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03 品格を求められる
大荷物を抱えて、町に辿り着いた時あたしは瀕死だった。
でも、王子サマにはそれが気にくわないようだ。
さらっと鬼畜な事を言ってくる。
「王子様のお荷物がかりが、地面に倒れ込んで大の字だなんて、品格が疑われてしまうよ」
「国民はあんたが城を脱走してる時点で品格疑ってんだろ」
「確かに」
そこで納得すんな。
ともあれ、この王子サマが独自に定めた品格ポイントがマイナスになってしまうと、給料がさがってしまうため、無視するわけにもいかない。
あたしは「どりゃぁぁぁっ! こんちくしょうっ!」と、乙女にあるまじき掛け声を上げて、くそ重たい荷物を持って立ち上がった。
「そこはもっと上品に」
「できるか! 荷物持ちしてる時点で、底に落ちてるよっ!」