謎多きもー
(もー)
白地に黒の斑がある猫が、のっそりと歩いていく。カメラがズームし、モーのピンク色の肉球を映す。
もーの胴体に触れた花の茎が、しなやかに曲がっては戻っていく。もーが茂みの奥に消える。
一時停止。
「……なんか、あいつにしては、淡白な動画だな?」
「神々しい、神々じい゛」
「うっわ、出たな駄文闇商人」
「おぞらぐ、もー様の神々しさを最大限伝えるために、言葉少なにしたのでしょう。ほら、続き、続き見てくださいよ!! そのために私来たんだから!!」
「こいつがこんなにはしゃいでるってことは」
再生。
(珍しく、もーが他の猫といる)
先程の動画とは違って、くもりの天気。
柔らかな草花の上に、白黒ブチの猫と、小さめのキジシロの猫が互いの腕をからませて寝ている。そこに、投稿主の影がかぶる。
(起こしてしまった)
もーが目を開けるが、すぐに目を閉じて寝てしまう。
(とても眠いようだ)
(終わり)
「はぁーっ、てえてえ! てえてえ!!」
「奇声あげるのやめてくれない? 別に、猫が猫同士絡んでたってどうとも思わないだろ。寒いんだなーとしか」
「はぁああああ……」
「クソでかいため息で呆れをアピールするな。ん? 王様と宰相?」
「おうい勇者ぁ! これからアオキのところに、社会科見学行こうぜ!」
「行こうぜー、って、あんたら追放した勇者のところによく行けるな」
「名付けて、謝罪社会科見学! 初手土下座!」
「……国のトップが簡単に土下座していいの?」
「君子は豹変す」
「あっそ。俺も、あいつに聞きたいことあったし、それには同意っすよ」
「「「やったー!!!」」」
「何お前も行こうとしてんだ駄文闇商人」




