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04 減点
貴族とか高貴な人間って、放浪癖でもあんのか?
町中でやばい奴に因縁付けられてた人間を助けたら、貴族だった。
大人しそうな青年貴族はあたしらに礼を言って、「このままじゃ気が済まないんだ」とかいって、豪邸に招待してくれた。
ぜんぜんありがたくねーけどな。
とくに、国宝壊した経歴のあるあたしにとっては、目につく所に地雷ばっかじゃんか。
赤外線トラップを警戒するような目つきにもなるわ。
「あのー、お付きの従者さんはなんであんなに怒ってるんでしょう。僕なにか、ひどい事でもしてしまったんでしょうか」
「気にしないでくれ。あれが素だから。彼女はそう、絶えず人を睨んで世界を呪わずにはいられないんだ」
おい、そこ!
信じやすそうなお貴族サマをさらっと騙すんじゃない。
なんて思って、王子サマを睨みつけてたら「品位ポイント減点」と言われてしまった。