自動操縦
キョウは自分の体を見てみる。
まるで宙に浮いた状態から、床に落ちたかのように錯覚してしまう。
なんだか妙に疲れてるような……
たくさん夢見てたような気もするが、キョウは早く寝ることにした。
* * *
鈍色の水晶のロボことグレスは、テントの中で宙に浮かぶ環境維持ロボを見ていた。
――アグ、どうだ? どこも故障してないか?
テントが揺れる。
それがアグと呼ばれた者のコミュニケーションの取り方のようだ。
――そうか。正常か。
宙に浮いてた環境維持ロボは静かに床に降りた。
アグが下したようだ。
――じゃあ、行くか。俺が環境維持ロボの仕事ってものを教えてやるよ。
グレスは自分がつれて来た環境維持ロボを引きずり、ルウの地中央の方へと戻っていく。
その途中で、黒い水晶のロボに会った。
――あ! おい! 新入りがいるならきちんと報告しないと!
と、グレスは黒い水晶のロボに食ってかかる。
――新入り? どこに?
黒い水晶のロボは戸惑いがちに質問した。
――ほら、こいつ。
グレスは自分が引きずってきたロボを前に押し出す。
黒い水晶のロボはぽかんとした。
――自動操縦ロボのようだが?
――え!?
グレスは、自分が引きずってきたロボの水晶に目がくっつくぐらい近づく。そして水晶の色を確認する。
ついさっきまで金色に光っていた水晶は、透明な自動操縦バージョンのロボになっていた。
――気のせいじゃないのか。
と黒い水晶のロボが言う。
――さすがのケイだって、新入りが来たら報告するだろう。
――あ? ケイじゃないのか。
――カースだけど。
――はあ、紛らわしいな。
――仲間なんだから区別ぐらいつけよ。
そう言うと、黒い水晶のロボことカースは行ってしまった。
グレスが引きずっていたロボは、アームを離すとそれも行ってしまう。
――おーい、また遊んでな。
と、グレスが呼びかけるが、自動操縦になったロボは振り返りもせず行ってしまった。