑う。


「ああ。所作も随分と綺麗になって、学園に通うようになっても問題ないと思う」

「そっか。けっこう頑張ってるね。リオン、お前は優愛とまだ会ってないの?」

「うん。なんか、「礼儀作法が一通り終わってから会いたい」って、レオン兄上から伝言もらった」

「学園に通う前の、仕上げの予行練習で会いたいと言っていたからな」


「ゆっくり遊べるのは今年が最後だから!」と、夏季休暇中は友人の領地へ招かれたり、避暑地で思い切り羽を伸ばしていたリオリース


やっと昨日城へと戻ってきたのだが、今日は騎士科の訓練に参加するために学園へ行き帰りが遅くなり、シスツィーアたちが主菜を食べ終わるころに席に付いたのだ。


話しながらでもフォークとナイフを動かす手は流れるようで、まだまだ成長期のリオリースは次々に皿を空にしていく。


「学園に通う前って、夏季休暇ももう終わりだろ?いつ会うのさ」

「ん。だから・・・・・・・えー?3日後?」


ごくんと咀嚼していたものを飲み込むと、リオリースは指を折って


「うん。3日後だ。って、すぐだよ。うわっ!夏季休暇、あと残り一週間もないじゃん!」

「あと2週間はあるはずだろう?」


「もっと遊びたかった」と、がっくりと肩を落とすリオリースに、優愛が学園に通うからと、日程を把握しているレオリードが怪訝そうにする


「一般生徒はね。けど、生徒会があるんだよ。香夜祭の準備があるし」

「休暇中はしっかり遊びたいからって、予定全部後回しにしたからだろ」

「いいだろ!最後の夏季休暇くらい!」

「だから公務も最初だけしかさせなかっただろ。感謝してよね」

「うっ。それは、そうだけど」

「それは良いが、課題は終わったんだろうな」


歳の離れた弟が心配というのもあるが、みんなの手本となるべき王族が課題を忘れたなど許されないぞとレオリードが尋ねると、リオリースは「はぁ!?」と少し怒った顔をする。


「課題が終わらないと遊びに行かせないって言ったのレオン兄上だろ!とっくに終わらせた!」


遊ぶためだからと、夏季休暇がはじまると同時に公務をいくつかこなし、夜遅くまで起きて課題も終わらせたリオリースはさすがにがっくりする。


ここ最近優愛のことで頭がいっぱいで、そんなことすっかり忘れていたレオリード


「そうだったか?」と首を傾げると、やれやれと呆れながらもアランが「ちゃんと終わったか確認してたよ」と、リオリースを援護する。


そんな兄弟の様子をシスツィーアはクスクスと楽しそうに眺めて



和やかな雰囲気の夕食会



それは優愛が来るより前から変わらない、王家にとって団欒のひと時



変わったことといえば、ここ最近はレオリードが嬉しそうに優愛の話をすることが増えたこと


レオリードもアランもそれぞれ公務があるため、いつからか、優愛のことは夕食のときに話すようになったのだ。


「アラン、近いうちに優愛を連れてアーリル湖畔へ行こうと思うんだが、構わないか?」


デザートは全員揃ってからとリオリースを待つ間、レオリードが外出の許可を求めるとアランはあっさりと了承する


「いいんじゃない?城の外にはまだ出てないし、街の風景見るとなんか思い出すかも」

「あそこなら景色もいいし、風も気持ちいいわ。優愛もきっと喜ぶわよ」


アーリル湖畔は王都から馬車で一時間ほどのところにあるちょっとした観光地で、日帰りできる距離だからとアランもシスツィーアを連れて良く訪れる場所だ


「ツィーアも行きたい?」

「優愛とレオリード殿下の邪魔はダメよ?」


まだまだ暑いこの時期は、湖に船を浮かべると風が気持ち良くて


アランは久しぶりに行ってもいいかなと思ったのだが、ふたりの邪魔をするつもりはシスツィーアにはない。


「もちろん、ふたりきりで別の日に行こう。今年は避暑地に行けなかったし」

「ええ。楽しみにしてるわ」


幸せそうに笑い合うふたり


「え?四人で行けばよくない?」


リオリースとしては夏季休暇を満喫させてもらったお礼に、兄2人にも羽を伸ばして欲しいとの思いで言ったのだが


いつもなら「良いわね」とすぐに賛成するシスツィーアなのに、なんだか固まっている気するしアランは眉間にしわを寄せている。


「それじゃ、兄上が優愛とふたりきりになれないだろ」

「行き帰りは一緒に行って、向こうで別行動すれば良くない?」

「・・・・・・・・僕と兄上が一緒ってのは、万が一のこと考えると避けたいよね」

「それはそうかもしれないけど・・・・・・オレが城に残るよ?」


国王や王位継承者が襲撃された時のことを想定して、アランたちが一緒に城の外に出かけることはまずない。強いて言えば式典のときくらいだ。


けれど、逆を言えば誰か一人が城に残れば良いだけの話


ふたりの予想外の反応に、提案したリオリースだけでなくレオリードも困惑しているし、シスツィーアも困り果てた様子でアランを見上げ、アランはなんだか不機嫌そうにしているし


「・・・・・・・・なんかあったの?」

「べつに」


素っ気ない次兄(アラン)に、レオリードもなにかあると感じとる


「アラン?どうか」

「どうもしてないよ」


レオリードが言いかけるのを遮るアランは、親しくない者がこの場にいたとしてもすぐに分かるほど機嫌が良くない。


「シスツィーア?」

「ツィーア義姉上?」


困惑したままの2人の視線が、アランの隣にいるシスツィーアへと移るけれど


「デザートでございます」


なんともいえない雰囲気を壊すように、従者の声が響いた


最後までお読みいただき、ありがとうございます

次話は11月5日投稿予定です。

お楽しみいただけると幸いです。


追記 

すみません、タイトル付けたつもりが・・・・・・・・・・

今さらですがタイトル付けました。併せて、修正できてなかった箇所もあったので修正いたしました。

恥を晒してしまいお恥ずかしい限りです。ご容赦くださいませ


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