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 揺籠の先には




 揺れる、揺れる。



 籠は絶え間なく揺れる。







(そういえば……狼が人を育てた例があるってどっかで聞いたな…………)




 きっと、そこまで弱肉強食が浸透していないのだろう。


 ならばそれは多分、前時代の人間が成し遂げた功績だろう。




 何かあった時、動物が人を襲わずに救助させるように調教できた可能性もある。




 仮にできたとしても、数種類でそんなこと問答無用で殺そうとしてくる野生動物がいるはずだ。


 この世に生きる全生物にそんなことができるとは思えない。




 だから、調教できていたとしても調教済みの動物が来る可能性が100%というわけでもない。



 調教させた動物には要救助対象の匂いを覚えさせていち早く救助させるみたいなことをさせたりできていたとしたらあり得るかもしれないが。


 それか、単純にラッキーだったかのどちらかだな。




(…いや、これ以上妄想を広げて希望を持つのも良くない)



 つくづくこの世界がどんな進化を遂げたのかわからないな。






 と、ここまで考えたところで籠の揺れが止まった。




(……目的地か?洞窟っぽいのが見えるが…………)



 これ以上動けない清隆は現状を把握することができない。



 しょうがなく、自分は何もできないので狼に任せることにしたのだが………




『ウォーーーーーン!!』



 突然遠吠えを始めた!!







(おいおい、まさか仲間が出てきたりしないよな……)




 その答えは、すぐに出てきた。







 洞窟の奥から、白い光が見えてきた。




 狼は再び籠を咥えて、その光に向かって歩き出す。








 その光の正体は………………。























(………無人要救助対象保護施設、だって?)





 元の世界にはない、『便利』を追求したこの世界ならではの施設であった。










 ☆★☆







 狼は、籠ごとよくわからないガラスケースに置き、近くにある犬小屋を模した通路に入っていった。






(おおかた、調教された狼であってるだろう。世話人が消えて野生に帰った感じか?)







 思考を巡らせようとも、真実に至ることはないのだから無駄なこと。



 割り切って考察はやめることにした。






(にしても、やっぱり現代の技術とは比較にならないくらい発展していたわけか。つまり、ここは元いた世界での生まれ変わりではなく、異世界天才で確定………)





 困ったな。



 自分の世界であれば何の心配も要らないのだが、異世界であるならば別だ。





 何といったって元の世界の自然生物、物理法則、特に地理や歴史などはまったくもってアテにならない。



 魔法なんてものが出てきた(あかつき)にはもう『物理法則?何それおいしいの?』状態だ。





 元の世界でのサバイバル術も通用しなくなったら、僕はずっとこの施設で一生を過ごしてやる。









 だが、それらもまず成長してからだ。






 乳幼児であるこの身体では、歩くどころか立ち上がることもできない。



 1年程度は、この施設のお世話になるとしよう。














 ☆★☆










(はい問題発生〜!)



 急なイベントで申し訳ないが、たった今自動食事システム(?)にすごいことされそうになった。



(なんか明らかに赤さんでは食えないような肉を持って来やがったコイツ!!)





 そりゃもうすごい勢いで押しつけて来たんだ。



 すんごいステーキ肉だったよ?


 そりゃもう逆に食べたくなるくらいに。





(でも今は赤さんなの!顎の筋肉とか弱いからは出れないんですぅ!!)








 きっと年齢設定の問題だろう。


 年齢は手動で設定するとか、そういった感じなんじゃ無いだろうか。






 言うても、俺にできることはない。



 でも、このままだと押しつけれるステーキ肉の中野垂れ死ぬのが関の山。






(え?この人生ハードモードは一体何?赤さん時代から孤独で生き抜けと?超能力とか、そういうの無いからね!?)






 この世の理不尽さに半泣きしていたところ、救世主(仮)は手を差し伸べた。






 自動食事システム(仮)に手をかけ、添え付けられたディスプレイに何やら指示を打っている。




 そして、瞬く間にそれを終わらせた救世主(仮)こちらに向き直った。









 そして笑いかけてくださった!!




 その笑顔をよく見ようと目を凝らすと…………。













 その笑顔は人工物であった。





 そう、人工物の人間。




 つまり、この施設内で使われていた、アンドロイドであった。












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