表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

壊れかけ

 わくわく顔の青年だったが、キョウはなんだか違和感を覚えた。


 そして気づいた。

 この青年は機械だと。



 それにこの青年から、ギシギシときしむような音がする。

 気のせいかとも思う。 

 キョウは耳をそばだてた。やはり気のせいではなかった。


 青年の体から、ミシミシギシギシときしむ音がする。

 同じ機械の体でも、キョウや他の環境維持ロボからこんな音はしない。


――この機械の青年は壊れかけている。そう遠くない未来にこの青年が動かなくなる。

 キョウはそう直感した。


 そう思うと、すごく怖く憐れに思えた。



「かわいいねー」

 青年は無邪気にキョウのお腹を撫でている。耳をそばだてたつもりがいつの間にか青年に密着してしまった。


 この青年をどうにか直せないか、キョウはそんなことを考えていた。





     * * *


 この青年を直すためには、いつぞやのアグに会いに行くべきだとキョウは思った。

 青年のズボンの裾をつかみ、走り出す。


 目的の場所は以前グレスにつれて来られた井戸の前。


 そこにはテントがあって、テントの中では自動で環境維持ロボの部品が組み合わさるという不思議な光景があった。

 あれはきっと見えない誰かがロボを修理していたんだろう。


 そこにこの機械の青年をつれていけば直してもらえるかもしれない。


 キョウはそこに青年をつれて行った。


 井戸の前には先客がいた。

 パースだ。

 パースと青年は口論になりかけたが、構わずキョウはテントに向かう。


 だが二人にはテントが見えていないようだった。

 キョウは焦った。

 どうにかこのテントにあの青年を呼びたいのだ。



 キョウは、キャタピラに小石を挟ませ走行し、悲鳴のような金切り音を発してみた。

 だがパースと青年にはこちらの様子が見えないだけじゃなく、物音も聞こえていないようだ。


 もう一回やってみる。

 やはり二人は気づかない。


 キョウは今度はテントに入った。

 テントの中は前回と同じ、壊れた環境維持ロボの部品が山積みになっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ