戦いへの備え
「あの落ちこぼれ、くたばってなかったのか。にしても、追放されてやることが猫動画配信することとか。アイツ、アホなんじゃねえの?」
猫じゃらしをゆきの前で振る投稿主。ピンクの肉球を見せながら、とびかかるゆき。
(ここは、安全とは言えない場所だ)
(だけど、ここに俺はいなければならない)
(この子達を、トレーニングしている)
猫じゃらしを咥えて足速に去っていくゆき。
(ゆきは強くなっている)
「みゃんみゃん」
投稿主の足元に、サバが擦り寄っている。時折足を動かす投稿主。
(魔の森との境に、囲いを作っている)
(この辺には魔物が多い。猫達を守らないと)
白い柵が、ある程度の長さまで続いている。サバがジャンプして柵を飛び越える。
(もっと高さが必要だ)
(試しに二倍の高さにしてみる)
サバが柵を見上げている。
(大丈夫そうだ)
固定カメラのような映像。作業着に身を包んだ投稿主が、早回しで柵の先端を地面に埋めていく。ゆきが欠伸をする。その頭を撫でる投稿主。
(今日はこれで終わり)
サバが柵に体を擦り付けながら歩くのが映る。
(サバが安全性を確認してくれている)
「みゃん」
(安全性を確認した)
(終わり)
「なんっにも安全じゃねえんだよお前のいる土地はよぉ! はよ日本に帰れ! くそ、こんなの低評価だ低評価! お、押せねぇ!?」
「残念じゃったな勇者よ、それはハリボテじゃ。ワシがIT担当大臣に頼んで、高評価しか押せない仕様にしてもらった」
「いやIT担当大臣ってなに!?」




