疑問
「今日は昨日ルフナ様を怒らせた様なので謝罪を…そしてどうにか王子との仲を取り持つように…」
早速俺はニルギル様から無理難題を押し付けられた。
「これなら机にいる方がよかった…」
馬車に揺られてルフナ様の屋敷を目指す。
「いいですか?何を言われようと笑顔で対応するように!決して口答えなどしないでください」
ニルギル様から念を押される。
俺は頷くと気を引き締めた。
屋敷につくと執事やらメイドからズラっと並び勢揃いで出迎えられる。
「これはグレイ王子…なんの御用でしょうか?」
屋敷の前には本当に執事か?と思うような屈強な体の男が立っていた…
しかしその格好は執事のそれだった。
俺は笑顔で挨拶をすると
「私の婚約者に会いに来ただけです。ルフナ嬢はいますか?」
「お嬢様は昨日の約束を守って貰えなかったと部屋で泣いております」
ぐっと睨みつけるその目は王子に向けるものとは思えなかった。
「しかし…昨日は確かに部屋で待っていましたが…帰られたのはルフナ嬢では?」
聞いていた話を思い出しながらニルギルを見るとこくっと頷く。
すると騒がしい事に気がついたルフナ嬢が部屋から顔を出した。
そして俺を見つけるとあの時と同じ笑顔を見せた。
「王子様!!」
ルフナ嬢は部屋を飛び出すとメイドの静止も聞かずに俺のところに走ってきた。
「王子様!嬉しい!家に来てくれるなんて!こっちに来てください!私の部屋を案内します!」
俺は驚いてルフナ嬢を見てそっと目を逸らした…
「えっと…その前にその姿は不味いのでは…いえ何も見てはいませんが…」
しどろもどろに無邪気に抱きつく体をそっと離した。
「お嬢様!」
「ルフナ様!お召し替えを!!」
ルフナ様は自分の姿を確認するように下を見ると…自分が寝巻きの姿だった事に気がついたようだ…
幼いと思っていたがそこには確かに二つの山がありしっかりと谷もあった…
ドレスを着ると隠されるその体は確かに女性だった。
ルフナ様は「きゃあー!」と叫び声をあげると元いた部屋へと脱兎の如く戻って行った。
そしてその部屋からぴょこっと顔だけをそっと覗かせて…
「お、お見苦しい姿をお見せしてすみません…すぐに支度を整えますのでお茶を飲んで待っててください!すぐに!すぐに行きますから!待っててくださいね!」
そう叫ぶとバタバタと部屋に戻った。
「えっと…」
どうしたらいいのか唖然と立っていると…
「こちらへ…」
屈強な執事さんが違う部屋へと案内してくれた。
無言で歩く俺達は部屋に通されてソファーに座ると…
「先程お嬢様の#あれ__・__#を見ましたか?」
執事さんがお茶を用意しながら唐突に話し出した。
「あ、あれとは?」
「あれとはあれです!お嬢様のあれです!」
「い、いや…あれがわかりませが何も見てないと思います…」
「そうですか…しかし…違っていたら申し訳ございません…あなた様はグレイ王子で間違いないでしょうか?」
「そ、そうですが…どう見ても私…ですよね?」
少し自信なさげに言うと
「いや…大変失礼致しました…今お菓子を用意させますのでお待ちください」
執事は深く頭下げると部屋を出ていった。
「ニルギル様…本当に昨日ルフナ様は帰られたのですか?」
部屋に二人になりそっと声をかけると
「いや…自分も自信が…確かにあの時は…うーん、一体どうなってる?」
ルフナ様の様子に俺達は頭をかかえるしか無かった。