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これは第二話です。
第一話がありますのでそちらから読んでいただけるとより楽しめて理解しやすいと思います。
「ねーねーすずー!早くしないと遅刻するよー!」
朝からうちの花屋「想い花」の前で叫んでいるのは、私の友達の夏月だ。
私達は毎日学校まで一緒に登校している。
というか、夏月とは小学校からの友達なので、かれこれ10年以上の付き合いだ。いや、もう11年目か。
「はーい、いま行くからー」
髪を一つにまとめてバッグを持つ。
よし、準備万端。
「行ってきまーす」
学校に歩いていく途中、夏月にこの間のお客様の話をする。
「この間ね、結婚するお友達にお渡しするブーケに鈴蘭を入れたいっておっしゃっるお客様がいたんだー」
「へー。え、でも鈴蘭って確か毒なかったっけ?」
「おー、よくそんなの知ってたね」
私は夏月が知っていることが意外だった。
夏月はバスケ部で、なんというか…うん、バスケ以外にそんなに興味を持たないような子だからだ。
「そりゃあね。何回鈴花の愚痴聞かされたと思ってんの?」
「え、そんな何回も言ったっけ?」
どうやら私は何回もこの話を夏月にしていたらしい。
「そうだよー。『もう鈴蘭きれいなのはわかるけど!なに?渡す相手殺したいわけ?』ってよく言ってたじゃーん。私でも流石に覚えるよー」
「う…なんか…ごめん」
流石にちょっと申し訳ない。
そんなことを話しているうちにもう学校についてしまった。
「あっ、そうだ。すずー、放課後ちょっと話せない?うちのお客様でさ、花がほしいって人がいるからさ、それでちょっと相談したいの。」
夏月の家は美容室をしている。だからか、夏月の髪はいつもサラッサラだ。天然パーマにくせ毛という最悪のミックスがされた私の髪とは大違いだ。
「りょうかーい」
そう返事をしてそれぞれのクラスに入っていく。なぜか私と夏月は一度も同じクラスになったことがない。11年間一度もだ。なんでだろう?
「おー。おはよ、すず」
と、声をかけてきたのは隣の席の山中秋葉だ。
秋葉は夏月と同じバスケ部で、高2の女子では珍しく、身長が170cmを超えている。
「ん、おはよ」
「今日も安定で髪爆発してんねー」
秋葉はいい子だ。でもいつもひとこと余計だ。
「愛海ぃ〜、秋葉がひどいー」
「まぁまぁ、髪質なんてそんなコロコロ変わるもんでもないでしょ。
髪くるくるしてるすずちゃんもかわいいよ?
卒業したらストレートパーマでも縮毛矯正でもなんでもやってみたら?」
泣きついた私にそう優しく返してくれるのは、竹崎愛海で、彼女はこの町で唯一の病院である竹崎医院の一人娘だ。大切に育てられたからか、とても優しくおっとりしている。そしてどがつくほどの天然だ。
「やっぱり愛海優しい!大好き!」
「あーまた始まったよすずの愛海大好き」
「えーだってー」
「ねえ今日一時間目から数学だってー」
「うわ、最悪」
「えー、私数学好きなのにー」
「それは愛海が頭良いからでしょ!!」
そんなこんなであっという間に一日が終わった。
「すずー、夏月が呼んでるー」
秋葉から言われてやっと今朝の夏月とのやり取りを思いだしたりはしてない。ちゃんと覚えてた、つもり。
「ね、すず。今朝私が言ったこと忘れてたよね?」
う、なんでバレてるんだろう。
「あーほらやっぱり。まあ私が自分から来たから別にいいんだけどね。」
「ごめんなさい…」
「いや、いいけど」
なんで笑ってるんだろう。私特に何もしてないけど。まあいいや。
「で、えーっと、夏月のとこのお客様が花がほしいって言ったんだよね?」
「そうそう。で、うちはただの美容室でしょ?
だから花は売ってないですよって言ったのね。それじゃあうちで飾ってる花を仕入れてるとこを紹介してほしいってことで、今日か明日ぐらいに川上さんって人が想い花に行くから。
だからよろしくー」
「あーそういうことね。りょうかーい」
「じゃあそういうことで。私今から部活行くから。バイバーイ」
「バイバーイ、部活頑張ってねー」
そうやって夏月と別れて家に帰った。
読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m
更新頻度はちょっと左右すると思います。
そんなに長くはしないつもりなので3話から5話くらいかなーと勝手に思ってます。
感想とかもらえると嬉しいです!