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リブ・オール・ファンタジア  作者: 猫山ことり
1/1

フィールド1。始まり、その3

現実世界の日向ワタルは、突然トリップします。


そこは明らかに異世界だった。


最初に出会ったのは、おおきな30mもの、大ヘビ。

しかも、しゃべった!

そして獣人族だと名乗る。


獣人族だって??


前方の海が持ち上がり、巨大な頭が水を滴らせて、

こっちを向いた。




あの頭、3mはあるんじゃないかな?


僕は熱と驚きでめまいがしそうだった。






「しっかり捕まっておいで」


優しい声でヘビは海を横切ると、岸辺に上がった。



のたうった巨体が海岸線を大きく占領して、ヘビは僕を下ろした。






僕は腰が抜けそうだ。



でも、もっとびっくりしたのはその巨大なヘビが、見る間に

縮んで足元まで届く長髪の女の人になった事だ。


やたら細っそりして、ひょろ高く見える。




青緑色の髪の女性が、覗き込む仕草で僕を見て言った。




「おかしな子だねぇ、あたしはアンタを助けたんだよ。

何を怖がってんだい?」



「だ・・だって君・・・さっきまでヘビ・・」

あわあわと声を返す。






アハハ!と彼女は笑った。



水を滴らせ「だって私は獣人族だよ。本当に変な子だねぇ」と大笑いする。




じゅう人?獣人族だって?




あれ、僕は夢を見てるのかな?

眼が回る。ぐるぐる。ぐるぐる。



「あれまぁ、坊や。」



ヘビさんは僕を抱き寄せてくれた。



熱があるのかい?



耳の奥で彼女の優しい声が聞こえた。











 どれくらい、眠ったのだろう。


彼女は僕をベッドに寝かせ、あれこれ世話をしてくれた。




僕が着てた、ずぶ濡れの服は綺麗に洗濯してキチンと

(たた)まれて、枕元にある。


でも彼女がくれた着替えは、まるで(うろこ)

出来てるみたいで、ちょっと変な感じだ。






 おまけにやたら変な臭いの丸薬を(もら)ったけど、

これって薬だろうか?



クンクンと匂いを嗅いでたら、余りの匂いに咳き込み、

思わず涙が出た。



「毒じゃないんだから」とそんなワタルを見て彼女は、

大笑いしている。





 僕は思い切って、ごくんと丸呑みした。



ヤバい吐きそう!



なんかショウガとニンニクとチョコレートと、薬草をごっちゃにしたみたいな味だ。


それでも吐き気も収まり、水に濡れて震えていた体がほのかに

温まった気がするのは、アルコールか何かが入ってたからだろうか?




「それ飲んだら、すぐに熱が引くからね」



「ここは・・どこですか?」


ワタルの問いに彼女は笑った。

「だからここは、あたしの家だよ」




「いや。そうじゃなくて・・」




僕は聞きたいのは、ここがどんな世界なのかってことだよ。


ここは明らかに僕が知っている、僕が居た世界じゃない。



「ホントにおかしな事いう子だねぇ~」




彼女は呆れて、首をひねっている。



「そうか!アンタは獣人族を見るのが初めてなんだね?」


「アンタみたいな人間ばかり住んでる町が来たにあるって聞いたけど、

アンタ。そこから来たのかい?」





北の人間の街?獣人族?

やっぱりここは、普通の世界じゃないみたいだ。


僕は彼女の話にうなづいて見せた。ここは話を合わせた方がいい。





「それでさっき、私が本体になったのを見て驚いたんだね?

あたしは獣人族の中でも水の属性を持つワーム族だからね。」


「水のある所に出ると、ああなっちゃうんだよ」




ワタルは不思議そうな顔をした。




「・・・」


「それじゃ、水を被る度にヘビになっちゃうの?」









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