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「すずー!おはよー!」
夏月は今日も朝から元気だ。
「おはよう夏月。どうしたの?なんか今日いつもにまして元気…っていうかテンション高いね」
「そりゃあそうでしょ!川上さんがね、昨日うちに来て、わざわざ想い花を紹介してくれてありがとうございましたって言いに来てくれたの!
よっぽど気に入ったんだね!すごいよ鈴花!」
それは良かった。でもなんでそんなに興奮しているのかイマイチよくわからない。
「で、なんで夏月はそんなに興奮してるの?」
「はあ?鈴花知らないの!?」
「え?何を?」
「あのね、川上さんってあの川上製薬の副社長なんだよ!?」
「…え?」
「だから、えーっとね、確かお母さんが社長だって言ってたかな」
「は!?社長!?」
「あ、まじで知らなかったんだ。結構この辺では有名なのに。」
え!?え!?じゃあ私はあの大企業・川上製薬の副社長に頼まれて社長への花束を考えてたの!?
異次元すぎてちょっとクラクラしそう。
「でね、川上さんのお母さん…だから社長さんがね、鈴花んとこの花屋さん気に入ったから、社内で飾る花をお願いしたいって言ってるの!」
へえー。ほんとにそんな漫画みたいなことってあるんだー。
ん?もしかしなくてもこれって、うちを宣伝する大チャンスじゃん!
「やりたい!ありがたい!夏月まじで神様!」
「なんか鈴花の熱意がすごくて怖いんだけど」
なんか失礼なこと言ってる気もするけど気にしない!
「じゃあ明日あたり行くらしいからよろしくー」
「はーい!」
そうやって、ちょっと緊張しながら迎えた翌日。
「こんにちは〜、川上と申しますけれど〜。
湊川鈴花さんという方はいらっしゃいますか〜?」
来た!でもなんか…イメージと違う。
すごくほわほわした感じの声だ。
「いらっしゃいませ!お待ちしておりました。
湊川鈴花です。」
「まあ、あなたが鈴花さんね!あの紫陽花、すごくきれいだったわ。それに花言葉まで考えてくれたのね。すごく嬉しかったし、あんなにワクワクしたプレゼントなんて初めてだったわ。」
「そんなに褒めていただけるなんて光栄です。
今後の励みになります!」
「ふふっ、楽しみね。
それでね、私が今日来た理由は、会社に飾るお花を貴方のところにお願いしたいの。
大体のことは夏月ちゃんから聞いているとは思うのだけど。
大丈夫かしら?」
「はい!もちろんです!こちらこそ、よろしくお願いします!」
「良かったわ。ありがとうございますね。」
こうして意外とあっさり交渉(と呼んでいいのか分からないが)は成立した。
川上(母)さんは、何度もお礼を言って帰っていった。
むしろこっちが言いたいくらいなんだけど。
「すずちゃん、なんかあっさり特大の注文引き受けてなかった?」
「お姉ちゃん、これでもううちは潰れないね!」
「いや、元々潰れそうでもなかったけど…?」
お姉ちゃんがなんか言ってるけど気にしない、気にしない!
「やっぱりいろんなお客様が来るね〜」
「そうね。皆さん喜んで帰られるから私も嬉しいわ。」
今日も想い花にはたくさんのお客様が来る。
みんなそれぞれに大切な思いを持って来ている。だから、心からお客様に向き合って、一緒に花を選ぶのだ。
「いらっしゃいませ!どのような花をお探しですか?」
ここまで読んでいただきありがとうございました!
とりあえず花屋に来るお客様2はこれで完結となります。
また続編書くかもしれませんが、しばらく間が空くと思います。
全くジャンルは違いますが、『転生したらすべてが理想通りなんだけど!?』というお話も書いておりますので気が向いたらぜひぜひ読んでみてくださいm(_ _)m
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