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 冒険の経緯





 西暦3284年。

(西暦ってつくんだから、紀元前頃の史実に変化はないだろう)




 15年経ったところで、この世界に変化はない。



 何てったって何年も人の手が加わってない自然の状態だったのだから、今更自然の状態が15年続いたとしても変化なんて感じられるものでもないだろう。






 さてさて、まずおさらいだ。



 なぜ施設を出るに至ったのかの経緯だな。










 ☆★☆






 俺はいつも通り、施設内でこの世界の勉強と考察に励んでいた。



 今わかっているのはこうだ。




・この世界の科学力や生産力などは元の世界を超越している。

→この技術力は元の世界と同じ時代で比較してもこちらの世界が勝っていた。




・時代の変化があったのはかなり前であると推測され、大きな変化があったのは産業革命や電気の発見、偉人の早期発見が原因だと考えられる。

→技術力が高いので、この世界は全体的に元の世界よりIQが高かった。




・最新の情報は170年ほど前のもの

→この施設に人が寄りつかないorもはやこの世に人がいないのどちらかであると推測。









 などなど、この世界について理解を深めていけば深めていくほど疑問は絶えず湧いてきた。




 子供の頃はかなり思考が鈍り、ほとんど何も考えられないような状態だったから、しょうがなく赤さん用のおもちゃを眺めながら筋トレ(っぽいなにか)をしていた。







 ある程度この世界の地理、歴史、法則も理解しできたところで、施設で生活していくための機関に問題が発生した。





 食料が底を尽きたのだ。



 この頃は因縁のステーキ肉も食べれるようになったが、それがどこから来たのかというと、それは施設の養育場のようなところからだ。





 家畜として飼っている豚や鶏、牛などを現地調理で新鮮なまま施設内で調理するらしい。




 それを、食事が出なくなって点検すると、家畜の世話を怠っていたせいでちょっとした病気にかかったらしく、それが蔓延し家畜を食べ尽くした疑いがあったからだ。







 施設内の点検では他にも、機関室でこの施設の機械の仕組みを無理やり理解して、元々何のための場所であったのかも知った。




 何やら遺骨やミイラもあったからここで外に出てはいけない日がかなり多かったのではないだろうか。



 さながら籠城戦でもしていたかのようだ。







 あー。

 戦争、か?




 歴史を見るにこっちの世界でも戦争はところどころであったらしい。


 まぁ、技術力の関係で元の世界の比じゃないほど酷い有様になっていたが、その焼け野原みたいな場所から再び街を作り上げてるのがやはり技術の差を表している。





 ならば、その技術を持ってさえも防ぎきれなかった何かがあったのだ。



 そこを気をつけながら、ひとまず食料難をどうにかしようと策を巡らせていたが、そこで妙案を思いついてしまった。




 狼は出ていってしまい、今この施設にあるのはちょっとした愛着のある、ガタがきたアンドロイドのみ。






(もう自由に動ける身なんだ。この施設を飛び出しても許されるだろう)




 言っておくが、施設の放置とかではなく、これはひとり立ちだ。





 この15年間ここで暮らしてきたのだから離れるのは寂しいし、きっとまたこの施設に帰ってくる。




 だから、次帰ってきた時。



 またここで、あの狼やアンドロイドと会えますように。








 そう祈りを込めて、俺はここを出るための荷物の準備を始めた。
















 ☆★☆









 と、いった経緯で、この世界へ飛び出していくことになった。





 何とまぁ、『自分探しの旅に出ます』みたいな軽薄な理由だと思わないでほしい。




 これはこの世界を知るためであり、そのためにはあの施設は狭すぎるし、長続きしなかった。








 とにかく。

 早く、人に会えればいいんだが………。





 なんてったってこの15年、生物と話せた機会なんて一度もなく、アンドロイドやAIの機会音声に何時間も話しかける毎日だ。






 あ、ちなみに…………。















「メガヘルツ!」



『piiiiii/ハイ、ナンデショウ』




 この通り、優秀な人工知能(AI)を一体連れてきている。





 何年もコミュニケーションを取らないと廃人になりそうだからな。





 このAIは凄すぎる。





 3年間休み無し、同じ話題、同じ言い回しを一切せずにAIが一方的に喋り倒したとしても、会話のレパートリーは50分の1、減るか減らないかだ。





 言葉の使い方や文章がほとんど人間のそれであり、なんのストレスもなく喋ることができる相棒だ。








「今日も頑張るぞ、メガヘルツ。今生きている人間が観測できない中で最も頼れるのはお前だけだ」


『マカセテクダサイ。カナラズイキタニンゲンヲサガシダシマショウ、マイマスター』










 こうして、本格的に俺の冒険は幕を開けた。










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