01 カオスな状況
見渡す限り山・山・山。
見上げる空は、どこまでも蒼穹。
けど、足元を見れば、魔物の死骸。
背中を振り返れば大きな荷物。
肩におかれた手の先を見つめれば、そこにはキラキラの王子サマ。
誰もが思うはずだ。
何だこの状況。
カオスすぎるにもほどがあるだろ。
そんな状況にあたしは放りだされていた。
これには長い事情があるんだ。
詳しく話すと、文庫本一冊くらい消えちまうから、手短に話すけど。
色々あって異世界に転移しちまったあたしは、とある城の中に出現しちまったらしい。
そんで、その城の中で状況が理解できずに混乱していたあたしは、一つ何千万とするような国宝を破壊。
人生初の犯罪者となって、お城の牢に収容されてしまいましたとさ。
でも、そんな時に脱走を計画してるお転婆王子サマに助けられて、牢屋から出してもらえる事に。
その代わりにこうして荷物持ちとして、各地を連れ回されてるというわけだった。
でも。
ただ、荷物をもたされるだけなら、ここまでカオスになったりしねーよ。
こんな人気のない場所に放り出されたり、魔物に襲われたりもなっ!
こんな事になったのは、あたしの雇用主である王子サマの無茶ぶりが原因だった。
「見分を広める為にちょっとお城を脱出してみたけど、世界もついでに救ってみようかなって」
何だそりゃっ!?